「ミステリーファンなら、知らないのはモグリである」
と言っても過言ではない名作『犬神家の一族』。
本記事では、名作『犬神家の一族』のあらすじや、結末・真犯人(黒幕)をネタバレし、犬神家の一族の魅力を紹介していきます。
ぜひ、本放送を楽しむ一つの参考としてみてください。
犬神家の一族のあらすじ
本来ならば、家族間で忌み嫌いあい、命を奪いあうようなことがあってはならない…
そんなことは、わざわざ人から言われるまでもない話だと思います。
しかし、この世の中、遺産相続争いや家族間の遺恨問題など、ちょっとしたことで、家族が対立し、時に大きな事件まで勃発してしまうこともしばしば…
作家・横溝正史さんの『犬神家の一族』は、まさに、遺産相続をめぐり、家族間で命を奪いあう、壮絶なミステリー作品です。
そして、映画・ドラマを問わず、度々放送されては、多くのファンから支持を得続けてきた、金田一耕助シリーズの代表作でもあります。
犬神家の一族のあらすじ
舞台は、昭和22年、那須湖畔にそびえ立つ犬神家本宅。
犬神家当主・犬神佐兵衛は、一代で犬神財閥を築き上げ、莫大な財産を遺しこの世を去りました。
そこで気になるのは、その遺産の相続…
佐兵衛は、トラブルにならないように、遺言書を遺していたのです。
その遺言書は、長女・松子の一人息子『佐清』が戦地から帰ってきたあと、発表する手はずでしたが、その間にも、犬神家の面々による、にらみ合いが激化していきます。
そもそも、佐兵衛は、正妻を持たない主義だったため、犬神家は、愛人が3人もいるという奇妙な家系でした。
そのため、母親の違う3人の娘が婿養子をとり、さらには、その夫婦に息子が1人ずついる状況が生まれ、遺産を狙い、対立が激化したわけ。
まぁ血を分け合った家族ではなく、もともと血筋の通わない他人たちですから、遺産を狙い、にらみ合いが激化するのは当然ですよね。
金田一が遺産相続に巻き込まれる?
その対立が発生してから数ヶ月後…
金田一耕助(加藤シゲアキさん)は、犬神家の顧問弁護士の古館が構える法律事務所に勤務する若き弁護士・若林から、
「犬神家で近々、血みどろの事件が起きるのでそれを防いでほしい」
と手紙で依頼を受けます。
そこで、金田一は、那須ホテルを宿泊拠点に構え、この一件に立ち向かうことに…
命を狙われ続ける養女・珠世
那須ホテルから犬神家を眺望する金田一の目には、犬神佐兵衛の恩人・野々宮大弐の孫で、現在、養女として引き取っている野々宮珠世の姿が…
なんと、彼女の乗っているボートが、今にも沈みかかっていたのです。
慌てて、野々宮珠世を救出に向かうのですが、自らも溺れかけてしまいます。
その間、犬神家の下男・猿蔵が珠世を救出…
珠世救出後、沈みかけたボートを調べてみると、細工されていたことが判明…
完全に何者かに珠世の命が狙われたことが発覚するのです。
それも、珠世が命を狙われたのはこれで3度目。
なんとも恐ろしい話で、遺産相続絡みの事件と考えて間違いなさそう…
弁護士・若林が亡くなる
その後、金田一がホテルに戻ると、若林が何者かに毒で命を奪われたと知らされます。
若林は犬神家の誰かに買収され、法律事務所に保管された佐兵衛の遺言書を盗み見ていたらしい…
そのことが、きっかけを与えてしまったのか?
遺言書公開
古館は改めて金田一に依頼し、佐清がビルマの戦地から、帰ってきたタイミングで遺言書を公開し、二人で遺産相続に立ち会うことになります。
ただ、佐清はビルマで顔に大やけどを負い、ゴムマスクを被り不気味な状態…
そもそも、佐清は本人で間違いないのか?
若林の命を奪い、珠世の命を狙った犯人は一体誰か…
疑惑が複雑に絡み合う中、さらなる大きな事件が、今にも起ころうとしている…。
基本的ストーリーは過去作品と変わりなし
と、以上が、ドラマ『犬神家の一族』の大まかなあらすじとなっています。
過去、映画・ドラマにて何度も描かれた作品であるため、キャストの違いはもちろんありますが、基本的な部分に違いはありません。
これまでには、
- 石坂浩二
- 古谷一行
- 中井貴一
- 片岡鶴太郎
- 稲垣吾郎
- 加藤シゲアキ
が演じてきた金田一耕助。
毎回同じようなストーリーでも、キャストが変わるだけで新鮮に楽しめてきた珠玉のミステリー作品です。
犬神家の一族の結末ネタバレ
何十年もの間、幾度もキャストを変えながら、映画・ドラマを問わずに、度々放送されてきた珠玉のミステリー作品、『犬神家の一族』。
探偵・金田一耕助が、犬神家の遺産相続争いとなる大事件に挑んでいく珠玉の名作ですが、結末はどのように描かれているのでしょうか。
では、改めて、過去作品を参考に、犬神家の一族の結末をネタバレしていきますね。
犬神家の人間関係(家系図)
まず、事の発端は、犬神佐兵衛の遺産相続にありました。
犬神佐兵衛には正妻がおらず、3人の愛人をとっていました。
その愛人から生まれた3人の娘が、
- 長女:犬神松子
- 次女:犬神竹子
- 三女:犬神梅子
の3人。
そして、娘たちが婿養子を取り、それぞれ、息子を生みます。
- 長女・犬神松子の息子:佐清(スケキヨ)
- 次女・犬神竹子の息子:佐武
- 三女・犬神梅子の息子:佐智
犬神家の一族では、この3人に対する遺産相続を巡って、とんでもない事件が勃発しようとしていたのですが、事態は、さらに複雑になっていきます。
遺言書の内容
それは、犬神佐兵衛の遺言書が公開されたときのこと…
まず、全財産の相続権(犬神家の家宝:斧・琴・菊)を
野々宮珠世に与える
とされていました。
ただし、条件があり、犬神家の孫となる(佐清・佐武・佐智)の誰かと結婚することが大前提…
つまり、
『犬神佐兵衛の孫たちの中の誰かが、珠世と結婚し全財産を受け継ぐ』
という内容だったのです。
とはいえ、珠世にだって、相手を選ぶ権利があります。
また、三人の孫が、何らかの原因で亡くなった(あるいは、珠世との結婚を拒んだ)場合も考えられます。
その場合は、全財産の5分の3を、佐清・佐武・佐智の3人で三等分し、残る5分の2を別の愛人(青沼菊乃)の子・青沼静馬に譲ると記されていました。
珠世・静馬と佐兵衛の関係
青沼菊乃は、佐兵衛が寵愛していた愛人ですが、松子たちよりも年下の女工。
そんな菊乃に、すでに佐兵衛は、家宝(斧・琴・菊)を譲り渡していたのです。
松子たちは、そのことに立腹し、当時身重だった菊乃をいたぶっていたというのです。
結局、菊乃は家宝を返上し、
「恨んでやる!斧、琴、菊で復讐してやる!」
と、言葉を残して、犬神家を離れ、現在消息不明…
その息子である、青沼静馬も菊乃の遠い親戚に預けられ、犬神家との直接の関係を持っていません。
一方、野々宮珠世も、犬神佐兵衛と深い関係のある人物でした。
実は、犬神佐兵衛が正妻を持たなかったのには、明確な理由があり、大恩人である野々宮大弐の妻・野々宮晴世を愛していたのです。
とはいえ、それは不貞でしかありません。
二人の間に子供も生まれますが、正式に籍を入れることは出来ませんでした。
そこで、犬神佐兵衛は、愛人を3人も囲い、自身の気持ちを抑え、一生結婚しなかったのです。
そして、その裏では、晴世の孫である珠世を寵愛していたというわけ。
おそらく、遺言書に珠世と静馬に財産を譲る旨が記載されていたのも、犬神佐兵衛の愛が入り乱れた結果なのかもしれませんね。
ますます激化する犬神家の遺産相続争い
さて、話をもとに戻しますが、この遺言書が公開され、当然、遺憾に思っているのが、犬神家の面々です。
「何故、赤の他人に財産が分配されるの?」
と不審に思っていたことでしょうし、やはり気分はよくありません。
そこで、この遺産相続を巡って、血みどろの事件が勃発してしまうのです。
犬神家を襲う事件
犬神家の遺産相続争いの第1の犠牲者となってしまったのが、次女・竹子の息子:佐武。
佐武は、花鋏で首を切り落とされ、菊人形の顔と入れ替えられていました。
さらに、胴体が那須湖に沈められてしまうのです。
なんとも残忍な事件が発生し10日後、今度は佐智が命を奪われてしまいます。
しかも、佐武・佐智の両方の現場に、珠世が居合わせていたことが判明…
珠世犯人説浮上の中、もうひとりの犠牲者
犬神家の面々と警察は、珠世が真犯人ではないかと推測…
金田一は、珠世真犯人説に矛盾を感じながら、捜査していきますが、そんな中、今度は佐清と思われる人物が命を奪われてしまうのです。
実は、この男は、もうひとりの愛人の子・青沼静馬でした。
静馬は、ある理由から佐清を脅して、度々佐清と入れ替わり、珠世と結婚する画策も立てていました。
松子の犯行…
ただ、先回りして佐清の母・松子が、佐武・佐智の命を奪う…
佐清と静馬はその犯行を偽装工作して撹乱させます。
一方、自身の犯行のために、息子である佐清が脅されていたことを知った松子は、静馬の命を奪い、事件を終わらせようとしていました。
名推理を明かす金田一耕助、自害する松子
しかし、金田一に、その犯行が見破られ、事件の真相は解き明かされていくのです。
そして、松子は毒入りタバコを吸い自害。
佐清に、珠世のことを託していったのです。
以上が、犬神家の一族の結末ネタバレです。
結局、佐兵衛の思惑取りに運んだ犬神家の顛末
結局、佐兵衛の想いが、松子を操り事件が勃発した…
そんな様子が色濃く伺えた結末でしたね。
まぁ、唯一の救いは、珠世が
「佐清の帰りを待つ」
と言ってくれたことです。
佐清は、犯人隠避(または、ほう助)の罪で逮捕されて刑に服することになります。
それでも、刑事からは情状酌量の余地はあると言われ、少しホッと出来たでしょう。
遺産相続が、ここまで壮絶な事件を呼び寄せるとは、なんとも言えない事件と言えそうですね。
犬神家の一族の真犯人は?
犬神家の一族の真犯人は、先程も少し触れましたが、犬神佐兵衛の長女・松子です。
まず、第1の事件となる、若林弁護士の事件は、松子が遺言書の内容を喋らせた上で、タバコに毒を仕込み、若林に吸わせる…
その後、松子は、博多に佐清を迎えに行き、アリバイが成立してしまったようです。
ちなみに、若林の命を奪った動機は、遺言書の内容を知った若林に脅迫されることを恐れての犯行とのこと…
佐武・佐智の命を奪ったトリック
第2の事件・佐武に関してですが、これは松子・佐清・静馬の3名が関わっています。
まず、佐武の命を奪ったのは松子で間違いありません。
しかし、佐武の首を切り落とし、菊人形と首を入れ替えたのは佐清と静馬でした。
二人は、松子の犯行を目撃し、静馬が、佐清の権利を全部与えるように佐清を脅迫する形で、入れ替わりつつ、犯行のほう助をしていたのです。
続いて佐智についてですが、これも命を奪ったのは松子。
松子は、琴の稽古中に抜け出し佐智に接触。
帯で絞殺し、その場を去ります。
ただ残念なことに、佐清と静馬にまた目撃されてしまうのです。
そこで、静馬に命じられ、佐清は、琴の弦を佐智の首に巻いて偽装工作を図るのです。
このようなトリックを途中で登場した、顔を隠したマスク男と入れ替わる形で、繰り返していたというわけ。
ちなみに、最初に登場したマスク男は静馬。
必要に応じて、佐清と役割を交代して、お互いのアリバイを作り、事件を撹乱していたのです。
金田一に見破られた真相
ただ、金田一は、そのすべてを見破り、佐清が
「自分が静馬を脅して弟たちを殺害した」
と自供する中、
「違うでしょ。佐清さんが逆に脅されていたんでしょ。」
と指摘し、松子が真犯人であることを見破ってしまうのです。
ただ、最終的に、松子の自害を止めることは出来ず、なんとも後味の悪い幕引きとなりました。
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まとめ
ミステリーの名作『犬神家の一族』が、加藤シゲアキさんを主演に迎え、リメイクされて帰ってきます。
基本的な内容は、それほど変わらず、過去作品を観ている人なら、おそらく結末や真犯人・黒幕も知っているひとは多いはず…
真犯人は
犬神佐兵衛の長女・松子
であり、息子の佐清と、佐兵衛のもうひとりの愛人の子・青沼静馬が裏で動いて、事件が複雑化されています。
結局、佐兵衛の意志に即した事件となり、ある意味、黒幕は佐兵衛自身だったと言えるかもしれません。
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