白い巨塔の意味と実話の事件をチェック!病院や財前五郎のモデルは?

これまで何度も映像化され、あらゆる世代の人が一度は見たことがあると思われる超名作ドラマ『白い巨塔』。

一件すると、病院内の話というだけあって、人の命の尊さを教えてくれるような作品かと思いきや、全く異なる作品ですよね。

病院内の組織のあり方や、医療ミスを全力でもみ消そうとする悪しき風習は、病院の闇を見せられているようで心が痛みます。

さて、そんな『白い巨塔』ですが、みなさんは、この作品にモデルがあることを知っていますか?

また一部では、

「実話となる事件がある」

なんて噂もあるようです。

そこで本記事で、『白い巨塔』の意味や、財前五郎・舞台となる病院のモデル、実話となる事件の真相を探り、まとめていきます。

『白い巨塔』の意味

病院組織における権力組織と医療ミスによる医療過誤裁判をテーマとして描いた映画・ドラマ作品『白い巨塔』。

原作は、みなさんも知っての通り、『沈まぬ太陽』や『華麗なる一族』など、数多くの名作を手がけた作家・山崎豊子先生。

すでに、『白い巨塔』は、何度もテレビドラマ化されている作品なので、タイトルくらい知っている人は大多数だと思います。

ただ、このタイトルにある『白い巨塔』には、どんな意味が隠されているのでしょうか。

それは、この作品のモデルにある

『大阪大学』

にヒントが隠されていました。

『白い巨塔』は実在していた?

『白い巨塔』の舞台となる浪速大学や登場人物のモデルについては、後ほど掘り下げて語っていきますが、実は、『白い巨塔』と呼ばれる建物が大阪にありました。

かつて、

大阪大学大学院医学系(研究科・医学部およびその附属病院)の建物(タワー)

として、『白い巨塔』がそびえ立っていたそうです。

しかし、敷地の狭さと老朽化によって、大阪大学の医学系全般の人たちが、新田に建設された新キャンパスに移転し、しばらく廃屋となりました。

現在は広島大学が所有…

そこに目を付けた広島大学が買い取り、現在は広島県東広島市のメインキャンパスとして使われているそうです。

『白い巨塔』そのものが実在していたのは、なんとも驚きの話ですよね。

では、そもそも本作品で意図する『白い巨塔』とは何だったのか…。

その答えを紐解いていいきましょう。

白い巨塔=病院内でうごめく権力社会

大阪大学の敷地内にそびえ立つ『白い巨塔』は、まさに一部関係者しか立ち入れない崇高なものと見ていいでしょう。

当然、病院組織の一部である以上、権力組織は機能し、教授の言うことは絶対。

たとえカラスは黒だとしても、教授が白といえば白になる世界…。

まるで、教授が神にでもなったかのような、奇抜な世界観が広がっているのです。

それほど教授は絶対権限を持っていたため、万が一、違う方向に進もうものなら、弱者である患者が振り回され、医療ミスで命を奪われることも…。

『白い巨塔』とは、まさに権力主義の象徴であり、「白い」と言われているのは、そこが病院内部のことであるからなのです。

舞台が病院だからこその『白い巨塔』

病院を色で表すなら白というイメージを受けますよね。

だからこそ

巨塔という大きな存在=権力

白い=病院

と位置づけ、山崎さんは本作品を手がけていったわけです。

病院は、医師が患者の病気を治療してくれる場所であると考えがちですが、実は裏では権力がうごめいていることを本作品を通じて知ってほしい…。

筆者としては、そのように思う次第です。

『白い巨塔』財前五郎や病院のモデルは?

後ほど、解説していきますが、基本的にこのドラマはフィクションであり、モデルそのものはありますが、あくまで登場人物や病院だけ…。

事件そのものは、原作者である山崎豊子さんの描くストーリーに過ぎません。

では、その話に触れていく前に、まず、財前五郎や病院のモデルについて紹介していきますね。

財前五郎のモデル

『白い巨塔』の主人公・財前五郎のモデルは、元大阪大学教授・神前五郎医師です。

神前五郎先生は、千葉県生まれ、大阪帝国代医学部出身で、専門はガン・血栓止血学。

話によると、原作者である山崎さんの主治医だった医師らしく、『白い巨塔』を手がけるのに名前と地位を拝借したとのこと…。

性格は、里見脩二のような優しい性格…

ただ、性格は、財前のような傲慢なタイプと全く異なり、懇切丁寧で患者に寄り添う、里見脩二のような心優しい医師だったそうです。

残念ながら、2015年3月22日に95歳で肺炎によって、この世を去られています。

少なくとも財前のように、ガンによって若くして亡くなったわけでもありません。

財前五郎のモデルではあるものの、人物像は全く無関係と言えそうですね。

病院のモデルは大阪大学

『白い巨塔』の舞台となる浪速大学病院のモデルですが、これも原作者である山崎豊子さんが通っていた大阪大学がモデルとなっています。

もちろん、『白い巨塔』で起こる全てのストーリーは、山崎豊子さんが紡ぎあげたフィクションであり、そのことは放送後のテロップでも明示されています。

モデルといっても、地位と名前を拝借しただけ…

ただ、病院と財前五郎のモデル、その他の医師のモデルが大阪病院にあったと言うだけの話に過ぎません。

病院組織の権力図式というのは、大阪大学限らず、ほぼすべての大学病院で権力主義による組織図がなされているので、それを物語にしたのでしょう。

また、その権力図式というのは、社会全体にも当てはまります。

山崎豊子の描くテーマは権力組織のあり方

そして、山崎豊子先生は、その権力組織を一つのテーマとして、『白い巨塔』を描いていたわけです。

そのことを考えると、モデルそのものは実在していたとしても、医療過誤事件も含め、内容そのものはフィクションであり奥の深い物語というわけです。

『白い巨塔』のモデルとなった事件があるのは嘘?

『白い巨塔』といえば、がん患者を医療ミスによって亡くしてしまった事件が、医療過誤裁判として取り扱われることをテーマとして描かれていますよね。

医局員である柳原が、不穏な影をレントゲンから見つけ、里見からも断層撮影して再検査するように助言されるも、無視して強行オペを敢行した財前五郎。

しかも、財前は教授選に頭が回りすぎて、患者の術後診断もせず、結果、肺へのがん転移に気が付かずに患者が落命してしまうという、最悪の医療ミスを犯しています。

最終的に、ドラマの中では、法廷闘争が繰り広げられ、第2審で財前(浪速病院)の敗訴という形で、一つの決着は付いています。

では、この『白い巨塔』で起こった事件にはモデルが存在していたのでしょうか。

『白い巨塔』で描かれた物語はフィクション

一部では、多少脚色していたり、登場人物・大学名を変えているものの、

『ドラマそのものはノンフィクションである』

という話もあります。

しかし、その話の具体的なものは何一つなく、実際に発生した事件も出てきていません。

大阪大学・医療過誤裁判は未来の話…

『白い巨塔』放送後に、モデルとなる大阪大学で医療過誤裁判があった話はありましたが、それは2015年の話で、ドラマ本編とは全く無関係。

ちなみに2015年に起こった事件の内容は以下の通り…。

医療過誤裁判の内容

大阪大学病院は、とある悪銭リンパ腫の男性(当時70歳)に抗癌剤治療を施していました。

しかし、この患者は、B型肝炎にも感染していたのに、そのことを知りながら、大阪大学は、肝炎発症の副作用がある抗がん剤を投与…。

結果、患者は亡くなり、遺族は、医療ミスがあったとして、約1億3200万円の賠償を求め訴訟を起こしましたが、あえなく敗訴…。

『白い巨塔』は、権力でうごめく病院内部の闇を描いたフィクション

事件そのものは、ドラマ本編と酷似していますが、すでに小説は大ベストセラーとなっていますし、映画・ドラマ作品も数多く手がけられています。

『白い巨塔』が世に出てからの事件ですから、全く無関係と見ていいでしょう。

ただ、今でも『白い巨塔』のような、とんでもない悪が、病院組織内でうごめいていると考えると、正直ゾッとします。

信頼できる医師を見つけることの重要さ

大事なのは、信頼できる医師を見つけることであり、うかつに医師を信じてしまうのは危険であると学んでいただきたいのです。

もちろん医師の全てが信用できないわけではありません。

ただ安易に、これがジャーナリズムであるとばかり発言し、TV番組で出演者の余命を発表するような医師は信用しないほうが賢明です。

なぜなら、症状というのは一度や二度の検診で分かるほど簡単なものではなく、医師と信頼を築き、何度も診断を受けて、はじめて分かるものだからです。

某医師も証言する健康番組のヤラセ

これは、あるかかりつけの医師が即答した話です。

筆者は、テレビでよく医師が発している健康法や、芸能人出演者の余命申告について真偽を訪ねてみると、

「あぁ、あれ全部ウソ(ヤラセ)だから…」

と一刀両断されたのです。

「やれトマトが良いとか、納豆が良いとか言っているけど、そんなのは一部で良いとされているだけであって、すべての人に当てはまるとは限らない…」

「芸能人の余命申告もどこまで本当のことなのやら…そもそも一度や二度の診断で全て解明するなんて安直すぎる…」

とデータ(数値)ありきの診断に意義を唱え、

「こんな医師がいるから、患者も勘違いし治療がやりにくくてたまらん…」

と嘆いていました。

もちろん、誰の意見が絶対とは言いませんが、少なくとも、医療番組で登場する医師が100%正しいわけではないことだけは事実と見ていいでしょう。

財前五郎の言うことは絶対ではない

それは、ドラマ『白い巨塔』で、財前五郎の考えが間違っていて、結果、患者を落命に至らしめたことでも明白です。

モデルとなる事件そのものはなく、一部で言われる実話だったという話は嘘と捉えていいでしょう。

ただ、たとえその話が嘘だったとしても、ドラマ本編から、医療における一つの知識として、医師との関わり方を考える切っ掛けにしてほしい…。

そう強く願う次第です。

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まとめ

『白い巨塔』とは、まさに病院内部の権力主義という巨大な組織そのものを意味し、この権力主義が、いろんな意味で闇を作っています。

また、医療過誤事件に関しては、あくまで山崎豊子さんが描いたフィクションであり、実話と言うのは嘘ということも分かりました。

確かに、財前五郎をはじめとする医師たちや、浪速病院のモデルが存在していますが、それは、あくまで名前と地位を借りただけの話…。

大阪大学に限らず、日本という国にはびこる権力という闇をテーマに描いた作品だということが全てといえるでしょうね。

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