『部落』の意味を知っていますか?
『部落問題』とはなにかを知っていますか?
社会では、『部落』について話すことはタブーであるという風潮があります。
でも、
『触れてはいけないもの』
という意識は、差別を助長するのではないでしょうか?
『部落問題』を考える時、
私たちが、本当に必要なものは正しい知識です。
風評に惑わされることなく
固定観念によって事実が曲げられることなく
淡々と事実を拾い出していく
そんな正しい知識を得て、始めて自分の中で答えが出せます。
『部落問題』
それは
遠い過去に遡ること。
でも、今もどこかで続いていること。
この記事では、『部落の意味とは?なぜ差別されるのか、理由と原因』を、紹介していきます。
『部落』の意味とは?
辞書をひくと、『部落』とは
比較的少数の家から成る地域共同体や集落
のことだと書かれています。
本来、『部落』は、上記のような意味を持っていますが
その一方で、
『被差別部落』を略して、『部落』と呼ぶことも一般化されてきました。
また、『部落』は行政用語で
『同和地区』
とも呼ばれています。
その影響もあり、社会では、一般的に
部落と同和地区は同様である
と認識されているように見受けられます。
行政用語上の部落と同和地区
厳密にいうと、『同和地区』は、
同和対策事業が必要であると、行政機関が認定した地区
であり、全ての部落と一致するわけではありません。
それは、歴史的にみて、あるいはそこの住人の見解で、部落であると認めたとしても、
行政が同和地区と指定しなかった場合があるからです。
『部落』が差別される理由や原因
部落の人々への差別の原因を、ひとつに絞って挙げるのは難しいですが
中世に遡る『職業差別』
に端を発していると考えられます。
差別の理由は、
部落の人たちが『賤しい職業』に従事していると認識され、部落外の人間より劣っていると考えられたため
です。
部落の人たちが差別される
理由と原因
を知るためには、中世の時代まで遡る必要があります。
ちょっと長くなりますが、読んでみてくださいね。
現在の部落に繋がる集団は、中世において、社会的差別をされていた人たちです。
古くは、平安時代。
当時の部落の人々は、河原に移住し、死体処理などの仕事をしていたという記録が残っています。
これらの人々は、
『キヨメ(清目)』
と呼ばれていました。
鎌倉時代の記録によると、
『キヨメ』が、『エタ(穢多)』
と呼ばれるようになったことがわかります。
仏教や神道では、キヨメやエタと呼ばれる人たちが従事する職業は
『不浄のもの』
をいう考え方があり、
これらの職業に対しての差別が強まっていきました。
その後、このような職業の集団が各地に共同体を作っていきました。
彼らは、河原に移住し、皮革を作るようになり、
『河原者』や『カワタ』とも呼ばれるようになります。
江戸時代に入ると、差別は法制度化されます。
今でいう戸籍にあたる、『宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)』に、
『エタ』『カワタ』
の身分で記載された人々は、
これらの身分から抜け出すことは不可能になりました。
さらに幕府や藩は、
被差別民が農民や町民に紛れ込むことを禁止し、さらには移住地や、着る衣服まで規制をしたのです。
続く明治時代に、この封建的な身分制度は廃止され、明治4年の解放令は、
『えた、ひにん等の称号を廃し、身分職業とも平民同様たるべきこと』
としています。
『ひにん』とは、江戸時代の賤民身分の呼称のひとつです。
こうして、彼らは、
少なくとも制度上は、平民同様の身分となったわけです。
部落差別が法的根拠を失ったことにより、部落の人たちは
祭礼への参加が認められる
部落と部落外の子供が同じ教室で勉強できる
など、社会参加の機会が与えられるようになりました。
しかし、法律上では、平等であるにもかかわらず、差別は容易にはなくなりませんでした。
明治政府は国の近代化を目指しており、教育面や衛生面などに力を注いでいました。
このような社会背景のもと、貧困で教育水準も低いという生活
から抜け出ることが困難であった部落の人々は、
『劣等や不潔などのイメージ』で捉えられ
新たな差別意識に晒されるようになったのです。
現在の部落問題
もし、現代の部落差別について聞いたら
「まだ部落問題が残っているなんて知らなかった!」
「もう差別はないと思う」
という答えが大半だと思います。
でも、
残念ながら、差別は残っています。
それが顕著に表れるのが、
就職や結婚といった人生の大きなターニングポイントにおいてです。
興信所を使った身元調べで出自が明らかになり、部落出身であることから、家族から結婚を反対されるという話もよくききます。
また、インターネット上での、部落に対しての悪質な差別的書き込みも、デマや偏見を煽っています。
さらに、部落出身の若い世代では、貧困が原因で進学率が低く、不安定な生活をしている比率が高いといわれているのです。
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まとめ
部落の意味
- 被差別部落の略
- 一般的には同和地区と同様
部落が差別された原因
- 中世の時代からの職業差別
部落が差別された理由
- 賤しい職業に従事している劣等な人々と認識されたため
『部落差別』は、無知で未熟で愚かな行為です。
部落出身の人たちが、
大昔の祖先の身分を引きずって、今も差別されるなどあってはならない
と思います。
でも、部落について無知であったら、デマや根拠のない噂を容易に信じてしまいます。
悪意に惑わされない正しい判断をするために、正しい知識を得るよう努めていきたいものですね。