竹内文書の内容とは?発見者・竹内巨麿の嘘とスピンオフ本を考察

みなさんは、『竹内文書(たけうち もんじょ)』という古書を知っているでしょうか。

なんとも無茶苦茶というか、凄いとしか言いようのない内容の奇書中の奇書が、この竹内文書なのです。

今回は、この『竹内文書』と、それにまつわるスピンオフ本の世界を、紹介させて頂きます。

ただし、一つだけ注意があります。

『竹内文書』は、内容があまりにも奇天烈な本なので、頭が混乱してしまうかもしれません。

ご注意を!

竹内文書とは?その内容は竹内巨麿の嘘?

この日本には、古史古伝、あるいは偽史と呼ばれる文書群があります。

虚構による歴史書とでも言うべきか、それまでの学術的、一般的常識とはかけ離れた、簡単に言えば

非常に飛躍した論理と内容による、『トンデモ説』による文書

が、古史古伝、または偽史と呼ばれるのです。

むろん、古史古伝の全てが、トンデモ説というわけではなく、まっとうなものも数多く存在します。

しかし、やはり読んで面白いのは、まっとうではない方の文書です。

ちなみに、稀代の伝奇SF作家・半村良氏の初期の名作で、『黄金伝説』という小説があります。

これは『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』や、日本のピラミッド伝説などをモチーフにしたものです。

最高クラスの面白さがあるので、興味のある人はぜひ読むことをおすすめいたします。

古史古伝や偽史には、

  • 『上記(うえつふみ)』
  • 『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』 
  • 『富士文献』
  • 『天津教古文書』
  • 『秀真伝(ほつまのつたえ)』
  • 『徐福文献』

など多数ありますが、その代表格が、『竹内文書』なのです。

『竹内文書』の内容は、古代日本の成立から始まり、天皇家の歴史にまで触れています。

自由奔放を超えて、世界史の常識をぶち壊しすような、猛烈に奇天烈です。

では、『竹内文書』の内容を、簡単に紹介いたしましょう。

神武天皇以前の天皇家として『上古25代』、『不合朝(あえずちょう)73代』(73代目は神武天皇)があり、

さらにそれ以前には、『天神7代』があった。

古代には五色(黄赤青白黒)の人が住んでおり、世界の中心は日本だった。

それ故に、キリストもモーセも日本に渡来し、日本で亡くなったのである。

キリストやモーセに限らず、釈迦その他世界の大宗教の教祖はすべて日本に渡来し、天皇に仕えた。

キリストはゴルゴダの丘で亡くなったのではなく、弟が身代わりになったのである。

また、キリストの日本名は五十鈴彦(イスズヒコ?)である。

ピラミッドは日本にも存在し、天皇はそこから『天の浮舟』(あめのうきふね)に乗り、全世界を飛行して世界を治めた。

その中にはムー大陸や、アトランティス大陸も含まれている。

以上が、『竹内文書』のおおよその内容です。

なんと言うべきか、もはや言うべき言葉がみつかりません。

この内容をどう受け取るのかは、読む人の自由です。

文字通り受け取るもよし、文言の裏の意味を探るもよし、SFのフィクション、または単なる嘘として受け取るもよし、なんでもありですね。

とはいえ、この『竹内文書』の内容を全て史実とするには、あまりにも無理がありすぎます。

問題点をいちいち取り上げるまでもなく、無理というより無茶、論理的な破綻ばかりですね。

ほんの一例を上げれば、神武天皇以前の天皇家についてですが、竹内文書によれば計105代あったことになります。

この書では、神武天皇の時代は紀元前660年頃とされています。

天皇の系譜は一代30年としても神武以前に3000年以上、つまり紀元前4000年頃からとなります。

現代から6000年以上前の事です。

6000年前というと、時代的には旧石器時代に近く、縄文時代の初期あたりでしょうか。

古代エジプトやシュメールの文明でさえ、5000年前のものなのです。

それより遙かに古い時代の詳しい記録が文書として、いや、口伝としてでも、残るものでしょうか?

ちなみに、この『竹内文書』の発見者は、

竹内巨麿(たけうち きょまろ/たけのうち きよまろ)

という人物です。

竹内巨麿は権大納言・庭田重胤(しげたね)の私生児とされていて、後に神官の竹内家の養子となります。

この竹内巨麿の出自についても諸説があり、自称によれば、

宇多源氏の庭田伯爵と大中臣家の後裔藤波奈保子の子として生誕

とのことです。(天津教古文書「竹内文書(竹内文献)」考 より)

この『竹内文書』の発見のされ方が、風変わりというか、奇妙なきっかけによるものなのです。

ある日、竹内巨麿が天井裏の掃除をしている時、天井裏からバサリと一冊の古文書が落ちてきました。

それがほかでもない、『竹内文書』だったわけです。

あまりに素っ頓狂な話で、ため息が出てしまいます。

発見の経緯については、他にも

  • 祖父(または養祖父)から譲り受けた(Wikiその他の多数説)
  • 墓から出土した

などの諸説がありますが、どれが正しいのかは誰にもわかりません。

だいたい、出自さえまともにわかっていない人物の発見(あるいは譲り受けたと自称)した書物です。

それがどのように発見されたのかなど、『正しい事実』が後世の人間にわかるはずがないのです。

この種の偽史類の楽しみ方は、そのアホらしさバカバカしさを手放しで堪能すべきもので、詳細な『事実』を考察するものではないと思いますよ。

偽史研究の学者なら別ですが・・・

この竹内巨麿という人物は、かなり偏執狂的な一面があったようです。

ある時、食事に出された鯖の味噌煮がいたく気に入り、その後、47日間連続で鯖の味噌煮『だけ』を食べ続けたそうです。

2日や3日ならともかく、47日間同じものを食べ続けたというのは…。

発見後かなり経ってからのことです。

『竹内文書』に書かれている天皇の記述その他に問題があるとして、竹内巨麿ら数名が、不敬罪や詐欺罪で逮捕されてしまいました。

これが、

天津教弾圧事件

で、1930年と1935年のことです。

この事件は、結局は無罪となったのです。

その際に押収された古文書類は、戦災による焼失その他で、戻ってこないものが多数あったと言われています。

そのため、古文書類の原本は、(都合の良いことに)この世に存在しなくなってしまったのです。

竹内文書にはスピンオフ本がある?

当時、何かと話題になったからか、『竹内文書』にも、スピンオフ本というものが存在しているらしいです。

そこでまず、ノンフィクションとフィクションの関係についてご説明しますね。

ノンフィクションと、フィクションの関係を語る場合、『空とぶ円盤』シリーズの著者『ジョージ・アダムスキ』が好例です。

当初(1960年頃)、『空とぶ円盤』が刊行された時には、完全な

ノンフィクション

(実録)とされていました。

しかし、アダムスキが亡くなると、彼の置手紙(遺書)が発見され、それによると、

「私はこれをフィクションとして書いたのだが、出版社の要請によりノンフィクションとした。」

と書かれていました。

(金銭的!)都合によって、上層部が決めてしまうというのは、どの業界でも変わらないようですね。

ちなみに、筆者もこの『空とぶ円盤』シリーズを読みましたが、さすがに一読直ちに、

「これはフィクションだ!」

と思いました。

まず第一に、書かれている内容が、あまりにも常識からかけはなれています。

なによりも、文中に挿入されている空とぶ円盤の写真と称するものが、稚拙そのもので、一見してすぐインチキとわかるだったからです。

その自称『空とぶ円盤』の写真は、スープ皿の下にピンポン球を3つほど取り付けたような写真です。

おそらくは、実際にスープ皿とピンポン球を撮影して細工したものと思われます。

なお、『空とぶ円盤』とは、その当時の呼称で、現在は『UFO』の方が一般的ですね。

そして、アダムスキの『空とぶ円盤』シリーズがヒットすると、それに便乗するような亜流の本が、多数発行されるようになりました。

イギリス人のセドリック・アリンガムの著作など、スピンオフ本は各種刊行されていますが、現在は全て入手困難かと思われます。

これと同様に、『竹内文書』が有名になると、それに便乗したように、

『竹内文書』の別バージョン、または竹内巨麿説に新しい要素を付け加えた新説などが発表されました。

『竹内文書』のスピンオフ本には複数の系統があります。

竹内巨麿が公表したものは偽物だとか、日本の超古代文明が世界中に広がっていたとか、様々なものがあります。

ロスチャイルドと天皇家が手を組んでいた、というものもありますし、モーゼの十戒には裏バージョンがあるというものもあります。

さらには、正統な竹内家には極秘の口伝があり、それには

  • キリスト伝説もある
  • キリストの日本名は『八戸太郎天空』である
  • 果ては日本ユダヤ同祖説どころか世界同祖説
  • ピラミッドに関する口伝

など、ないものはない位なのです。

(「竹内文書」の『イスキリス・クリスマスの遺言』なる書物に記されている、と自称)

まさしく完全に

何でもあり

の世界ですね。

竹内文書の予言とは?

ここまで竹内文書の謎(というより妖しさ=楽しさ・面白さ)を書いてきましたが、竹内文書には『予言』もあります。

その一つが

天皇が世界を統一する

という予言です。

今の時代にこんなことを言い出せば、間違いなく

「いい病院紹介しますね。」

「お薬出しておきますね。」

とか言われるのが関の山でしょう。

しかし、この竹内文書が書かれたのは、戦前なのです。

戦前は天皇は神に等しい存在であり、神聖にして不可侵というのが一般的な認識でした。

なので、この『天皇世界統一説』も(トンデモ説ではありますが)、世の中で少しは受け入れられる余地があったのでしょう。

ではその天皇による世界統一は、いつ起きるのでしょうか?

それは

6365年後に、天皇に変化が起きる時、天皇が世界の五色人類を統一する

というのです。

天皇の『変化』とはどんなものなのか。

なぜそれが6365年後なのか。

そのあたりは明らかにされていません。

五色人類とは前に書いたように、黄赤青白黒の色の人類です。

モーセもキリストもムハンマド(マホメット)も、全て天皇に恭順の意を表し、しかも日本に渡来しているのです。

この話を聞いて、出るのは

「はぁ…」

というため息のみですね。

また、竹内文書には『ヒヒイロカネ』という不思議な金属も登場します。

これも一種の予言に似たものです。

外見は緋色で決して錆びない金属

といわれています。

このヒヒイロカネは非常に軽量で、金との合金は鋼鉄よりも堅いとされています。

一種の未来金属とでも言ったらよいのでしょうか。

また、この『天皇世界統一説』は、『竹内文献』という、竹内文書とは別の偽史にも出てきます。

この竹内文献は、竹内文書と『御神宝(ごじんぽう』と言われる機器類の総称なのです。

そして、ヒヒイロカネなどが、その御神宝であるとされています。

また、皇室の三種の神器も、このヒヒイロカネで作られているのです。

その他にも、御神宝には天皇の骨で造ったという神骨像など、数千点にも上る物品が含まれている『とのこと』ですよ。

なるほど・・・

これでは、竹内巨麿が不敬罪で逮捕されたのも、わかるような気がしますね。

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まとめ

古史古伝や偽史の類は、『そのつもり』で読めば大変面白いものです。

ですが、内容全てを信用して、他人に吹聴したりするのは、おすすめできません。

「おまわりさ~ん(またはアグネ~ス)!、なんか変な人がいま~す!

と、周りの人から通報さられてしまうおそれがあります。

『竹内文書』を娯楽程度として読むのは結構ですが、それを信じ込むのはくれぐれも注意してください。

アグネ~スにタイホされたくはないでしょう?

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