東芝は2021年4月14日に、臨時取締役会を開き、車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が辞任することとなりました。
ニュースにもなっていた、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝買収の件で社内対立が起きたことが原因とされています。
そして、次の東芝の社長は、
2016年から2020年3月まで社長を務め、2020年4月からは会長となっていた綱川智会長が再任
となりました。
綱川智社長は、一体どんな人物なのでしょうか?
この記事では、東芝の社長に再任することとなった綱川智会長について、経歴や年収といった情報をお伝えしていきます。
東芝社長・綱川智の経歴
まずは、東芝の社長に再任する綱川智氏の経歴を調べました。
あの『東芝のトップ』というくらいですから、さぞかしインテリであることを想像しますよね。
綱川智社長は、1955年9月21日に東京都で生まれました。
さすがに芸能人ではないためか、小中高までの学歴に関しては、一切不明でした。
出身大学は判明していて、
東京大学教養学部基礎科学科
を卒業しています。
予想通りのインテリ、それも東大出身のエリートというわけです。
その後の経歴は、同年4月に新卒として東芝に入社。
1989年には、東芝グループの子会社であり、グループのインフラの中核を担っていた優良企業・東芝メディカルシステムズ(現:キヤノンメディカルシステムズ)のヨーロッパ社に駐在。
1993年からは、東芝アメリカメディカルシステムズに駐在し、2003年には同社の社長兼東芝アメリカMRI社長に就任します。
その後、2010年に東芝メディカルシステムズ代表取締役社長に就任、ついに東芝グループの子会社のトップに立ちます。
2013年からは東芝のヘルスケア事業開発部長を兼任すると、実力を買われ、2015年に、東芝の代表執行役副社長に就任することになりました。
その1年後である2016年6月。
ついに、綱川智氏は、第19代代表執行役社長に就任。
東芝のトップにまで上り詰めたのです。
しかし、この社長就任は、決して喜ばしいものではありませんでした。
タイミングとしては、まさに最悪の一言。
- 2015年に発覚した、社長3代に渡る粉飾決算問題により信用が失墜
- ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーの買収に始まる原発事業の不振による、7000億円もの巨額損失
といった、東芝倒産の危機に陥った中での社長就任だったのです。
綱川智社長は、東芝再建のために、副社長だった2016年上半期頃から、さまざまな策を講じました。
- 自身が成長の立役者となった、古巣である東芝メディカルシステムズを売却
- PC事業の東芝クライアントソリューションを売却
- 白物家電事業の東芝ライフスタイルを売却
- エンベデッド事業の東芝プラットフォームソリューションを売却
- 映像事業の東芝映像ソリューションを売却
- 主力事業だった半導体メモリ事業の東芝メモリを売却
- 東芝機械の株式を売却し、グループから独立
- 新卒採用を中止
- 希望退職者を募る
これらの身売りによって倒産は避けられましたが、かつての巨大企業・東芝の姿はもうそこにはありませんでした。
そんな最大の危機を迎えた東芝を救うことに成功し、2020年4月には代表取締役会長に就任。
しかし、後任の車谷暢昭社長が、CVCキャピタル・パートナーズによる東芝買収の件などにより、株主との対立、そして東芝社内からも不信任の動きが出て辞任。
2021年4月に、再び社長として復帰することになったのです。
以上が、東芝の綱川智社長の経歴でした。
せっかく社長になれたというのに、その時は会社の存続が危ぶまれる状況だったなんて、考えたくもないですよね。
自らが立役者となって規模を大きくした子会社も、売却することになってしまいましたし…。
貧乏くじを引かされたという意味で、山一証券破綻時の社長・野澤正平さんと被るものがありますね。
東芝社長・綱川智の年収はいくら?
綱川智社長の年収は、どのくらいあるのでしょうか?
年収全ては公開されていなかったため、詳しくは不明です。
ただ、東芝の2020年3月期の有価証券報告書に、綱川智社長の役員報酬が載っていたので、それを紹介しますね。
東京商工リサーチの記事によれば、2020年3月期決算の有価証券報告書から、
綱川智社長(当時会長)役員報酬は、1億9300万円
だと判明!
記事には、東芝が5年ぶりに返り咲きと書いてあったので、
綱川智氏が社長になった時には、既に役員報酬は1億円未満だった
ことが推測できます。
倒産危機だった頃には、報酬を90%カットしたことがありましたし、それを抜きにしても、当時の東芝には、1億円以上払えるような状態にはなかったというわけです。
そして2020年に、やっと1億円超え…。
この報酬額を見ると、東芝は何とか息を吹き返したんだなと思えます。
これだけが年収額というわけではなく、東芝の公式サイトによれば、
綱川智社長は、自社株を25100株保有している
という情報が記載されています。
役員報酬だけでなく、保有している株式による配当金もあるので、実際の年収はもっと高いでしょう。
少なくとも、2億円を超えていることは確実
と言えますね。
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まとめ
東芝の社長に復帰する、綱川智会長について、経歴や年収を紹介しました。
綱川智社長は、東大出身のエリートで、東芝に入ってからは、
東芝の医療機器事業の立役者
として活躍しました。
その腕を買われて、ついに東芝の社長になれましたが、喜びもつかの間、当時の東芝は倒産危機。
綱川智社長は、自らの出身である東芝メディカルシステムズを売却するなどの身売り策で、何とか東芝を生き長らえさせることに成功しました。
その功績が実ってか、年収は2億円近い金額を手にしています。
倒産危機の際には、報酬を90%カットしていたこともあっただけに、苦労が報われてよかったですね!