『バス運転手』に、どんなイメージを持っていますか?
一時期には、マスコミが
市営バスの給料がに高すぎる!
と叩いていたこともあって、高給取りな印象があるかもしれませんね。
しかし、『バス運転手が高給取り』というのは、正しくありません。
高給取りなのは、一部の公営バスのみであり、民間バス会社のバス運転手は薄給です。
そのうえ、労働環境もよくないので、ブラックな職場とも言われています。
この記事では、バス運転手の年収や労働環境から、バス運転手がブラックという話をお伝えします。
バス運転手の給料・年収はいくら?
バス運転手の給料はそんなに高くないんですよ。
例外として、
一部地域の公営バスの運転手なら、年収700万円程度
と、高給取りな一面はありますが…。
しかし、そんな例は限られた一部であり、民間バス会社は、もっと低いです。
バス運転手の年収を調べてみると、
400万円いくかいかないか
であることがわかりました。
年収が400万円程度あるのなら、平均的に思えますよね。
しかし、バス運転手の年収には、からくりがあります。
バス運転手の給料というのは、
大半が残業代で成り立っている
ことが、大きな問題なのです。
バス運転手の給料は、安いと言われていて、なんと、
基本給は十数万円しかありません。
バス運転士の給料が高給?
じゃ見せてやるよ。 pic.twitter.com/ERF6GY4LXy— 気まぐれバス運転士TR氏 (@tr36basu) November 21, 2020
2020年11月21日には、上のツイートが反響を呼びました。
一時期、バス運転手が高給だなんて某新聞が批判していたのは何だったんだ、と思える給料の安さですよね。
年収は残業代も含んだ数字なので、この時点で、バス運転手という職業の闇の深さを感じられます。
しかもバス運転手の基本給の安さは、長い期間続きます。
様々な職業の年収をまとめている『平均年収.jp』の情報によると、
- 50代になってようやく年収が400万円くらいに到達
- 月給は、20~40代頃まで基本給が十数万円しかない
などの特徴も見られました。
ベテランドライバーにならない限り、多くても基本給が20万円前半なのです。
民間バスの場合、
年収400万円を超えることは希少
と言えるのではないでしょうか。
バス運転手の職場環境はブラック?
基本給が安いうえに、残業で稼ぐスタイル
なんて聞くと、バス運転手がブラックな印象を受けますよね。
事実、
バス運転手という職業は、ブラックな労働環境に置かれている
ので、人手不足に陥っているんです。
ブラックだと言われる最大の理由が、給料の安さと労働時間の長さです。
給料は、先ほど紹介した通りですが、労働時間の長さも問題です。
バス運転手の労働時間は、労働基準法の例外に含まれている職業であり、『バス運転者の労働時間等の改善基準』によって、
1日13時間、条件付きで1日16時間拘束が可能
になっています。
一方で、
休息期間は最低8時間必要
とされ、出勤が終わって退勤し、
次に出勤するまでの時間が8時間あればいい
という話なので、そんなに良い条件ではないことがわかります。
それに加えて、バス運転手がブラックである理由を決定づけているもう1つの制度が、
中休
という、運転手業界独自のシステムです。
中休とは、中憩、中抜けとも呼ばれるシステムで、
朝の時間帯に勤務→昼から退勤→夜にまた勤務する
という流れで、1人が朝と夜の時間帯を担当する時に使われる形態です。
バスの運行は朝と夕方のラッシュ時に集中しやすく、昼間の運行は多くないため、人手が必要な朝夕に人員を回すために、この形をとっているのでしょう。
たとえば、
朝5時から9時まで勤務→中休6時間→夕方からの勤務6時間
といった感じです。
中休の時間は、退勤している扱いになるので、いわゆる自由時間になるのですが…
夜に仕事があるので、当然ながらお酒を飲むのはできません。
勤務地が自宅から遠い場合、帰るのに1時間、勤務地に戻るのに1時間なんてこともありえます。
次の勤務に影響をきたすようなことは、一切できないので、
事実上の待機時間であり、にもかかわらず拘束時間に含まれないため無給になってしまう
という点が、ブラック環境を助長しているのです。
また、9時に帰って、また朝5時から出勤となると、次の勤務時間まで8時間しかありません。
行き帰りで1時間ずつかかった場合、残った時間は6時間です。
食事や入浴なども含めたら、ロクな睡眠時間がとれません。
睡眠不足を補うために、中休時間に寝る人も多いのですが、結局のところ小刻みな睡眠になってしまい、健康には悪いですよね。
このように、バス運転手は、健康被害に繋がる危険性が非常に高い生活を送らなければならないのです。
それでいて給料が安いのですから、
ブラックと言われても仕方ないですし、人手不足に陥るのも頷けます。
よくバス会社がたくさん求人を出していますが、その理由も、ここまできたらわかりますよね。
- 劣悪な環境なのに、改善される兆しが見えないから人が入ってもすぐ辞めていく
- ブラックな環境が知られてきて、「バス運転手はやめておけ」と言われることが増えた
以上の背景にあって、人が入りたがらないのです。
地方によっては、労働環境の劣悪さに運転手がどんどん辞めていき、人手不足に陥った結果、
60~70代の高齢ドライバーがダイヤを回している
ところもあるようです。
そのうち、人がいなくなって地域からバスが消える…
なんていう事態もありえるのかもしれません。
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まとめ
バス運転手の給料は、
年収400万円もあれば良いほう
というレベルでした。
しかも、基本給は10数万~20万円程度です。
残業で稼いでいくスタイルとなっているので、労働に見合った対価とは言いづらいです。
加えて、職場環境はブラックというに等しく、拘束時間の長さや独自のシステムである中休勤務が、予想以上に体に負担をかけています。
バス運転手は、人の命を預かる仕事をしています。
これだけ過酷な労働環境なら、今の倍は給料をもらっていいような気がしてなりません。