ピアノの演奏で、『できたらいいな』と思う人が多いのが
『耳コピ(耳コピー)』
です。
筆者も、耳コピができます。
楽譜がなくても覚えている曲を弾けるのは、とても便利です。
それに、知っている曲ならその場でリクエストに応えられるので、喜んでもらえることも多いんですよ。
はい!
耳コピの仕方や練習方法がわかって、じっくり練習していけば、できるようになります!
ということで、この記事では
- 耳コピの仕方
- 耳コピ初心者のための練習方法
- 耳コピの練習のコツ
について解説します。
ぜひ読んで、耳コピに挑戦してくださいね!
ピアノの耳コピってどうやればいいの?
まず、初心者向けの耳コピのやり方を解説しましょう。
耳コピは
- その曲の調(キー)を見つける
- メロディーを耳コピする
- ベースラインを耳コピする
- コードを耳コピする
- メロディー、ベース、コードを合わせて弾く
という方法でやります。
慣れた人だと、メロディー、ベース、コードをいっぺんに聴き取って弾いたりもしますが、最初のうちは、それぞれに聴き取ったほうが良いです。
では、詳しく見ていきましょう。
その曲の調(キー)を見つける
耳コピをするときに、一番大事なのは
『その曲の調(キー)を見つけておく』
ということです。
ほとんどの曲には
ハ長調(Cメジャー)
⇒ドレミファソラシド
ニ短調(Dマイナー)
⇒レミファソラシ♭ ド♯ レ
というように、『調』があります。
調にはそれぞれ決まった音階があるので、
『調』がわかると、その曲で使われているメインの7つの音がわかり、音を取りやすくなるのです。
調を見つけるには、
- 一番低いパート(ベース)の最初の音を主音にした音階を弾いて、曲に合うかどうか確かめる
- 1で合わない場合は、曲に合いそうな音階を弾いて確かめる
という方法があります。
メモ
『主音』とは、音階の頭になる音のことです。
- ハ長調なら『ドレミファソラシド』の『ド』
- イ短調なら『ラシドレミファソ♯ ラ』の『ラ』
が、主音になります。
まずメロディーから耳コピする
曲の調を把握できたら、いよいよ耳コピです。
最初は、メロディーから聴き取っていきましょう。
メロディーの1フレーズ(ひと区切り)を、そらで歌えるくらいよく聴いてください。
このとき、『だいたい歌える』『メロディーを覚えた』というくらいではなく、
『どういう音の動きやリズムがあるか』などもしっかり把握して歌えるくらいになることが大切です。
歌えるくらいまで聴き込んだら、ピアノで歌の通りに弾けるまで、何度も弾きましょう。
弾くときも、『歌を再現する』という意識で弾きます。
フレーズを弾けるようになっても後になると忘れてしまう場合は、楽譜に書き留めておくと良いですよ。
ベースラインを耳コピする
メロディーを耳コピできたら、次はベースラインです。
『ベースライン』とは、曲の中で鳴っている最も低い音のことです。
メロディーより聴き取りにくいので、よく聴いて音を拾っていってください。
メロディー同様、ベースラインも、音程や動きがしっかり把握できるまで聴き込んで、ピアノで弾きます。
音が把握できたら、これも楽譜に書いておくことをおすすめします。
これには2つ理由があります。
- ベースラインはメロディーの次に聴き取りやすい
- ベースの音は、コードのルート音になることが多く、ベースを先に取るとコードを予想しやすくなる
ということからです。
メモ
『ルート音』とは、コードの土台になる音のことです。
たとえば
Cメジャー
⇒『ド』の音
Fマイナー
⇒『ファ』の音
がルート音になります。
コードを耳コピする
メロディーとベースラインの耳コピができたら、コードです。
コードを耳コピするときは
- ベースラインの音をルート音として、コードが何になるかを予想する
- 音源を聴きながらピアノでコードを弾いて、予測したコードと実際のコードが合っているか確かめる
- 実際のコードと違っていたら、ピアノで音を確かめながら合うコードを見つける
という方法がやりやすいです。
ベースの音はルート音になっていることが多いですが、必ずしもルート音であるとは限りません。
なので、コードを予想したら必ず確かめてくださいね。
メロディー、ベース、コードを合わせて弾いてみよう
メロディー、ベースライン、コードが、それぞれ耳コピできたら、合わせて弾いてみましょう!
いきなり弾くのが難しい場合は
- 右手パートはメロディー
- 左手パートの一番低い音にベースラインを配置する
- 左手のベースラインの上に、コードの構成音を入れる
という形で音を整理して、楽譜に書くと良いですよ。
そして、曲の雰囲気に合わせて左手のリズムを変えると、さらにその曲らしさを出せます。
耳コピ初心者のための練習方法
耳コピができるようになるのには、練習が必要です。
ここからは、練習方法について解説しましょう。
耳コピの練習向けの曲とは
耳コピを練習する時には、練習に向いている曲を選ぶことが大切です。
どんな曲が良いかというと、
- 調がはっきりしていて、途中で転調しない
- メロディーがわかりやすい
- メロディーやベースのリズムがシンプル
- コードがシンプル
- テンポがゆっくり
という曲です。
耳コピの練習には、ピアノだけの曲よりもボーカル+バンドの曲のほうが向いています。
- メロディーラインをボーカルが歌っているので、聴き取りやすい
- ベースが一番低い音を担当することが多いので、ベースラインが聴きやすい
ということからです。
『耳コピしやすい部分』だけでやってみよう
『耳コピ』というと、1曲丸ごと耳コピするイメージが強いかもしれませんが、
練習なら、『耳コピしやすい部分』だけ耳コピするのでもOKです。
おすすめなのが、『サビの部分を耳コピする』ということ。
サビはボーカルがはっきり聴こえることが多く、メロディーも耳に残りやすいですよね。
なので、耳コピしやすいのです。
『いろいろな曲のサビを片っ端から耳コピする』というのも良いですよ!
メロディーだけを耳コピする
耳コピに挑戦し始めて最初のころは、
まず『音を聴き取る』という作業に慣れることが大事です。
そのためには、『メロディーだけを耳コピする』ということも、良い練習になります。
ただし、先にも触れたように、
『メロディーをなんとなく覚える』のではなく、『歌の通りに再現できる』くらいまで聴き込むことを忘れないでくださいね。
『答え合わせ』をしてみよう
耳コピして、弾けるようになったら、原曲と比べながら
- 耳コピしたものを楽譜に書いて、楽譜を見ながら弾く
- 耳コピして弾いたのを録音して聴く
といった方法で、『答え合わせ』をしてみてください。
そうすると、きちんと聴き取れているかどうかが確認できます。
耳コピをしていると、どうしても音やコードを思い込みで覚えてしまうことがあります。
演奏なら違和感がなければOKですが、耳コピの練習では『正確に聴き取る』ことが大事です。
ですから、『答え合わせ』はぜひやってくださいね。
正確に耳コピする練習を重ねると、ベースラインやコードなども上手に聴き取れるようになりますよ!
『音をとる』ことがなかなかできない場合は
- 簡単なメロディーでも、なかなか音が取れない
- そもそも、音を聴いてもどの音が鳴っているかわからない
というときは、音感トレーニングから始めましょう。
トレーニングには、たとえばハ長調の音階『ドレミファソラシド』を使って
- 『ド』を弾く⇒『ド』を歌う、『レ』を弾く⇒『レ』を歌う、という風に、音階を1つずつ歌う
- 『ドレミファソラシド』の音からランダムに弾いて、1つの音を弾いた後、その音を歌う
といった方法があります。
また、シンプルな短い曲のメロディーを使って、
- 音源を聴きながら、音名(ドレミ)で歌う/ピアノで弾く
- 音源を聴いた後、音名で歌う/ピアノで弾く
- ピアノで弾きながら、音名で歌う
- 聴いて楽譜に書き、書いたらピアノで弾きながら音名で歌う
といったトレーニングを重ねると、音感がついてきます。
メモ
こういった音感トレーニングは『ソルフェージュ』と呼ばれる音楽トレーニングの1つです。
『ソルフェージュ』の教本の中にも音感トレーニングに使える曲が入っているので、必要に応じて使ってくださいね。
耳コピ練習のコツ
耳コピの練習にも、コツがあります。
それは
- 環境を整える
- 数をこなす
- 地道に練習を重ねる
ということです。
耳コピ練習の環境を整えよう
効率良く耳コピの練習をするには、『環境』も大切。
- 余計な音ができるだけ耳に入らない、静かな部屋で取り組む
- ヘッドホンやイヤホンを使う
など、音を集中して聴けるようにしましょう。
もちろん、ヘッドホンなどよりスピーカーから聴いたほうが聴きやすいなら、それでOKです。
自分にとって集中できる方法で、音源を聴くようにしてください。
また、耳コピでは同じ部分を繰り返し聴きます。
なので、音源を再生する時も、再生や停止、早戻しがしやすい機器を使いましょう。
こまめに練習し、数をこなす
耳コピの練習では
- 1~2小節くらいでもいいので、できるだけしょっちゅう耳コピに取り組む
- とにかく数をこなす
ということを心がけてください。
耳コピの練習は、『週に1度、40小節』より、『毎日4小節』のほうが上達が早いです。
しょっちゅうやることで、音を聴き取る感覚が育っていきます。
といっても、毎日できないこともありますよね。
無理のない範囲でOKなので、こまめに取り組むようにしましょう。
そして数をこなしていくと、少しずつ上達していきますよ!
根気よく続けていこう
耳コピは、最初はなかなかできないかもしれません。
でも、『耳コピのために曲を聴く』のは、普段音楽を聴くのとは違う感覚を使うのですから、すぐにできなくても当然です。
あきらめず根気よく続けていけば、耳コピはできるようになります。
楽しみながら、地道に取り組んでくださいね!
耳コピができると、どんなメリットがあるの?
そう思う人もいますよね。
耳コピができることの一番のメリットは、
楽譜が売っていない曲でも弾けることです。
そもそも筆者が耳コピをするようになったのは
- 弾きたい曲がマニアックすぎて、楽譜が売っていない
- 市販の楽譜のアレンジに納得がいかない
- 自分が気に入るアレンジの楽譜を、時間をかけて探すのが面倒
といったことがあり、『だったら、自分で耳コピするほうが早い』と思ったからです。
耳コピができるようになったおかげで、好きなアーティストの、コアなファンしか知らないような曲も、弾いて楽しんでいます。
もちろん、音楽をするのに『耳コピができること』は必須ではありません。
市販の楽譜を使って弾くのでも、十分音楽は楽しめます。
ですから、無理してまで耳コピにチャレンジしなくても、大丈夫です。
ただ、耳コピする(しようとする)ことには、他にもメリットがあります。
それは
- 音感やリズム感、コード進行の感覚などの感覚を鍛えられる
- 普通の『音楽を聴く』『楽譜を読んで弾く』のとは違う感覚を使うので、音楽に対する感覚が鍛えられる
- ピアノだけでなく、他の楽器のサウンドのイメージもつかめる
- 市販の楽譜を使うときにも、楽譜には書かれていないニュアンスを原曲からキャッチして演奏できるようになる
- 自分で曲をアレンジできるようになる
といったことです。
何より、音楽の楽しさも、ぐっと広がるんですよ!
ですから、耳コピに興味がある人は、どんどんチャレンジしてくださいね!
スポンサーリンク
まとめ
基本的な耳コピの仕方は
- 曲で使われている調を特定する
- メロディー、ベースライン、コードの順で耳コピしていく
- メロディー、ベースライン、コードが耳コピできたら、合わせて弾く
という方法です。
耳コピの初心者が練習するときには、
- 調がはっきりしていてテンポがゆるく、メロディーやリズム、ベースラインがシンプルな曲を使う
- サビなどの耳コピしやすい部分で練習する
- 最初はメロディーだけを耳コピして、『耳コピをする』という作業に慣れる
- 耳コピしたものを楽譜に書いたり弾いて録音したりして、原曲と比べて確認する
という方法がおすすめです。
そして、
- ヘッドホンを使うなど、集中して音源を聴けるようにする
- 頻繁に耳コピに取り組む
- 数をこなす
- 根気よく続ける
というのが、耳コピ練習のコツです。
耳コピができるようになると、音楽はさらに楽しくなりますよ。
ぜひ、楽しみながら挑戦してくださいね!