祝! レスターFC ブレミアリーグ優勝!
2015-16シーズンの英・プレミアリーグで、創設以来132年間、毎年のように最下位候補だったレスターが、奇跡の優勝を成し遂げました。
イングランドのプレミアリーグといえば、世界最高峰のリーグという声が高い中、そこで優勝するというのは並大抵のことではありません。
「究極の弱小チーム」
「万年最下位候補」
「132年間下位リーグとプレミアをいったりきたり」
「永遠の一部リーグ(他の国の二部リーグ)入り候補」
などと、散々言われてきたレスターが、なぜ、2015-16シーズンは優勝できたのでしょうか?
筆者としては、
「そりゃ、岡崎選手が入ったからさ!」
と言いたいところですが、いくら岡崎選手贔屓の筆者でも、さすがにそこまでは言えません。
無論、岡崎選手の加入は、レスターにとって大きな戦力アップに繋がってはいますが、それ以外にも戦法・戦術その他、強くなった理由には重要な何かがあったはずです。
そこで、当記事で、奇跡のレスター優勝について、レスターが強くなった理由と戦法・戦術の変化や、海外の反応などを調べてみました。
レスターの優勝!強くなった理由と戦法・戦術の変化
レスターという町は、これまで日本人には全くなじみのない町でした。
レスター市はロンドンから北へ電車で約1時間ほどのところにあり、レスター市の人口は約29万人、日本でいえば盛岡や那覇などと、ほぼ同じ規模ですね。
産業はとくに大企業などはありませんが、ザッチェルという革製品のメーカーは有名で、英国王室のアン王女なども訪れているほど。
さすがに親子だけあって、エリザベス女王陛下とアン王女は、よく似ていらっしゃいますね。
また別の一面では、レスターは、教育の町と評判で、レスター大学は、英国で最も優れた大学の一つとして有名な、名門国立大学です。
秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さまが、このレスター大学の大学院に入学されたことが、日本では一番有名なのではないでしょうか。
このレスターで盛んなスポーツは、実はサッカーではなくラグビーで、レスター・タイガースは過去にリーグタイトルを9度も獲得した強豪です。
それに比べてサッカーのレスターFCは…
「究極の弱小チーム」
「万年最下位候補」
「132年間下位リーグとプレミアをいったりきたり」
「永遠の一部リーグ(他の国の二部リーグ)入り候補」
という、不名誉な言われっぷり。
あくまで、これまではですが。
そうです。
今回のプレミアリーグのレスター優勝の快挙で、もうそんな看板は不要となりました。
それもそのはずで、世界最高峰のサッカーリーグで優勝したのですからね。
では、そのレスターが、急激に強くなった理由と戦法・戦術の変化はあったのでしょうか?
実は、これまでの20年ほどで、プレミアリーグで優勝したチームは、5つしかありません。
マンチェスター・ユナイテッド(マンU) 13回
チェルシー 4回
アーセナル 3回
マンチェスター・シティー(マンC) 2回
ブラックバーン 1回
これに今回、レスターが加わって、計6チームになったわけです。
今季のレスターのメインの戦法・戦術はずばり、
「固く守ってカウンター」
です。
2015-16シーズンのレスターは、ウノゼロ(1-0)で勝利した試合が、13回以上もあります。
レスターの指揮官は、イタリア人のラニエリ監督なのです。
いかにもイタリア的な戦法・戦術ですね。
随分と昔のことですが、かつてFC東京が弱小チームの代表格だった頃、大熊監督が指揮をとることになりました。
当時のFC東京には、日本代表選手など皆無で、要するに、弱いチームだったわけです。
そこで大熊監督は、
「固く守ってカウンター一発」
という戦術をとりました。
これが当たってFC東京は勝ち星を稼ぎ、上位にくいこむことになりましたが、後に大熊監督は、
「このチームの戦力では、まともに戦っては勝ち目がない。なので固く守ってカウンターという戦法を、取らざるを得なかったのだ」
と発言しています。
要するに、カウンター戦術を好きでやっているわけではなかった、ということですね。
『固く守ってカウンター』という戦術は、弱小チームが強豪チームと当たる時の定番ともいえる戦術なのです。
2015-16シーズンのレスター躍進の理由は、怪我人が少なく退場者も少ないこと、スケジュール的にも有利だったなどが挙げられていますが、それに加えて、守備の安定という点も大きな要因でしょう。
クリーンスコア(失点ゼロ)が多いというのは、すなわち守備が良いということになります。
それに加えて、攻撃陣も好調で、とくにバーディーとマフレズの両エースは大活躍し、日本の岡崎慎司選手の大健闘も光りますね。
次にレスターのスタメンと基本的なフォーメーションです。
レスターのフォーメーションは、
4-4-2
が基本で、スタメンもほぼ固定されています。
FW ヴァーディ(9番) 岡崎慎司(20番)
MF オルブライトン(11番) カンテ(14番) ドリンクウォーター(4番) マフレズ(26番)
DF フックス(28番) フート(4番) モーガン(5番) シンプソン(17番)
GK シュマイケル(1番)
レスターがプレミアリーグで優勝し、強くなった理由を要約すると、
- カウンター戦術がツボにはまったこと
- 守備の安定
- 攻撃陣も好調
- 怪我人が少なく退場者も少ない
- スケジュール的にもレスターに有利
だったことでしょうか。
ここで重要なことは、これらの強くなった理由が、1つ2つでなく、全て揃ったということでしょう。
1つや2つの強くなった理由だけでは、今回のプレミアリーグでのレスター大躍進は不可能です。
1つずつ取り上げれば、何ということのないものでも、それが全て、しかも同時期に揃ったということが、今回のレスター優勝に繋がったのだと思います。
そのため、2016-17シーズンのレスターは、かなり厳しい状況になるかも知れません。
今回の強くなった理由が、同時に全て揃うことは、そう滅多にはないからです。
レスター優勝に対する海外の反応は?
レスターの選手全員の総年俸は、日本円にして約81億円です。
プレミアリーグで、一番高いチェルシーの1/4ですから、随分と安いですよね。
このレスターの年棒は、恐らくはプレミアリーグで最低ではないでしょうか。
そして、レスター優勝への海外の反応です。
レスターシティサポ「レスターは相手ディフェンダーに勝るスピードを持っているので、ただカウンターをするだけではなく、信じられないぐらい効率的になる」
「どうして首位なのか….レスターのパス成功率はプレミア最低だったのに!」
アイルランド「物凄いスタッツだな、ポゼッションなど何も意味しない」
フルハムサポ「監督は考えなおす時だ!」
オーストラリア「岡崎の献身度はとんでもないな。なんてエンジンを搭載しているんだ・走るのを一度もやめていない 献身性と共に技術もあるしね」
「最近のオカは大好きだ、物凄くよくなって自分の仕事をうまくこなしている」
ロンドン「ポゼッションとパス成功率が酷いのに完全に首位」
リバプールサポ「思い知ったか、ペップ!」
フェイエノールトサポ「やべぇ!一方でマンシティの守備は不安定だな」
ACミランサポ「レスターはゴールへ一直線に向かうサッカーをしている」
バイエルンサポ「俺は楽しんでみているよ。最近のスタイルはあまりにもみな同じだから」
チェルシーサポ「レスターシティがうちをボコった試合でも、ポゼッションもパス成功率もうちよりずっと低いのに、試合を通してうちよりもずっと優れたチームに見えた」
「ほとんど俺のFIFA16のやり方だな」(ゲームのFIFA16です)
シンガポール「ハイリスク・ハイリターン!」
ドルトムントサポ「このゴール前の攻防は見ていて素晴らしいよ」
ニューカッスルサポ「最近は皆ポゼッションにとらわれ過ぎている。レスターは速いテンポと攻撃的なスタイルで成功した、クロップ・ドルトムントが思い起こさせる」
「ああ、呼吸さえできない!」
「これは現実?」
シドニーFCサポ「おお!レスターはカウンターが速いなぁ!」
「誰か俺をつねってくれ。俺は夢を見ているに違いない」
「これはまじでとんでもないことだ。うちはリーグ優勝するぞ」(実際にそうなりました!)
このように、全世界でレスターに対して、驚きの声が上がっています。
驚いたのは、英国内だけでなく、ドイツやイタリア、オーストラリアやシンガポールのファンまで、プレミアリーグを見ているということです。
もちろん、日本でも見ていますが(笑)
レスター優勝と岡崎慎司の関係性
レスターでの岡崎慎司選手の評価は、得点そのものよりも
「献身的に守備をする」
とか、
「倒れるまで走る」
というようなものが多く、いかにも、岡崎慎司選手の真摯で実直な性格を表していると思います。
レスター市では、これまでサッカーチームは弱小、ラグビーチームは強豪という状態が続いていました。
このような状況にあると、レスター市ではサッカーとラグビーと、どちらが人気があるかという点にも興味が湧きますね。
レスター市だけの状況はわかりませんが、英国では一般的に、上流・貴族階級はラグビーを好み、庶民階級はサッカーが好きというパターンがありますから、レスター市でも同じかもしれません。
これは英国だけに限らず、フランスなどヨーロッパ各地でも似たような現象があるようです。
レスター市では、レスターがプレミアリーグで優勝したことで、市内の各道路に選手の名前をつけようという動きまであり、とても活発になっているようです。
となれば、目抜き道路の名前が、もしかしたら「オカザキ・ロード」となることも、大いにありえますね。
このような人たちの心意気は、
「100年だろうが300年だろうが、関係ない」
などと言うあの人には、きっと理解できないでしょうね。
スポンサーリンク
まとめ
奇跡とも言える、レスターのプレミアリーグ優勝の軌跡をご紹介しました
レスターが強くなった理由も筆者なりに考察してみましたが、はっきりいって、レスターが優勝できたのも「運」という要素もかなり強いと思います。
しかし1試合や2試合ならともかく、長いシーズンを通して運だけで、プレミアリーグを勝てるものではありません。
レスター優勝には、戦法・戦術、その他、優勝するだけの理由も、しっかりと揃っていたのです。
そして、海外の反応も、英国のみならず、英国以外の数多くの国から、賞賛や驚きの声が上がっています。
願わくば、来年もまたこのレスターの奇跡が、再び起こってほしい…
筆者としては、そう思っています!