36年前に日本のドラマ史上で最高視聴率をたたき出した、NHK連続ドラマ『おしん』。
明治生まれの女性の幼少期から、老年期までを描かれ、放送当時は
『おしんシンドローム』
と呼ばれるほどの社会現象をも巻き起こしました。
この『おしん』は、全297話と長編物語ではありますが、この記事で、
おしんの幼少期から最終回まで
を紹介していきます。
少女時代のおしん
明治時代の後期に、
山形の貧しい山村
で生まれたおしん。
彼女は、家計を助けるために、
たったの米一俵
で、しかも6歳で奉公に出されてしまいます。
奉公に行くため、雪の降りしきる中をイカダに乗せられて、最上川を下るシーンには、日本中が涙したと言っても過言ではありません。
最初の奉公先は、中川材木店。
女中頭のツネは、とにかくおしんに厳しくあたります。
ある時、中川材木店で、ツネの財布から50銭がなくなる事件が起きます。
その犯人として、おしんは疑われ、着物を脱いで調べられると首からかけていた50銭が見つかり、取り上げられてしまったのでした。
しかし、その50銭は、
おしんのばんちゃん(おばあちゃん)がくれた、なけなしの大切なお金
だったのです。
おしんは、耐えていた心がぷっつりと切れて、奉公先を飛び出してしまいました。
次の奉公先は、酒田の加賀家という米問屋。
なんと、お米5俵という破格の待遇です。
利発なおしんは、加賀家の大奥様に、とても気に入られ、ここで行儀作法や勉強まで教えてもらうことが出来ました。
そして、生涯の友となる、
加賀家のお嬢様で同い年の『加代』
という娘と運命的な出会いも果たします。
はじめは、大奥様がおしんばかり可愛がると、気に入らなかったお加代様。
ですが、自分との争いから、おしんが帰されそうになると、
「自分が悪かったからおしんを帰さないで欲しい」
というほどの絆が二人に生まれていました。
青年期のおしん
青年期のおしんの魅力は、なんと言っても、
自身の才能で、髪結いから魚屋まで、何をしても成功させたサクセスストーリー
にあります。
加賀家では、なくてはならない存在になった16歳のおしん。
縁談が持ち上がりますが、
農民運動に情熱を燃やす浩太
という青年に恋をしたことで、縁談には気が進まないおしんですが、同じく浩太に恋をした、お加代様が浩太と駆け落ちしてしまうのです。
縁談を断り、おしんは父の作造に奉公に出されそうになりますが、奉公先が女郎屋のような場所だと知っていた姉・はるが反対します。
結核に罹って、製糸工場から帰されてしまったはる。
『髪結いになりたかった』という自身の夢をおしんに託し、亡くなります。
母の富士は、おしんを逃がし、作造から殴られてしまいますが、おしんは無事に、はるに教えて貰った、髪結いのお師匠のもとで、修行をすることができるのでした。
髪結い編
お客様の顔に似合う髪型を結えるおしんは、たちまち売れっ子となります。
お客のカフェの女給達の憧れの的である竜三と出会い、後に結婚する事になりました。
長男・雄も産まれ、佐賀の竜三の父親にも結婚を祝福して貰い、おしんは幸せの絶頂を迎えます。
ですが、幸せは長く続かず…
実業家の竜三と、子供服のお店を起業しましたが、借金をして大きな工場を建てたところで、
関東大震災が起きて、おしん夫婦は全てを失ってしまいました。
その後、竜三の実家の佐賀に親子3人で身を寄せますが、
小作の娘であるおしんを、嫁とは認めない姑
にいじめられ、やがて第二子を妊娠しても、こきつかわれて、挙句の果てに、
おしんは産まれたばかりの子供を失ってしまいます。
これで心に大きな傷を負ったおしんは、佐賀を出ることを決意するのでした。
伊勢編
その後、東京、実家の山形、酒田と経て、最終的に伊勢で魚の行商を始めたおしん。
佐賀に残った竜三とも、再会を果たしました。
夫婦で魚屋を営み、やがて次男・仁を授かり、非業の最期を遂げた、お加代様の子も引き取り、豊かではないものの親子で平和に暮らしていきます。
また、自身の幼い頃と重なり、不憫に思った女郎屋の下働きに売られる寸前の初子も引き取り、
5人の子持ちとなったおしん
と竜三は、懸命に働きますが、戦争が忍び寄ってきていました。
太平洋戦争編
竜三は、軍に魚を提供することで、物のない時代でもおしんの家では、食べ物に困る事はありません。
おしんは軍に協力するのは反対ですが、『家族の為』と理解をしていました。
しかし、長男の雄が戦地に行くことになってしまったのです。
出征の前に、雄と初子は、お互いの恋心を告白し、
「必ず帰ってくる」
と雄は誓います。
やがて、次男・仁も志願兵として入隊し、仁は戦後に無事に帰ってきますが、雄は戦死…。
日本は敗戦し、軍に協力したことを悔いた竜三は自ら命を捨て、
おしんは大事な2人の命を失ってしまうのでした。
経営者となり、実業家として成功したおしん
戦後は、オート三輪の行商からスタートさせ、さらにはスーパーを開業して実業家としておしんは成功を果たします。
ただ、スーパーの後継者の次男・仁は、スーパーを大きくすることばかりを考えていますが、大手スーパーが目の前に開店し、仁のスーパーの経営は、窮地に陥ってしまいました。
豊かな時代になりましたが、
『大切な何かを失ってしまった』
と感じているおしんは家を出ます。
希望の息子の圭は、おしんの一番の理解者となり、おしんと一緒に人生で縁の地を訪れながら、昔話を語る形で、おしんは回想していたのでした。
窮地に陥っていた仁のスーパーは、浩太の仲介で、大手スーパーが仁のスーパーを買い取る形で、なんとか倒産を回避します。
そして、おしんは浩太と伊勢の海岸を散歩しながら、
これまでの人生について語り合う最終回
を迎えて、『おしん』という物語は幕を閉じるのです。
スポンサーリンク
まとめ
これまで、
『貧乏に耐える美徳の物語』
と思いきや、ドラマの中では何度も
「貧乏は嫌だ」
というセリフが出てくることから、実は
貧乏脱出大作戦
とも言えるサクセスストーリーとなっていた『おしん』。
一生働き、豊かにならないまま亡くなってしまった祖母や父母に楽をさせたい一心で頑張ってきたおしん。
夫と子供を持ち、自分の子供には不自由させたくない一心で、働いて成功するわけです。
後ろに守るべき人がいる女性は、とても強いことをおしんは教えてくれますね。