現在、高校で学習する物理は、物理基礎と物理という2つの科目に分かれています。
その二つがどんな風に違うのか、知っていますか?
この記事では、物理基礎と物理の違いについて解説していきます。
『物理基礎』と『物理』の違いは?
物理基礎と物理は、どちらも高校で学習する物理の科目です。
同じ物理という枠の中の科目ではあるのですが、それぞれで学習する範囲・内容が大きく異なります。
2014年度まで、高校の授業で学習する物理の範囲は、
- 物理Ⅰ
- 物理Ⅱ
と呼ばれる2つの科目に分かれていました。
以前の科目名の方に馴染みがある人も多いかもしれませんね。
しかし、2015年度に指導要領が改訂されたのと同時に、
- 物理基礎
- 物理
と呼ばれる2つの科目に変更されました。
主に物理Ⅰで取り扱っていた基礎的な内容は物理基礎へ。
物理Ⅱで取り扱っていた応用的な内容は物理へ移行しました。
『物理基礎』とは
物理基礎とは、2015年度から高校物理の授業として導入された、新しい科目の名称です。
2014年度まで物理Ⅰと呼ばれていた科目の範囲が見直されて、名前も物理基礎に変更されました。
物理の基礎的な内容を学ぶための科目で、専門科目である物理を履修する際の知識の基盤となります。
物理基礎以外の同じ立ち位置の理科系基礎科目として、
- 生物基礎
- 化学基礎
- 地学基礎
があります。
『物理』とは
物理とは、物理基礎と同じく2015年度から導入された、高校物理の授業の科目名です。
それまで物理Ⅱと呼ばれていた応用科目の内容が見直され、名前も物理に変更されました。
物理基礎の内容を学習した上で学ぶことが前提とされている、専門科目です。
他の理科系応用科目として、
- 生物
- 化学
- 地学
があります。
『物理基礎』と『物理』違いを比較
物理基礎と物理が、
同じ物理の中でもそれぞれ異なる性質を持った科目で、取り扱う単元の範囲も異なっている
ということは分かりました。
では、具体的にはそれぞれにどんな単元が含まれているのでしょうか?
『物理基礎』に含まれる単元
物体の運動とエネルギー
様々な物理現象とエネルギーの利用
物質の三態
放射線・原子力の利用
専門的な分野は少なめで、文系の人も学習しやすい内容となっています。
物理の基礎となる知識をしっかり学ぶことができる基礎科目です。
『物理』に含まれる単元
様々な運動
波
電気と磁気
原子
物理基礎と比べて、物理は主に理系の人が履修することが多い応用科目です。
物理基礎で学ぶ知識をベースとした、専門的な学習内容が多くなっています。
旧課程から新課程への変化
指導要領の変更に伴い、科目名だけでなく内容に関しても大きく変わった高校物理。
現在では、この変更前のものが旧課程、変更後のものが新課程と呼ばれています。
では、旧課程から新課程へ移行した際の学習範囲の変化はどのようなものだったのでしょうか?
『旧課程』と『新課程』の意味
新しい『学習指導要領」に基づいた教育過程のことを、一般的には新課程と呼びます。
『学習指導要領』とは、文部科学省が定めている学校で学ぶ教育内容の指針のことです。
この指針は、
およそ10年に1度くらいの間隔
で見直されていて、数学と理科については、2015年度の大学入試を受ける高校生より、新しい教育過程が適用されています。
新課程の導入により、
それまで使用されていた教育課程が旧課程
と呼ばれるようになりました。
『物理Ⅰ』から『物理基礎』へ
力学の内容に関しては、物理Ⅰに含まれていたものを、ほとんど引き継ぎました。
しかし、それ以外の単元については扱いが軽くなり、その分は物理へ移動したのです。
また、少しではありますが、放射線・原子力のように物理Ⅱから入ってきた単元もあります。
センター試験においての出題量は減少しましたが、
難易度の変化はない
と言われています。
『物理Ⅱ』から『物理』へ
もともと、物理Ⅱに含まれていた単元のほとんどは物理へ引き継がれ、そこに物理Ⅰから移動してきた単元が加わったため、
範囲がより広くなりました。
また、原子に関しての分野はこれまで選択式でしたが、必修の単元となりました。
センター試験では、出題内容が増加した代わりに一部を選択式の問題に変更しています。
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まとめ
物理基礎は、物理の中でも基礎となる内容を学習する科目で、主に旧課程における物理Ⅰの範囲が含まれます。
物理は、物理基礎よりも専門的な内容を学習する科目で、主に旧課程における物理Ⅱの範囲が含まれます。
旧課程から新課程になったことで、学習範囲の若干の変更や、センター試験における出題方法の変化がありました。
理系の人はもちろんですが、文系の人も、ほとんどの場合は理科の基礎科目を選択する必要があります。
この記事で紹介した物理基礎と物理の違いを理解した上で、選択科目を選んでくださいね。