近年、メジャーリーグの強豪球団となっているヒューストン・アストロズ。
しかし、その裏で、
2017年頃からサイン盗みをしていた
という疑惑が浮上し、メジャーリーグを騒がせていますよね。
既にアストロズのGMらが処分、さらに当時の関係者だった3人の人物が、監督を解任されるという事態まで起きています。
アストロズは一体、どんな手口でサイン盗みをしていたのでしょうか?
当記事では、アストロズのサイン盗み問題について、アストロズがどのような方法でサインを盗んでいたのかを探っていきます。
アストロズのサイン盗み問題で3人の監督が解任
ヒューストン・アストロズは、2017年にはワールドシリーズを制覇し世界一になりました。
また、2019年にもワールドシリーズに進出しましたが、ナショナルズに敗れワールドチャンピオンは逃しています。
そんなアストロズに、サイン盗み疑惑が浮上したのが、2019年のオフシーズンのこと。
なんと、
アストロズが世界一となった2017年に、サイン盗みをおこなっていた
という証言が上がったのです。
スポーツを専門にしているサイト『The Athletic』が、4人のチーム関係者から聞き取りをおこない、
アストロズがホームの試合でサイン盗みをしていた
ということを明かしました。
また、別の報道では、サイン盗みに大きくかかわったとして、
- アストロズのAJ・ヒンチ監督
- アストロズ元コーチのアレックス・コーラ氏
- アストロズOBのカルロス・ベルトラン氏
の名を挙げています。
結果、大リーグ機構はアストロズに対し、
- ルノーGMとヒンチ監督の今季終了までの職務停止処分
- 球団に500万ドルの罰金
- 2020~21年オフのドラフト会議の1巡目、2巡目指名権をはく奪
という処分を下しました。
さらに、メジャーリーグの球団も独自で処分を下すようになりました。
アストロズはルノーGMとヒンチ監督を解任。
さらにレッドソックスはコーラ監督を解任、メッツは19年オフに就任したばかりのベルトラン新監督を解任しました。
さて、メジャーリーグを大きく揺るがした今回のサイン盗み問題。
日本でも、時々サイン盗みがプロアマ関わらず話題になったりしますが、
「サイン盗みで、そんなに結果が変わるものなの?」
と思う人もいるかもしれません。
他のケースはどうかわかりませんが、アストロズの場合は、
サイン盗み以前と以降で、成績に大きな違い
が出ているのです。
アストロズの成績を2016年と2017年の違いで見てみると…
2017年のポストシーズンはホームで8勝1敗で打率.273、ロードゲームでは3勝6敗で打率.208
2016年まではチームの三振数がリーグワーストを争うほど多かったのに、2017年以降は1位、2位、1位と常にリーグ最少を争うレベルにまで減少
ホームでの三振数が、2016年から2017年にかけて31.8%も減少
このように、サイン盗みによる影響が、はっきりと目に見える形で出ていることがわかりますね。
とくに、打者の三振数が明らかに減っているのは、
サインを盗んでいるので球種が読めていることの証拠
とも言えるでしょう。
アストロズのサイン盗みの方法とは?巧妙な手口を解説
では、アストロズはどのようにして、サイン盗みをおこなっていたのでしょうか?
アストロズがおこなっていたサイン盗みの手口は、一部の選手が密かに…というレベルではないのです。
明らかに球団ぐるみでの組織的な手口でした。
2017年にアストロズに所属していたマイク・ファイアーズ投手(現アスレチックス)が、先ほどの『The Athletic』の関係者の1人として証言したところによると…
- アストロズは本拠地のミニッツメイド・パークのセンター後方にテレビカメラを設置し、その映像をベンチ脇の壁に設置されたモニターに映し出せるようにしていた
- カメラの映像を使ってリアルタイムで捕手のサインを確認
- サインの内容が判明すると、ベンチからバットケースやごみ箱を叩くなど音を発して打者に伝えていた
という方法で、サインを盗んでいたとのこと。
実際に、どういう形で選手に伝わっていたのかは、アメリカのメディア『Jomboy Media』は動画で詳しく紹介しているので、この動画を見てもらえるとわかりやすいと思います。
この動画では、
変化球の場合は音を鳴らし、ファストボールの場合は音を鳴らさない
という方法で、打者に相手の投げる球種を伝達していました。
また、アストロズはホイッスルを使って球種の伝達をするパターンも持っていたようです。
2017年のドジャースとのワールドシリーズですね。
アストロズのサイン盗みがわかる動画
上の動画を見てもらえればわかりますが、
カーブの時のみホイッスル
を鳴らしています。
かなり大きな音で、これなら打者にもはっきりと音が聞こえるためわかりやすいですよね。
サインが出た瞬間に合図をしているため、反応が遅れるということもありません。
これでは、アストロズのやっていることが、後出しじゃんけんも同然です。
この他にも、
- 2018年のポストシーズンにアストロズの球団関係者がインディアンズとレッドソックスの様子を写真撮影していたことが問題となり、退場となった
- 2019年の地区優勝決定戦で、先述のホイッスル音が何度も聞こえたとヤンキースが告発した
などの情報もあり、
アストロズが球団ぐるみでサイン盗みをしていたことは確実
と言えるでしょう。
あまり深読みしすぎと思いながらも、このアストロズの一件、筆者はイチローの会見が点と点でつながったような気がしてなりませんでした。
イチローは引退会見の時、このようなことを語っています。
頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような。
選手はみんな、選手も現場にいる人たちはみんな感じていることだと思うんですけど、これがどうやって変化していくのか。
次の5年、10年、しばらくはこの流れは止まらないと思うんですけど。
本来は野球というのは…ダメだな、これ言うと問題になりそうだな…。
頭を使わなきゃできない競技なんですよ、本来は。
でも、そうじゃなくなっているのが、どうも気持ち悪くて。
今この発言を見ると、とても意味深に感じませんか?
会見を聞いた当時は極端な引っ張りに対する守備シフトや、フライボール革命に対しての発言か?と思っていましたが…
「これ言うと問題になりそうだな」
と言っていましたし、もしかしたら、イチローはサイン盗みのことを示唆していた可能性もありますよね。
事実、サイン盗みの首謀者の1人で、ヤンキース時代からサイン盗みをしていたベルトラン氏とイチローは、ヤンキースでチームメイトでした。
となれば、イチローが事情を知っていてもおかしくはありませんからね…。
何だかゾワッとさせられました。
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まとめ
アストロズのサイン盗み問題について、アストロズがどのような手口でサインを盗み、選手に伝達していたかを紹介しました。
アストロズは、
本拠地のセンター側に設置したカメラを使い、相手のサインを盗んでいたこと、そして音を鳴らすことで伝達
していました。
試合中に選手がサインを見破るのならともかく、電子機器を使って盗撮し、最初から後出しじゃんけんができるのは、明らかに問題です。
大リーグ機構も、今回のアストロズのサイン盗みの件で、
ランナーがサインを見破るといった肉眼でのサイン盗みをグレーとする一方、電子機器を用いたサイン盗みはクロである
という結論を出したわけですからね。
このような出来事があると、メジャーリーグでは報復死球やブーイングの嵐など、さまざまな報復行為が想定されます。
2020年のアストロズの開幕戦がどうなってしまうのか、今から心配です。