アメリカザリガニが日本で増えた理由とニホンザリガニとの違いとは

子供の頃、用水路などで、ザリガニ釣りをした経験はありませんか?

そのとき捕まえたザリガニの種類は何だったか、覚えていますか?

きっと体の赤い、

アメリカザリガニ

であることが、ほとんどではないでしょうか。

アメリカザリガニは、日本で最も多く見られるザリガニです。

外来種でありながら、なぜ最も多いのか気になりませんか?

この記事では、

アメリカザリガニが日本で増えた理由と在来種・ニホンザリガニとの違い

について解説していきます。

アメリカザリガニが日本で増えた理由

アメリカザリガニは、その名の示す通り、アメリカ原産のザリガニです。

そんなアメリカザリガニが、今や日本全国で見られるほど増えた理由としては、

高い適応能力などを持っているから

と考えられています。

アメリカザリガニが日本に入ってきた意外な理由

アメリカザリガニは当初、

ウシガエルの『エサ』

として日本に入ってきました。

日本は大正時代から、ウシガエルを食用として輸入していたのです。

そこで昭和2年、ウシガエルの『エサ』として、ともに日本に送られたのがアメリカザリガニでした。

しかし横浜港に着くと、肝心のウシガエルは全滅状態。

食用だったウシガエル

アメリカザリガニも一緒に約100匹ほど積まれていたそうですが、

生き残っていたのは27匹だけ

だったそうです。

そこで不要となってしまったアメリカザリガニたちは、

鎌倉の養殖池に放置された

と言われています。

そして、そのたったの27匹が北海道から南西諸島まで広がり、最も一般的なザリガニとなったのです。

このように、

食べられる運命にあったはずのアメリカザリガニが、その後の日本で爆発的に繁殖していくことになった

のです。

アメリカザリガニの適応能力の高さ

では、このすさまじい繁殖力の理由はなんなのでしょうか。

アメリカザリガニは、なんと

自分たちに都合の良い環境を作り上げることができる

のだそうです。

外来種は、本来とは異なる環境に適応し、そこで繁殖するのは難しいと考えられます。

しかしアメリカザリガニは、自ら

水草を刈り取ること

で繁殖してきました。

水草を刈り取ると、エサとなるトンボやユスリカなどの幼虫などを見つけやすくなります。

効率よくエサを食べることができ、その結果、アメリカザリガニが個体数を増加させてきたと考えられているのです。

また、詳しくは後述しますが、アメリカザリガニは極めて高い繁殖能力も持っています。

さらに、このアメリカザリガニの高い適応・繁殖能力に加え、

  • 日本には天敵となる生き物がいなかったこと
  • アメリカと日本の気候が似ていたこと
  • 人間によって運ばれることで、繁殖地を増やしていったこと

なども、日本でアメリカザリガニが繁殖した理由として考えられているのだとか。

このように

アメリカザリガニが日本で爆発的に増えた理由としては、高い適応・繁殖能力とその他の条件が有利に働いた

ということですね。

アメリカザリガニとニホンザリガニとの違い

ニホンザリガニ

ここまでアメリカザリガニの『強さ』を紹介しましたが、では在来種のニホンザリガニは『弱い』のでしょうか。

結論を言うと、

ニホンザリガニは適応・繁殖能力という点で、アメリカザリガニに劣ります。

それでは具体的に、アメリカザリガニとニホンザリガニの違いについて見ていきましょう。

アメリカザリガニの特徴とは?

アメリカザリガニは、アメリカのミシシッピ川流域原産のザリガニです。

現在の日本では北海道から南西諸島にかけて、広い地域で見ることができます。

アメリカザリガニは水深が浅く、流れの穏やかな泥底などに生息していることが多いようです。

しかし人間の生活排水が流れ込むような、

悪い水質であっても、生きて適応できる強さ

があります。

体の色は、赤もしくは褐色をしていて、体長はおよそ10センチメートルほどです。

中には20センチメートル近くある個体も存在するそうです。

アメリカザリガニは雑食で、水草から小魚まで食べ、エサが少ないと共食いまでします。

繁殖期は春から秋にかけてといわれ、メスは一度に数百個の卵を産むそうです。

寿命は、5年程度と言われています。

ニホンザリガニの特徴とは?

これに対して日本の在来種であるニホンザリガニは、

水温が20度以下のきれいな水が流れる、谷川のようなところ

でしか生きることができません。

かつては北日本を中心に多く生息していたそうですが、

現在は東北地方や北海道の南部にしかいない

と言われています。

秋田県大館市にあるニホンザリガニの生息地は、国の天然記念物にも指定されているほどです。

ニホンザリガニの体の色は茶褐色、もしくは黒っぽくて地味です。

さらに体長はおよそ5~6センチメートルと小さいのです。

主に広葉樹の落ち葉などを食べているそうで、繁殖活動は年に一度に限られます。

一度の産卵数は50個程度といわれ、寿命は5~10年です。

アメリカザリガニとニホンザリガニの違い

以上のアメリカザリガニとニホンザリガニの違いをまとめると、下記のようになります。

アメリカザリガニは(ア)、ニホンザリガニは(ニ)としています。

  • 【日本における生息地】(ア)北海道から南西諸島(ニ)東北・北海道の一部
  • 【好む場所】(ア)流れの穏やかな泥底 水質が悪くてもOK(ニ)20度以下のきれいな水
  • 【体の色】(ア)赤・褐色(ニ)茶褐色・黒っぽい
  • 【体長】(ア)およそ10センチメートル(ニ)およそ5~6センチメートル
  • 【食べ物】(ア)雑食(ニ)広葉樹の落ち葉
  • 【繁殖時期】(ア)春から秋(ニ)年1回
  • 【産卵数】(ア)数百個(ニ)50個程度
  • 【寿命】(ア)5年(ニ)5~10年

特に、それぞれの好む場所や繁殖時期、産卵数の違いに着目してみてください。

これらより、

適応能力や繁殖能力といった点では、ニホンザリガニはアメリカザリガニに負けている

と言えるでしょう。

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まとめ

アメリカザリガニが日本で増えた理由は、

高い適応能力と繁殖能力、その他の条件が揃ったため

と考えられます。

ニホンザリガニとの違いとしては、体の色や体長なども挙げられますが、やはり

適応能力と繁殖能力が格段に違うこと

がわかります。

親しみすら感じるアメリカザリガニですが、実は

日本の侵略的外来種100選

に選ばれています。

生態系を壊す、非常に厄介な存在です。

捕まえたアメリカザリガニを、他の場所に放したりすることはやめましょう。

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