空高く、悠々と羽を広げて飛ぶ鷲(ワシ)や鷹(タカ)、鳶(トビ/トンビ)の姿を目にしたとき、その自由な様子に心が奪われた経験はありませんか?
まるで『空の王者』といっても過言ではない、その風格。
でも、大空を翔るその鳥が、
- 鷲(ワシ)
- 鷹(タカ)
- 鳶(トビ/トンビ)
の、どれか見分けるのは難しいですよね。
どれも同じ猛禽類なのですが、一見してよく似ています。
古代から現代まで、強く勇敢な鳥として、神話や物語に登場してきた、鷲(ワシ)や鷹(タカ)、鳶(トビ/トンビ)。
注目度の高い鳥ですが、いったい何が違うのでしょうか。
この記事では、鷹(タカ)と鷲(ワシ)と鳶(トビ/トンビ)の違いと、見分け方とともに解説していきます!
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トンビ)の違い
鷹(タカ)と鷲(ワシ)、鳶(トビ/トンビ)は、同じ、タカ目タカ科の鳥です。
属している科や目は一緒ですが、それぞれ種類によって学名と和名、英名がつけられています。
学名で種類を識別しますが、私たちになじみの深いのは、『和名』ですね。
例えば、
イヌワシは、
学名が Aquila chrysaetos
和名が、イヌワシ
英名が、Golden Eagle(ゴールデンイーグル)
となります。
日本人であれば、和名に馴染んでいるため、属する科や目に注目することはあまりありません。
科や目に注目すれば、鷲(ワシ)も鷹(タカ)も鳶(トビ/トンビ)も同じなので、同じ仲間であることがわかるのです。
ちなみに、英語で
鷲(ワシ)は、Eagle(イーグル)
鷹(タカ)は、Hawk(ホーク)
と呼びます。
案外、このあたりで混乱してしまうのかもしれませんね。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)大きさの違い
まず、鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)の大きさの違いをみてみましょう。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)は、同じタカ目タカ科の猛禽類ですが、
大きさによって区別
されています。
大きさの順では、
鷲(ワシ)が最も大きく、鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)が同じくらい
ポイント
鷲(ワシ)>鷹(タカ)=鳶(トビ/トンビ)
と考えていいでしょう。
もちろん例外はありますが、大きさの違いは、おおよその目安になります。
鷲(ワシ)の大きさ
タカ目タカ科のなかで、比較的大きい種類が鷲(ワシ)とされています。
大鷲(オオワシ):全長約88~100cm超え、翼開帳約220~250cm
尾白鷲(オジロワシ):全長約78~98cm、翼開帳180~240cm
イヌワシ:全長約75~95cm、翼開帳168~220cm
大鷲(オオワシ)は、日本で最大の猛禽類になります!
また、アメリカ合衆国の国鳥でもある、
白頭鷲(ハクトウワシ)
は、英名で、Bold Eagle(ボールドイーグル)と呼ばれ、全長は約76~92cm、翼開帳は200cmを超えています。
鷹(タカ)の大きさ
鷹(タカ)は、タカ目タカ科に属する鳥で、比較的小さめの鳥です。
大鷹(オオタカ):全長約50~60cm、翼開帳100~130cm
クマタカ:全長約75~80cm、翼開帳160~170cm
体は、鷲(ワシ)より小さいといっても、翼を広げたら100cm以上、大きいものでは170cmあるので、空を飛ぶ姿は勇壮ですね。
かの徳川家康も、鷹(タカ)が好きで、戦闘訓練の健康維持のため、鷹(タカ)狩りを楽しんでいました。
鳶(トビ/トンビ)の大きさ
漢字では『鳶』と書いて、『トビ』または『トンビ』と読みます。
地域によって、呼び方が変わるようですね。
鳶(トビ/トンビ):全長約60~65cm、翼開帳は、150~160cm
大きさは鷹(タカ)と同じくらいですね。
鳶(トビ/トンビ)は、
『トンビが油揚げをさらう』『トンビが鷹(タカ)を生む』
などのことわざもあるとおり、
鷲(ワシ)や鷹(タカ)より格下に見られがち…
でも、山間を気流に乗って旋回する姿をみたら、人間のつけた格付けなんて我関せずといった感じですね。
例外もあるので注意!
大きさでみると、大きいのが鷲(ワシ)で、鷲(ワシ)よりも小さいサイズが鷹(タカ)と区別するのが一般的ですが、例外もあります。
まず、鷹(タカ)より小さい鷲(ワシ)もいます。
たとえば、八重山列島に生息するカンムリワシは、体長55cmくらいで、オオタカの雌よりも小振りです。
反対に、『森の王者』と呼ばれるクマタカは、タカですがイヌワシに近い大きさがあります。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)画像で見る違い
大きさの違いを解説しましたが、ここで、鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)の姿を実際の画像で見比べてみましょう。
まだ一度の、ワシやタカやトンビを見たことがない…
という人もいるでしょう。
画像でも圧倒的な迫力ですよ!
オオワシ
オオワシは、タカ科オジロワシ属。
日本最大の猛禽類です。
オジロワシ
タカ科オジロワシ属の、オオワシと同じ仲間です。
日本では最も大きな猛禽類の一種です。
イヌワシ
タカ科イヌワシ属。
オオワシ、オジロワシとともに鳥類天然記念物です。
クマタカ
タカ科クマタカ属。
大型で攻撃性が強いため、かつて東北地方では、飼いならして『鷹(タカ)狩り』に用いられていました。
トビ/トンビ
タカ科トビ属。
もっとも身近な猛禽類です。
上空を飛びながら、餌を見つけると、急降下して捕獲します。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)見た目の違い
鷲(ワシ)と鷹(タカ)、鳶(トビ/トンビ)は、大きさに加えて、見た目の違いのポイントを抑えると、もっとわかりやすくなります。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)の尾の形の違い
鷲(ワシ)の尾は、真っすぐに伸びていて、両脚に対して平行になっています。
対して、鷹(タカ)の尾は、扇状に広がっています。
模様や色の違い
鷹(タカ)には、腹面と翼の下に鷹斑(たかふ)と呼ばれる独特の模様が入っています。
日本の猛禽類である、クマタカ、オオタカ、ハイタカにはこの模様が見られます。
でも、鷲(ワシ)には、この鷹斑(たかふ)は入っていません。
また、鳶(トビ/トンビ)は全体的に濃い茶色や褐色の目立たない体色をしています。
ただし、鷹斑(たかふ)についても例外があり、アカハラダカという小さい鷹(タカ)の雄にはこの模様はありません。
また、鷹斑(たかふ)があっても、鷹(タカ)と呼ばれない猛禽類もいます。
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)鳴き声の違い
鷲(ワシ)の鳴き声は、「ピィーー」「ピィピィ」といった感じの、猛禽類独特の高音です。
鷹(タカ)も高音で、「ピィ―」と「カッ」「ケッ」が混じったような、表現するのが難しい声です。
鳶(トビ/トンビ)は、鳴き声が一番特徴があって、「ピーヒョロロロ」と鳴きます。
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まとめ
鷲(ワシ)と鷹(タカ)と鳶(トビ/トンビ)は、どれもタカ目タカ科の猛禽類に属しています。
大きさの違い
鷲(ワシ)と鷹(タカ)は、タカ目タカ科の猛禽類という同じ仲間ですが、
大きい方を鷲(ワシ)
小さい方を鷹(タカ)
と呼んで区別していると考えていいでしょう。
また、鳶(トビ/トンビ)は、鷹(タカ)と同じくらいの大きさです。
見た目の違い
鷲(ワシ)の尾は、真っすぐ伸びて両脚と平行です。
鷹(タカ)の尾は、扇状に広がっています。
そして、鷹(タカ)には、鷹斑(たかふ)という模様が入っていますが、鷲(ワシ)には入っていません。
鳶(トビ/トンビ)は、全体的に濃い茶色か褐色で目立たない体色です。
鳴き声の違い
鷲(ワシ)の鷹(タカ)も鳶(トビ/トンビ)も、猛禽類独特の高音で鳴きますが、
最も特徴があって見分けやすいのが、
鳶(トビ/トンビ)の「ピーヒョロロロ」
という鳴き声です。
高い空を悠々と飛ぶ鳥の姿を見かけたら、それが鷲(ワシ)か鷹(タカ)か、それとも鳶(トビ/トンビ)か意識してみてください。
そうやって、空を見て思いを巡らすことが、毎日の疲れを忘れる癒やしの時間に繋がるかもしれませんよ!