ゴジラシリーズとしては、日本では12年ぶりの新作となったのが、2016年の『シン・ゴジラ』です。
しかし、『シン・ゴジラ』という作品は、レビューを見るとわかりますが、
実は、賛否両論な作品
なんです。
ざっくりと評価が割れるタイプの作品なわけですね。
いいという声もたくさんあれば、当然ながら、悪いという声も多く見られます。
この記事では、『シン・ゴジラ』の批判的な感想から、なぜつまらないという意見が出るのかを調査してみた結果をお伝えします。
『シン・ゴジラ』に対する批判的感想
はじめに言っておきます。
筆者は『シン・ゴジラ』の否定派では決してありません。
実写のゴジラシリーズは全て好きです。
むしろ批判している人とは対極に位置している側です。
アンチではないということだけは、わかってもらいたいです。
シン・ゴジラがつまらない理由1感情移入できない
映画は、ある人物に感情移入して見る人が多いです。
でも、『シン・ゴジラ』という作品は、
感情移入できる要素を極力排除している作り
なので、誰にも感情移入できず、それがつまらないと思う人が多いです。
ネットの批判的な感想
感情移入できない作りなのが合わなかった。
ネットの批判的な感想
登場人物の誰にも共感できない。
といった意見がありました。
『シン・ゴジラ』はどちらかというと、人間ドラマなどを描いた作品ではなく、
ゴジラが実際に現れたら?を描いたフェイクドキュメンタリー
と言うべき内容なので、よりリアルを重視して描かれています。
一応、『矢口蘭堂』という主人公は用意されているものの、あくまで主軸は
『ゴジラという天災にどう向かっていくかの過程』
なので、ただ出来事を追っているだけに等しいです。
ゴジラと人類の戦いではなく、『ゴジラVSニッポン』というコンセプトで作られているため、登場人物全員が舞台装置化してしまっているんです。
それゆえに、
感情的な部分が少なく、淡々と進んでいる感じがあり、後半は緊張感に欠けてしまっている
その結果、つまらないと感じてしまったのでしょう。
シン・ゴジラがつまらない理由2演技が棒読みに聞こえる
もう1つ、つまらないと言われている理由は、
会話が早口すぎて聞こえない、棒読みに聞こえる
といった理由です。
ネットの批判的な感想
セリフが速くて何言ってるかわからん。
ネットの批判的な感想
なんか説明してるっぽいけど入ってこない。
ネットの批判的な感想
演者が棒に聞こえて、演者の個性を潰しちゃってると思う。
ネットの批判的な感想
早口で言うから情報が整理しきれなくてこんがらがったんだが…
など…。
セリフが早口すぎるがゆえに、説明を理解する間もなく進んでいってしまい、
よくわからないまま見るしかなかった
という声も多く見られました。
確かに、筆者も『シン・ゴジラ』を見た時は同じことを思いました。
ただ実は、『シン・ゴジラ』の早口には理由があり、
通常の速度でセリフを言った場合、映画の長さが3時間を優に超えてしまうくらい膨大な量
だったのです。
それを収めるためにどうするかと聞かれ、庵野秀明監督は、
「みんな早口でやるから大丈夫」
と答えたとか。
結果的にそれがつまらない一因を作り出してしまったので、もう少し何とかならなかったのかと感じてしまいますね…。
シン・ゴジラがつまらない理由3ゴジラとは言えない
こちらも一定数みられた感想です。
ネットの批判的な感想
こんなのゴジラじゃない!
ネットの批判的な感想
ゴジラである必要がなかった。
ネットの批判的な感想
これをゴジラと認めるわけにはいかない、ただのエヴァだ。
など、そもそも『シン・ゴジラ』をゴジラ作品と言っていいのかどうかという批判。
主な『ゴジラじゃない』という理由は2つあります。
1つはゴジラという怪獣そのものについて。
『シン・ゴジラ』におけるゴジラは、完全生物として描かれていますが、それに対して違和感を覚えた人もいます。
というのも、
これまでのゴジラは怪獣であり、良くも悪くも生物らしさのない存在
でした。
もともとが反核のメタファーなこともあって、ゴジラという怪獣には、意思のようなものも感じられました。
明確な意思をもって人間社会を破壊する、今までのゴジラの行動にはちゃんとした理由があったのです。
しかし『シン・ゴジラ』はどうでしょうか?
あくまで生物であり、今作のゴジラはただ移動しているだけ。
劇中の攻撃行動も、全て生物の防御本能によるものであり、この”生物”が果たしてゴジラなのかと、長年のゴジラファンは疑問を抱くわけです。
2つ目に、作品としての『ゴジラ』として認めないという意見。
主な意見として、
ネットの批判的な感想
『ゴジラ』という作品は、反核を訴えるメッセージ性があったが、『シン・ゴジラ』はそれを感じない。
ネットの批判的な感想
戦争の犠牲者に対する鎮魂歌でもあったはず。
もっと戦争というワードを出すべきだった。
ネットの批判的な感想
福島第一原発事故をモチーフにしているのはわかったけど、メッセージ性には欠けている。
など…。
言わんとしていることはわかります。
『ゴジラ』は、もともと反戦反核を訴えかけた、非常に暗い雰囲気の映画
ですから、『ゴジラ』シリーズであるなら、『シン・ゴジラ』もメッセージ性をもっと打ち出していくべきだったと。
しかし、『ゴジラ』のメッセージ性という理由で『シン・ゴジラ』を批判するのはいかがなものかと、筆者は思います。
『シン・ゴジラ』でメッセージ性がなかったのだとしたら、子供向けヒーロー路線だった時代の『ゴジラ』シリーズはどうなんでしょうか?
そもそも、『シン・ゴジラ』批判勢の言っている、初代が持っていた反核・反戦のメタファーとしての一面を持っていたゴジラなんて、
完全エンタメ路線に進んだ3作目『キングコングVSゴジラ』の時点で、既に失われています。
2作目の『ゴジラの逆襲』は、メッセージ性を持ちつつエンタメ性も持たせつつ…なので、まだ初代の雰囲気は残っているように感じました。
しかし、それ以降は怪獣プロレス、正義のヒーロー色が強く、
時々社会風刺を交えた作品が出ることはあったものの、完全ファミリー路線へと移行
していきました。
筆者としては、『ゴジラ』シリーズのメッセージ性なんて、早い段階から崩壊していたのですから、むしろ『シン・ゴジラ』はまだまとも、とツッコみたいですね。
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まとめ
『シン・ゴジラ』の批判的な意見から、『シン・ゴジラ』の何がつまらないのかを紹介しました。
- 感情移入ができない
- 早口すぎて置いてけぼりになる
- 『ゴジラ』シリーズが本来持っていたものを『シン・ゴジラ』からは感じない
など、さまざまな理由がありましたね。
まぁ、人にはいろいろな感じ方があるので、『シン・ゴジラ』が合わない人が多いのも仕方のないことです。
最初からドキュメンタリー風の作風だと理解していた人は、期待通りだったでしょうし、逆に知らなかった人は、つまらなかったと感じるなど…。
良くも悪くも、賛否両論を産みやすい『庵野イズム』だと思う次第です。