フランス文学の特徴とは?おすすめの作家と恋愛小説作品を紹介!

フランスといえば、何を思い浮かべますか?

ファッション、ロマンス、カフェなどでしょうか?

フランスは、『文化大国』として世界的に有名です。

また、『ロマンスの国』として女性の憧れでもありますよね。

ファッションを含め、フランスの文化全般を紹介する雑誌や本は数多くあります。

しかし、

「フランスの小説をなにか読んだことある?」

と質問されれば、即答できない人が多いです。

でも、

『星の王子様』や『レ・ミゼラブル』などを知りませんか?

と聞いてみれば、

あっ!知っている、読んだことある。

という人は、結構いるものです。

フランスの文豪『ビクトル・ユーゴー』が書いた『レ・ミゼラブル』は、『ミュージュカル』にまでなっています。

では、フランスで有名な『恋愛小説』は何でしょうか?

この記事では、フランス文学と有名な『恋愛小説』について紹介していきます。

フランス文学の特徴とは?

文学には、その国の場所や文化などが反映されるのが特徴です。

フランスといえば、ヨーロッパ大陸の中心にありますよね。

フランスの国旗のトリコロール、青・白・赤は『自由・平等・博愛』を意味しています。

しかし、その反面、厳格なカトリック教徒であり、

『合理主義者』

という特徴が文学に反映されているのです。

文学は、こうした国民性を反映し、複雑多様なものといえるでしょう。

フランス文学の特徴を一言でいえば、

現実主義的なものが多い

ということです。

意外かもしれませんが、

情熱的というよりはむしろ理知的

といえます。

それは、明快さと秩序と論理を重んじているということです。

文章の特徴も、感情の自由奔放な単純な表現よりも、

形式の調和を尊重する傾向

があります。

他の国の文学に比べて、より人間的といえるでしょう。

そして、人の内面を追求しているところです。

そのため、『恋愛小説』として書かれることが多いですね。

フランス文学のおすすめの作家と作品8選

『星の王子様』サン・テグジュペリ 著

この作品は説明するまでもありません。

日本で広く知られているとおもいます。

『児童文学の最高の名作』

といえるでしょう。

挿絵が入り、美しく装飾されている本が多いですね。

『異邦人』 アルベール・カミュ 著

大学のゼミや専門課程でよく使用される教材です。

主人公のムルソーは『太陽のせい』で、人の命を奪います。

通常の論理的な一貫性が失われている男に、理性や人間性の不合理を追求した作品です。

今なお色あせることのない鮮烈な話しといえますよ。

『赤と黒』 スタンダール 著

ジュリアン・ソレルの目を通して、

『支配階級の腐敗』

を鋭くついている作品です。

『狭き門』 アンドレ・ジッド 著

「力を尽くして狭き門より入れ」

という聖書の言葉を主題にした恋愛小説です。

『ボヴァリー夫人』 ギュスターブ・フロベール 著

ブルジョワ階級の夫人(エンマ)が、旦那との生活に飽きが来て浮気をする話です。

『パンセ』 ブレーズ・パスカル 著

「人間は考える葦(あし)である」

であるという有名な名言で知られています。

『レ・ミゼラブル』 ビクトル・ユーゴー 著

貧困のため一個のパンを盗んだことが原因で、主人公のジャン・バルジャンは投獄されるのです。

彼は、投獄されたことに納得が行かず脱獄をします。

心を改め、新しい生活を送ろうとしますが、彼を執拗に追いかけ、逮捕することが義務であると感じる警部がいたのです。

『ヒューマニズム』を主題としているのですが、サスペンスを強く感じる作品になっています。

貧困と悲惨を問題視したユーゴーの傑作小説といえるでしょう。

『失われた時を求めて』 マルセル・プルースト 著

この作品は、フランス国内だけでなく世界中の文学に多大な影響を与えています。

現代でも、これを超えるものを書こうとする作家が大勢いる最高傑作です。

本のボリュームがあるので、途中で挫折してしまう人もいるでしょう。

フランスの恋愛小説なら『悲しみよこんにちは』

フランスといえば、『ロマンスの国』というイメージがあるように『恋愛小説』は数多くあります。

他国とは違い、

『大人の時間』と『子供の時間』が明確に分けられているため、

ロマンスが多いのでしょう。

それと、徹底した個人主義の国であることも影響しています。

「人は孤独のうちに生まれ孤独のうちに死んで行く」

という言葉があるくらい、フランス人は常に孤独です。

孤独を引き受け、それで一生を生きなければならないと考えています。

そこで、彼らに取って恋人の果たす役割は大きいものとなるのですね。

そして、愛する人と家庭を作るのでしょう。

よくフランスで『熱狂的恋愛』の方が、「命を落とすより怖い」と聞いたことがあります。

そこで、紹介したい恋愛小説の作家は

『フランソワーズ・サガン』

彼女のプロフィールについて説明しておきましょう。

名前:フランソワーズ・サガン(francoise sagan)

生まれた場所:フランソワーズ コワレ

最終学歴:ソルボンヌ大学

職業:小説家、作家、劇作家、脚本家、映画監督、作詞家

誕生~没:1935年6月21日~2004年9月24日

代表作:『悲しみよこんにちは』

エピソード:スピード狂、自動車事故を起こす。

晩年は、カジノ通いなどで、生活に困窮したり、波乱万丈の一生を送っています。

恋愛小説『悲しみよこんにちは』がベストセラーになった理由は?

サガンは、まだ学生で18才の時に、『悲しみよこんにちは』でデビュー。

本は大ベストセラーになりました。

莫大な数億円というお金が一気に舞い込んで来たのです。

『悲しみよこんにちは』は、

新しい時代を告げる新しさや衝撃なインパクト

がありました。

当時のフランスは、戦後の復興で経済成長が始まり、国民は高尚すぎず低俗すぎない娯楽を求めていたのです。

今の生活を喜び合い、消費を楽しむ時代が来ていたのですね。

サガンの作品は、うまくそうした時代の流れにのったのでしょう。

それだけではなく、次のことも大切です。

もちろん、その作品の出来は非常に計算され優れたものでした。

18才の若い女性が書いたとは思えない内容でした。

無駄のない簡潔な音楽的な印象を残す文体であったのです。

有名なサルトルまでもが、サガンのことを『柔らかく確固とした』文章であるとほめたたえています。

『悲しみよこんにちは』を読む前に知ってほしいこと

少し『解説』を入れて紹介していきます。

ぞれを読みながら理解してくださいね。

なぜ、主人公セシルは朝起きて、

「悲しみよ、こんにちは」

ってつぶやいてしまうのでしょう。

セシルは18才の女性です。

長い人生が始まったばかりで、大人の仲間入りをする時期です。

それなのに、なぜ、人生を悲しいといってしまうのでしょう。

セシルは、若くして『失恋』をしました。

『悲しみ』の直接の原因は、絶望的な『失恋』です。

フランス文学の『恋愛小説』では、男性が『失恋』をし『悲劇』となるパターンとなる場合が多くあります。

今回のように、女性が『悲劇』の対象となるケースは少ないです。

しかし、その話が単なる『失恋』で終わるのではなく、話が『伏線』になっています。

セシルは、『失恋』を防ぐためにいろいろと手段を取りました。

だけど、セシルには力及ばず、結局『悲劇』となってしまうのですね。

その『失恋』を通し、様々な人間関係を学んでいく過程が、『悲しみよこんにちは』では、斬新に書かれています。

『悲劇』を原因に成長するセシルの姿に世界中の人が共感したからです。

『悲しみよこんにちは』のストーリーは?

パリで、男やもめ40才のレイモンは、多くの女性と楽しむ享楽的生活をしていました。

母を早くに亡くしたセシルと、父のレイモン。

ある時、二人は『南フランス』でバカンスを過ごすことになりました。

そして、父の愛人・20才のエルザという女性と暮らしはじめます。

同時にセシルは、隣の別荘に住む男子大学生のシリルに強い恋心を抱いたのです。

ある時、父レイモンはエルザがいるにも関わらず、亡き妻の友人であったアンヌを呼び寄せます。

とても美しく、理知的で聡明なアンヌをセシルは慕いますが、アンヌの厳格な面に対しては、うっとうしくも感じていました。

そして、このアンヌが父レイモンと結婚することになるのです。

セシルは、『ブルジョワ階級』の娘で18才です。

セシルの母になったアンヌは、セシルに対して、彼氏であるシリルと恋愛をするより、学問・芸術などに興味を持つことを望んでいました。

メモ

『ブルジョワ階級』の女性らしく『模範的な生活』を送り、セシルに『社交界』に出ても恥ずかしくない女性として成長してほしかったのです。

今の日本でいうとセシルは、『令嬢』とか『お嬢様』だったわけです。

『南フランス』でのセシルとレイモンの生活ぶりは、パリの時と変わらず華やかで享楽的。

その中での、アンヌの『規範的な生活』方針は、徐々に彼らの華やかで享楽的な生活とそりが合わなくなっていきます。

それどころか聡明で理知的なアンヌによって、セシルとレイモンに取っては当たり前であった、享楽的な生活に終止符が打たれることになります。

しかし、セシルは負けてはいません。

エルザ、シリルと共謀し父レイモンが、アンナではなくエルザをしたうように言葉巧みに誘導します。

結果、愛人エルザの嫉妬が燃え上がり、すべての人間関係が破たん。

セシルとレイモンはパリへ戻ることになるのです。

『南フランス』の別荘でのことはなかったかのように、パリで再び、セシルとレイモンは享楽的な生活を再び始めるのです。

サガンは、生涯のほとんどを『恋愛小説』に費やしています。

この機会に、まずはこの『悲しみよこんにちは』を読み、さらに興味があれば彼女の他の『恋愛小説』もおすすめですよ。

スポンサーリンク

まとめ

フランス文学の特徴は、

国民性が表われていること

ですね。

意外なことに、自由奔放や情熱より、明快さと秩序と論理を重んじているのです。

形式の調和を尊重する傾向があります。

それはフランス人が『合理主義者』であることに、結びついています。

また、実は『フランス語』と関係が深いのです。

『フランス語』は、非常に『時制』が難しく論理的な言語です。

その論理的な言語の枠で話し、文章を書かなくてはなりません。

フランス人でさえも、その言葉の論理に沿うのは大変な時があります。

そのことで『アコーディオン現象』という、ヒステリーを起こすことがあるのです。

恋愛小説では、サガンの『悲しみよこんにちは』は、現代作家で興味深い存在だと思うので、ぜひ読んでもらいたいものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする