ツイッターでお馴染みの
Twitter社は、このところ赤字が続き、2016年度も約89億円の赤字
となりました。
2015年に比べて、ややよくなってはいるものの、どう考えても黒字には、まだまだほど遠い状態が続いています。
Twitter社は、2013年11月に株式を
上場して以来、一度も黒字になったことがない
のです。
そのためか、最近はツィッターに広告が多いとの声もあがっています。
一見して華やかに見えるツイッター書き込みの背後には、このようなTwitter社の赤字が見え隠れしているのですね。
そこで今回は、そんなTwitter社の赤字の理由原因と、今後の対策や有料化への動きなどを見ていきましょう。
Twitter(ツイッター)が大赤字の理由原因とは?
Twitter社は、2013年11月の株式上場以来、各年度すべて赤字でした。
2015年4~6月期の純損益は1億3666万ドル(約169億円)の赤字となっています。
Twitter社の赤字の理由・原因には、突発的なものと恒常的で構造的なものと、2種類のものがあるようです。
どうやら
CEO辞任やインチキ身売り報道
などが突発的な理由・原因のようですね。
ブルームバーグを模倣したサイトに、
「Twitter社が310億ドルの買収提案を受け、銀行団と協議している」
との記事が、掲載されました。
その直後にツイッター社の株価は、前日比8%まで急騰しましたが、これが虚偽報道であることが伝わると、一挙に株価は急落しています。
恒常的構造的な理由・原因のひとつは、皮肉にもTwitter社の
「ユーザーの利便性を最重要視する」
というものでした。
これ自体は、Twitterのユーザー側から見ると、大変ありがたいものです。
しかし、利益を追求するべき企業としては、問題もあります。
Twitter社の売り上げの約9割が、広告料収入によるものですが、ツイッターではそれほど多くの広告は表示されません。
その理由は
「常に広告が表示される設定だと、利便性が悪くなるから」
だそうです。
他のSNS系のサービスでは、常時広告を表示するのが通常です。
たしかに広告はユーザーにとっては煩わしく、決してありがたいものではありません。
ユーザーにとってありがたいことが、企業にとって利益の増加を損ねる原因になるとは、なんとも皮肉なことですね。
そして、もう一つの理由・原因は、
膨大な研究開発費
です。
Twitter社の研究開発費は、1年間の売り上げの50%に相当すると言われています。
Twitter社の総売上高は5億238万ドルだそうですが、その半分が研究開発費に使われるわけです。
研究開発を重視するのは、企業にとって悪いこととは思えませんが、それにも限度があるでしょう。
Twitterの経営戦略は、
「ユーザーの利便性を重視してユーザー数を増加させ、それによって利益を上げる」
という戦略なのです。
しかし、Twitter発足当初はともかく、最近はそのユーザー数の増加もかなり鈍化しています。
つまり、この戦略は、行き詰まりつつある(既に行き詰まっている)ように見えます。
そして、Twitter社の赤字の理由・原因には、上記以外にももっと本質的な要因があるのではないかと、筆者は考えています。
それは
ツイッターのスタイル
です。
1文で140文字以内という制限では、
重要で詳細な内容のものや、複雑な内容の記述は不可能
でしょう。
そのためツイッターの書き込みの内容は、断片的で情報量は非常に少ないツイートが大半です。
筆者も、以前はツイッターを利用していた時期もありましたが、現在はほとんど利用していません。
文字数制限のため、書きたいことも書けないし、知りたいこともあまりない場合が多いからです。
かといって、この文字数制限は、ツイッター(つぶやき)のもっとも本質的な部分なのです。
これを取り払うと、もはやツイッターではなくなってしまい、ただのBBSになってしまいます。
もちろん、『寸鉄人を刺す』ということわざがあるように、短くても的確かつ急所・要点を突くメッセージもあったりはするのです。
しかし、そのようなメッセージ(ツイート)はかなり稀です。
それでTwitter社では、多少の文字数制限の緩和などを行いました。
それでも、メッセージの内容の充実という点では、効果はあまりないように見えます。
このような
少ない文字数による情報量の不足に対して、広告主の方でも広告を出すことをためらいが生じる
ということも、考えられます。
Twitter社の赤字の理由・原因は、これらの一時的な要因と、恒常的・体質的なビジネス要因の双方によるものではないでしょうか。
Twitter(ツイッター)は今後有料化するのか?
Twitter社の今後の赤字対策ですが、企業の経営状態というものは、人間の
ダイエットと同じで、入るもの(お金またはカロリー)と出るもの(お金またはカロリー)の比率
につきます。
ただ、ダイエットでは、入るもの(カロリー)を控えて、出るものを増やせば、痩せられるわけで、経営とは逆になるわけです。
企業の赤字の場合は、入るもの(収入)を増やすか、出るもの(支出)を減らすのどちらか、または両方ということになります。
今回のTwitter社の場合は、
収入の大半は広告収入
ということですから、これを増やすには広告主側から見て、
「ここに投資すれば利益が出る!」
と考えさせねばなりません。
しかし、ツイッターの現状では、広告主にそのような考えを持たせるには、かなり難しそうです。
また単純に広告数を増やすだけでは、
「広告が煩わしい!」
とユーザー離れを引き起こして、逆効果になる恐れもあります。
支出の方では、研究開発費と社員へのストックオプションの比率が大きいようです。
この2つの支出を減らすことができれば、黒字への転換も夢ではないのです。
しかし、ストックオプションはTwitter社の優秀な社員を引き止めるためには不可欠。
研究開発費の抑制も、Twitter社では研究開発費は絶対に必要という意識が強いようで、これまた削減は難しそうですね。
となると、残る手はTwitterの
有料化
しかありません。
これなら広告に頼る必要なく、安定した収入が得られます。
しかし、有料化した場合に、どの程度のユーザーが、このままツイッターを利用し続けるかという問題が多分にあるでしょう。
フェイスブックその他、競合するSNS系サービスは、大半が無料です。
それらに対して
有料化されたツイッターが、どの程度の魅力を維持できるのか
かなり疑問に思えます。
ネット上ではこのTwitter社の赤字問題に対して、奇想天外というか、かなり奇抜なアイデアが乱れ飛んでいます。
ただ、本当に赤字問題に有効となる手段はあまりなさそうな印象がありますね。
奇想天外びっくり仰天・ツイッター復活アイデア集
・「気に入らない広告があったらクリックして、気に入らない広告を打った会社からTwitter社にお金が行くようにしている。」
・「それならいっそ全ての広告をクリックした方が、ツイッター社もうかるぞ。」
・「jkに的を絞って、ログイン時に女子校の制服を表示しろ。」
・「ツイッター社さんは早く独自のソシャゲを作って、赤字解消してほしい。」
・「課金アイテム(機能)作って売りまくれ。」
・「ウィキペディアみたいに、有志の募金とかしたらいいのに。」
・「ログイン時に Please Donationとかのテロップだせよ。」
・「そんな乞食みたいなマネやめろ! Twitter社の品位がおちる。」
そして、Twitterの有料化に対しては、実は、好意的な発言がかなり多いのです。
・「有料にしてもらっても全OKだから、サービス停止だけはやめてくれ、頼むから」
・「ツイッター、大赤字で有料化されても月数百円なら払う、それくらい便利」
・「有料プレミアムオプションを実装しろと何度言わせるんだ。
あるいはプレミアムで広告非表示にするとか」
・「Twitter有料化したら、似たような無料サービスが乱立するだけだろ」
このような人たちばかりなら、Twitter(ツイッター)有料化も問題なさそうです。
でも、ネットでは声を上げない人たちの方が大部分でしょうから、そうはいっても
有料化によるユーザー離れは避けられない
と考えた方がよさそうです。
赤字のツイッター社の今後
風雲急を告げるツイッター社の今後は、いったいどうなるのでしょうか。
ツイッター社の累積赤字は、 2017年3月末現在で、
約2927億円
にも及ぶそうです。
なのに、一時の勢いはなくなったものの、2017年5月現在での利用者数は、
日本国内で約4,000万人、全世界では3億2,800万人
と増え続けています。
しかし、現在は強力な商売敵(インスタグラムやフェイスブックその他のSNS)が増えて、ツイッター社として広告の増収もままならないようなのです。
となると、ツイッターの今後として、もう一つの可能性が浮かび上がります。
つまり、会社の身売り・買収です。
これまでにも買収の話はいくつかありましたが、全て立ち消えになっています。
やはり、いくら有名企業とはいえ、これだけ財政状態がよくないと、簡単に手は出せないことなのでしょう。
となると、買収が成立するのはなかなか難しそうです。
後残る手は、やはりツイッターの有料化でしょうか。
しかし、有料化は間違いなくユーザー離れに繋がります。
この矛盾をどう克服するか、難しい判断になりそうです。
広告の増大は有効ではありますが、クライアントに
「ツイッターに広告を出せば売上げ増に繋がる」
と考えさせるには、ツイッター自体をどう変えればよいのか、そのあたりのツイッター社の判断が見物ですね。
ツイッター社がこれほどの累積赤字を抱えながら倒産しないのは、奇跡のように思えます。
通常ならとっくに潰れていてもおかしくないくらいの赤字額なのです。
それでもこれまで倒産しないというのは、それなりの企業体力があるからでしょう。
その企業体力がどこから来ているのか、経営陣の個人的な資産によるものなのか、それと強力なバックが存在することによるのか。
そのあたりはわかりませんが、それでもこの先何時までも体力が続くとは思えません。
そう遠くない将来に体力も尽きる時点があるでしょう。
それまでにツイッター社の変革と新たな出発があるのでしょうか。
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まとめ
Twitter社の赤字問題を見てきましたが、Twitter社が、今後どのような道を辿るにせよ、その道はかなり険しいように見受けられます。
広告収入を増やすのも困難、支出を抑えるのも困難、これはたとえるならば、
「腹一杯食べて運動もせず、ダイエットをしよう」
と言っているにひとしいですね。
Twitterという、上場以来一度も黒字にならないという企業に、未来はあるのでしょうか。
確率の少ないひとつの希望的観測としては、
飛び抜けて奇抜なアイデアを持った経営者により、ツイッターが劇的な変化を遂げる
ことですが、その場合は、もはや『ツイッター』とは言えないものになるのでしょうね。