今や世界的人気漫画となった、『ONEPIECE』。
『ONEPIECE』の作者である尾田栄一郎先生は、今でこそ超一流漫画家として名を馳せていますが、そんな先生にも、
アシスタントとして師匠に師事していた時代がありました。
つまり、師匠と呼ばれる人物がいたわけです。
尾田栄一郎先生の師匠となる人物は複数人います。
- 甲斐谷忍先生
- 徳弘正也先生
- 和月伸宏先生
の3人の漫画家が該当するのですが、中でも一番の師匠と呼べるのが、徳弘正也先生です。
徳弘正也先生は、尾田栄一郎先生に、どんな影響を与えたのでしょうか?
この記事では、『ONEPIECE』の尾田栄一郎先生と、その師匠・徳弘正也先生との関係を紐解いていきます。
尾田栄一郎の師匠・徳弘正也

ジャングルの王者ターちゃんと狂四郎2030
尾田栄一郎先生は、最初からプロ漫画家だったわけではなく、アシスタント時代がありました。
アシスタントを務めた順番は、
甲斐谷忍先生⇒徳弘正也先生⇒和月伸宏先生
の順です。
甲斐谷忍先生は『LIAR GAME』、和月伸宏先生は『るろうに剣心』で有名ですね。
そして、尾田栄一郎先生の一番の師匠と言える人物が徳弘正也先生です。
なぜ一番かというと、尾田栄一郎先生自身が、徳弘正也先生のことを、
「師匠」
「一生の恩人」
と語っているからです。
では、尾田栄一郎先生の師匠である徳弘正也先生とは、どんな漫画家なのでしょうか?
徳弘正也先生は、近年では青年漫画に絞って活動しているため、若い世代だと知らない人も多いかもしれません。
徳弘正也先生は、1982年にホラー風味のコメディ漫画で第17回赤塚賞の佳作に入賞すると、
翌年に、
『シェイプアップ乱』
で、週刊少年ジャンプに連載デビューしました。
実は、この作品で
『もっこり』という表現が使われた初めての漫画
なんですよ。
この『もっこり』は、『シティーハンター』が有名かと思いますが、実は『シティーハンター』以前に、徳弘正也先生が考えついていたのです。
その後も数多くの連載をしましたが、中でも徳弘正也先生の代表作と言える作品は…
『ジャングルの王者ターちゃん♡』
『狂四郎2030』
です。
とくに『ジャングルの王者ターちゃん♡』はアニメ化もされ、1993年10月14日~1994年9月29日の約1年間、放送されました。
徳弘正也先生の得意分野といえば、『もっこり』でもわかるように、下ネタなどの過激なギャグです。
ギャグの中でも、
『下ネタを扱わせたら彼以上の存在はいない』
とすら言われるほど、下ネタに長けているのです。
もちろん、人間ドラマに焦点を当てたシリアスな作品もあります。
でも、100%シリアスではなく、真面目なシーンの中にも、ギャグを織り交ぜています。
それに、人間ドラマを描くことも上手いため、ただギャグ一辺倒な漫画家でもないのです。
徳弘正也先生は、ギャグとシリアスの緩急を上手くつけることに長けているんです。
徳弘正也と尾田栄一郎の関係
その独特なセンスから、『天才』とも呼ばれる徳弘正也先生。
かつてアシスタントをしていた『ONEPIECE』の尾田栄一郎先生に、どのような影響を与えたのでしょうか?
まずは、尾田栄一郎先生と徳弘正也先生の関係から見ていきましょう。
尾田栄一郎先生が、徳弘正也先生のアシスタントとして活動していたのは、
『ジャングルの王者ターちゃん♡』
『水のともだちカッパーマン』
の頃であり、この2作の製作に参加していました。
尾田栄一郎先生曰く、徳弘正也先生は、
「厳しかったが、きっちり時間通りに、だが手を抜かず仕事を終える」
という人で、徳弘正也先生のアシスタントになったことで、漫画家としての基礎を学んだみたいです。
厳しさだけでなく、徳弘正也先生の優しさが感じられるエピソードもあります。
尾田栄一郎先生は、鳥山明先生のことを「神」と呼ぶほど、尊敬していますよね。
だから、鳥山明先生のサインを、とても欲しがっていました。
そこで赤塚・手塚賞のパーティーに出席した際、師匠である徳弘正也先生に、鳥山明先生のサインをもらえるよう仲介をお願いしたのです。
徳弘正也先生は、この仲介を快く引き受けてくれて、尾田栄一郎先生は鳥山明先生のサインを手に入れました。
徳弘正也先生の懐の深さが、よくわかるエピソードですよね。
現在でも、二人のエピソードはあります。
尾田栄一郎先生の『ONEPIECE』が、ワノ国編に突入したあたりで、徳弘正也先生が新連載『もっこり半兵衛』を連載開始しました。
その時、尾田栄一郎先生は『ONEPIECE』の巻末コメントで
刺激になった
とコメントしているなど、師弟関係は良好であることがわかります。
徳弘正也が尾田栄一郎に与えた作風への影響
徳弘正也先生は、尾田栄一郎先生の作風にどんな影響を与えたのでしょうか?
『ONEPIECE』の作風には、ところどころ徳弘正也先生の影響を受けている部分が見受けられます。
まず最初に紹介するのは、独特な泣き顔です。
『ONEPIECE』では、どんなにイケメンでカッコよかったり、可愛かったり美人なキャラでも、
鼻水を垂らしながら泣くことがあります。



ONEPIECEの泣き顔
この『鼻水を垂らしながら泣く』という泣き顔は、
徳弘正也先生の漫画によく見られる表現です。
尾田栄一郎先生の泣き顔については、
完全に徳弘正也先生の影響を受けている
と言って良いでしょう。
続いて、『ONEPIECE』の根幹ともいえる部分に、徳弘正也先生の影響が現れています。
『ONEPIECE』は、シリアスなシーンであっても、ギャグが織り込まれていますよね。
たとえば、ルフィが変な聞き間違いをしたり…
シリアスの中にギャグを織り交ぜる
という作風は、師匠である徳弘正也先生の真骨頂とも言える部分です。
作品の根幹という意味では、
背景の描き込み
も、尾田栄一郎先生が、徳弘正也先生の影響を受けている部分です。
『ONEPIECE』はよく、
「背景がごちゃごちゃしている」
「背景こだわりすぎ!」
などと言われることがあります。
尾田栄一郎先生が、背景をしっかり描き込むことには、師匠・徳弘正也先生のある言葉が影響しています。
2012年に発売された『ONE PIECE BLUE DEEP』にて、尾田栄一郎先生は、
徳弘正也先生に言われた「描き込みは伝わるんだぞ」という言葉が、最も印象に残った
と語っています。
徳弘正也先生の、この言葉があるからこそ、尾田栄一郎先生の描き込みの綿密さがあるのです。
これらの共通点やエピソードを見るだけでも、
師匠・徳弘正也先生は、弟子・尾田栄一郎先生の作風に影響を与えている
のは確実と言えますね!
スポンサーリンク
まとめ
『ONEPIECE』の尾田栄一郎先生は、過去に複数の漫画家のアシスタントとして働いてきました。
その中でも、師匠・徳弘正也先生との関係が濃厚です。
尾田栄一郎先生が、アシスタント時代に徳弘正也先生から学んだものは多く、
- キャラの泣き顔
- 背景の描き込み
- シリアスとギャグの緩急
など、漫画家としての尾田栄一郎先生の作風に大きな影響を与えています。
以上のことは、尾田栄一郎先生が徳弘正也先生のことを、
「一生の恩人」
と語っていることからも、明らかです。
漫画家の技術は、その人で終わるのではなく、師匠から弟子に受け継がれていくものだったんですね!