音楽には、いろいろな演奏のスタイルがあります。
オーソドックスなのは、『作った曲を、作った通りに奏でていく』というスタイルですが、
『即興演奏』
というのもありますよね。
即興演奏は、文字通り、『その場で作りながら演奏していく』という演奏スタイルです。
または、『アドリブ』とも言います。
大丈夫!
練習すれば、できるようになります!
ということで、今回は
- 即興演奏のやり方
- 即興演奏の練習方法
について解説します。
ぜひ読んで、挑戦してみてくださいね!
即興演奏ができると、音楽の幅もぐっと広がって、さらに楽しくなりますよ!
ピアノでの即興演奏のやり方
まず、ピアノでの即興演奏のやり方について、解説しましょう。
即興演奏はどうやってやる?
即興演奏のやり方は、基本的には
『思いつくままに、メロディーとハーモニーをつなげていく』
という、とてもシンプルなものです。
ただし、『思いつくままに』といっても、実際には
- あらかじめコードやリズムが決まっていて、その中で自由に演奏する
- コードやリズムも決まっていなくて、完全にその場で作りながら演奏する
と、大まかに分けて2通りの方法があります。
たしかに、『何も決めない』と聞くと、めちゃくちゃになりそうな気がしますよね。
でも、あくまでも
- 音楽では、ある程度コード進行の仕方が決まっている
- その曲の雰囲気や流れに合うように展開させていく
という背景がある上での『何も決めずに自由に』なので、突拍子もないぐちゃぐちゃの音楽にはならないのです。
即興演奏をするにはどんなことが必要?
即興演奏をするためには、どんなことが必要かというと
- ある程度の音感と演奏能力があること
- 各調の構成音や音階の構造を知っていること
- コード進行の基礎を知っていること
- いろいろな音楽を聴くこと
この4つは、最低限必要です。
ある程度の音感と演奏能力は必要
即興演奏をするには、何といっても『自分が出したい音が出せること』が必要ですよね。
ということは、
『自分が出したい音の鍵盤を瞬間的に判断して押せる』というくらいの音感と演奏能力は必要です。
出したい音が思い浮かんでから鍵盤を探すのでは、音楽の流れが途切れてしまいますものね。
各調の音階を知っておこう
即興演奏をするためには、各調の音階の
構成音
⇒それぞれの音階で、どの音を使うか
構造
⇒その音階で、それぞれの音がどういう関係で並んでいるか
を知って、使えるようにすることが大切です。
はい、ハ長調とイ短調を例にして、楽譜で見てみましょう。
音符と音符の間に『全』と書いてあるところは、隣の音との高さの差が全音、『半』と書いてあるところは半音を表しています。
このように、
音階は、どういう高さで音が上がっていくか(下がっていくか)が決まっているのです。
ということは、どの音が音階に入るかも、決まります。
ハ長調の音階には、『#レ』や『♭ラ』は入りませんよね。
音階の構成音と構造がわかっていれば、即興演奏をするときに、突拍子もない音が入ってしまうことはありません。
逆に、『アクセントとしてあえて構成音でない音を入れる』ということもできます。
メモ
音階の構成音や構造を身につけるには、
- いろいろな調の音階を、調を意識しながらたくさん弾く
- 曲を聴くときに、その曲の調を意識しながら聴く
という方法がおすすめです。
コード進行の基礎を知っておこう
音楽には、『どのコードをどのように並べるか』にも基本的なきまりがあります。
基本的なコード進行を抑えておくと、曲としてまとまりのある流れになりますし、メロディーも作りやすいですよ。
コード進行で一番シンプルなのが、ハ長調でいうと
- C-G-C
- C-F-G-C
という進行です。
また、『パッヘルベルのカノン』で使われている
『C-G-Am-Em-F-C-F-G…』
というコード進行は、いろいろな曲でよく使われています。
メモ
コード進行を覚えるには、本などで学ぶのも良いですし、いろいろな曲のコードを自分で書いてみるのもおすすめです。
自分で書くときは、最初はシンプルなコード進行の曲でやってみてくださいね。
音楽を聴くことの大切さ
即興演奏をする上では、
『音楽をたくさん聴く』ということが、とても大切です。
音楽をたくさん聴くと、
- 感覚的に、音楽の流れやコード進行をつかめるようになる
- 他のアーティストの音楽が、即興演奏のインスピレーションの種になる
といった効果があるのです。
また、即興演奏は、
『聴いた音楽のメロディー、リズムなどのパターンや流れを思い出し、組み合わせて実現すること』
でもあります。
それには、音楽を多く聴いたほうが良いのです。
そのとおり!
ですから、いろいろなジャンルやアーティストの、いろいろな音楽を聴いてください。
ピアノの即興演奏の練習方法
ここからは、具体的な即興演奏の練習方法について解説しましょう。
慣れていないうちはある程度枠を決める
即興演奏を練習するといっても、いきなり『自由に弾いて』と言われても、なかなかできませんよね。
即興演奏が初めてだったり、慣れていなかったりするときには、まず
最初のモチーフ(とっかかりになるテーマ)とコード進行を決めておく
というのがおすすめです。
たとえば、このようなモチーフを作ってコードを決め、そこから展開させてみるのです。
これだけだとやりにくいときは、
『さらにこの先のコードも決めて、メロディーだけを即興で弾く』
という練習をしましょう。
少し慣れてきたら、
- 最初のモチーフだけを決めておく
- 最初のモチーフも作らずに、コード進行だけを決めておく
というところから演奏する練習をしてください。
最初はシンプルなコード進行で
何の練習でも、最初はシンプルなところから始めますよね。
即興演奏も、
最初はシンプルなコード進行を使って練習するようにしましょう。
最初から複雑なコード進行を使ってしまうと、ついていけなくなってしまうからです。
最初は2~3種類のコードくらいにしておき、徐々にいろいろなコードを使うようにしてくださいね。
ちなみに、先に紹介した『パッヘルベルのカノン』のコード進行
『C-G-Am-Em-F-C-F-G…』
を繰り返して延々と弾いてみる、というのもおすすめですよ。
メモ
『シンプルなところから始める』という点では、左手のパートも最初はシンプルでかまいません。
- コードの和音を抑える
- 『ドミソ シレソ』といったシンプルな分散和音を使う
という風にすると、右手のメロディーを弾く余裕が作りやすいです。
左手の即興演奏の練習
即興演奏をするなら、左手の伴奏パートも自由に弾けるようになりたいですよね。
そのためには
- 簡単なメロディーにコードを振っておく
- 左手のパートを、コードに基づいて即興で弾く
という練習もおすすめです。
メロディーを即興で弾く練習とは逆に、『メロディーは固定しておき、左手を自由に弾く』という練習方法です。
左手の練習をするときには、
『1つのメロディーに対して、いろいろなパターンの伴奏をつける』
というのも効果的です。
この練習方法には
- 曲の雰囲気に合わせて、ある程度パターン化した伴奏を使えるようになる
- 伴奏を変えることで曲の雰囲気を変えることができるようになる
というメリットがありますよ。
『先を考える』のが大事
即興演奏では、『弾きながら、今弾いているところの先を考える』ということが大切です。
音楽はどんどん流れていくものです。
ですから、『今弾いた音』ではなく、
- この先の音楽の流れ
- 次の音やハーモニー
を考えながら弾く癖を育てていきましょう。
楽譜の見方で、『今弾いているところを見るのではなく、次の小節を見ること』と、よく言われますよね。
それと同じです。
即興演奏の練習のコツ
即興演奏の練習には、いくつかコツがあります。
それは
- とにかくまず、やってみる
- 数をこなす
- 録音して聴く
ということです。
とにかくやってみる
即興演奏に限らず、何かをできるようになりたいと思うなら、
あまりあれこれ考えず、とにかくやってみることです。
- メロディーが思いつかないんじゃないか
- 今までに聴いた曲の真似になっているんじゃないか
といったことは、考える必要はありません。
『メロディーを思いつく』なんて、最初はできなくて当たり前です。
また、結果的に何かの曲の真似になっていたとしても、世に出さなければ良いだけの話です。
気楽に取り組んでくださいね!
数をこなす
即興演奏をするには、『即興で弾くことに慣れる』ということが大切です。
そのためには、数をたくさんこなしていきましょう。
毎日少しずつでも短い曲でもいいので、『即興で弾く』ということをどんどんしてください。
そうすると、メロディーを思いついたり曲を展開させていくことにも、馴染んできます。
録音して聴いてみる
自分の即興演奏を録音して聴くのは、とても良い練習方法です。
録音して聴くと
- 自分がどんな風に即興演奏をしているのか、客観的に点検できる
- 自分の即興演奏にパターンがあることに気づきやすい
- どういうところで詰まってしまうのか、考えやすい
といったメリットがあります。
『即興演奏』は弾きながら曲を作るので書き留められませんし、すべて覚えていられる人も、そうそういません。
となれば、自分の即興演奏がどうかを知るためには、録音が最も手っ取り早いのです。
慣れてきたら幅を広げよう!
即興演奏をすることに慣れてくると、
『自分の即興演奏のパターンができてくる』
ということも、よくあります。
たとえば
- メロディーの展開の仕方が、どの曲も大体同じ
- いつも同じようなコード進行をしている
- 似たようなスタイルの伴奏になる
といったことです。
幅を広げたいなら、『よく使うパターン』を一旦封印して、使わないように心がけてみましょう。
これは結構大変です。
でも、今まであまり使わないメロディーラインやリズム、コード進行などを身につけるチャンスにもなります。
もちろん、パターンを『その人らしい演奏』として使うこともできます。
でも、パターンができると、即興演奏が楽になる半面、『いつも同じ雰囲気になってしまう』といったデメリットも出てきます。
ですから、いろいろな演奏ができるようになったほうが良いのです。
1つのパターンだけではなく、いろいろな即興演奏ができると、
- 音楽が多彩になる
- お気に入りのパターンの中に違う要素を取り入れることで、アクセントになる
など、メリットがあります。
自分のお気に入りのパターンも、より生かすことができますよ!
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まとめ
『即興演奏』は、その場で自由に音楽を作りながら演奏していくものです。
『自由に』といっても、
- それぞれの調で使われる音や音階の構造
- 基本的なコード進行
といったことは、抑えておく必要があります。
基本的なことも何もなく音を並べるだけでは、しっちゃかめっちゃかになりかねませんから。
また、メロディーやコード進行の感覚をつかむために、いろいろな音楽を聴くのも大事です。
即興演奏の練習では、最初は
- シンプルなモチーフとコードを決めて、そこから展開してみる
- コードを決めておき、メロディーを自由に乗せてみる
- 左手の練習では、シンプルなメロディーとコードに伴奏をつける
といった簡単なところから始めていきましょう。
即興演奏は、最初はなかなかできなくても、
根気よく練習していけば少しずつできるようになります。
ぜひチャレンジしてみてくださいね。
思うままにピアノが弾ける、楽しい世界が待っていますよ!