『就活うつ』
という言葉があります。
就職活動が原因でうつ状態になってしまうことです。
『就活うつ』の学生に対して、
「就職活動が大変なのは当たり前。『就活うつ』なんて甘えだ」
なんて批判をする人がいます。
他方では、
「『就活うつ』は心の病気だから、『甘え』などと批判するのはまちがっている」
という見方もあるでしょう。
人によって受け止め方は違います。
しかし、まずは『就活うつ』とはどんなものなのかを、正しく理解することが大切でしょう。
『就活うつ』の症状はどのようなものでしょうか?
また、どういう診断方法があるのかなどと、あわせてチェックしてみましょう。
『就活うつ』とは
『就活うつ』の意味
『就活うつ』とは、
『就職活動をしている者が、うまくいかずにストレスがたまり、うつ状態になってしまうこと』
を意味します。
『就活うつ』は、就職活動のストレスによって引き起こされる『うつ症状』や『うつ病』のことです。
『就活うつ』の特徴と原因
『就活うつ』の原因は、主に次のようなものです。
- 内定が中々とれない
- 自分が否定された気持ちになる
- 面接でパワハラを受けた
- 周りがどんどん内定を決めていく
- エントリーシートが上手く書けない
- やりたい事が分からなくなる
- 周囲の期待
就活では、たくさんの会社に応募する学生が多いでしょう。
一社ずつ、丁寧にエントリーシートを書いたり、説明会に参加したりするだけでも大変です。
自己分析をしているうちに、自分がダメな人間のように思えていまい、思い悩んでしまうこともあるかもしれません。
何度も就職面接を受けるのも、精神的な負担が非常に大きいでしょう。
そんな就職活動の中で、多くの学生はストレスを抱えます。
しかし、『就活うつ』は、ただつらくて落ち込んでいるだけではありません。
もっと深刻なものです。
異常に疲れやすくなったり、何もする気になれなくなったりします。
それは、『うつ症状』と呼ばれるもので、ひどくなると『うつ病』などの心の病を引き起こしてしまう事があります。
ところが、このような症状が出ても、就活で忙しい就活生は、
「ちょっと疲れが出てしまっただけ」
と、普段のストレスとの違いを判断できません。
また、もっと問題なのは、周りからは『甘えだ』と思われてしまうことです。
周囲と比べて、自分自身を責めてしまうケースも少なくはありません。
『就活うつ』というのは、正式な病気の名前ではありません。
厳密な定義があるわけではないのです。
ひどくなってしまう前に、適切に対処する必要があるでしょう。
『就活うつ』になりやすい人
『就活うつ』になりやすい人
- 真面目な人
- 努力家な人
- 完璧主義の人
- プライドが高い人
- 他人と比較してしまう人
- 周りの評価や期待を気にしてしまう人
『就活うつ』になりやすい人は、
ストレスを溜め込みやすい
という特徴もあります。
真面目で頑張り屋だからこそ、ストレスを感じても、結果が出るまでは胸の内に溜め込んでしまうのです。
『就活うつ』は甘え?適応障害?
『就活うつ』と『適応障害』
心の病気の一種に
『適応障害』
というものがあります。
『適応障害』とは、
『ある特定の状況・出来事がストレスとなって、情緒面・行動面に問題が生じ、社会生活に支障をきたしている状態』
のことです。
『うつ病』と似ていますが、『適応障害』は
『ある特定の状況・出来事』
が原因になっている特徴があります。
したがって、その状況や出来事がなくなれば、症状が改善することが多いのです。
転職をしてみたら、症状が一気に改善された
というケースはよく聞きます。
『就活うつ』は、
『就活』
という
『特定の状況・出来事』
によって起こります。
気が重い『就活うつ』の場合、すでに
『適応障害』の状態にある
可能性もあるのです。
『適応障害』も『就活うつ』も、どちらも放っておけば『うつ病』を引き起こすことがあります。
自分も周囲も、よく注意する必要があるでしょう。
『就活うつ』は甘え?
たいした苦労でもないのに、すぐに
- 「疲れた」
- 「やる気がなくなった」
と言う人がいるのも事実です。
一見『就活うつ』に見えても、単なる甘えに過ぎない場合もあるでしょう。
しかし、先にも紹介した通り、『就活うつ』は、『うつ症状』です。
周囲が『甘え』と決めつけてしまい、本人を追い詰めることもあります。
『適応障害』や『就活うつ』は、
『周りの人に理解をされない』という事が辛い
と感じている人が多くいます。
それは、とくに、
- 原因となる状況・出来事を取り除いたら元気になる
- ゲームや飲み会など、原因以外の事をしているときは楽しい
という様子から、『一見すると元気に見える』からです。
次に、『就活うつ』の症状や診断方法を紹介するので、『甘え』と決めつけずに、その人の状態をよくみて、判断しましょう。
『就活うつ』の症状と診断方法
『就活うつ』と『適応障害』の診断方法は?
こういう症状が出たら『就活うつ』というような、決まった診断方法があるわけではありません。
『就活うつ』で『適応障害』のような心の病気になっているかどうかは、自己診断に頼らず、
専門の医者に診断してもらう
のがよいでしょう。
すでに仕事についている人が、『適応障害』になってしまうこともあるのです。
その場合は、医者から診断書をもらい、休職して治療に専念することもあります。
就活中の場合も、『適応障害』になってしまった場合は、医者の指示を受けるのがよいでしょう。
『就活うつ』の症状の例
ここでは、こういう症状が出たら『就活うつ』の可能性が高いという例をいくつかあげてみましょう。
『就活うつ』の症状の例(1)落ち込み方が非常に激しい
志望していた会社の内定が得られなかったりしたら、だれでも落ち込むのが当然です。
しかし、落ち込み方が非常に激しく、
その後の就活の予定を投げ出して、一人でふさぎこんでしまった
りしたら、『就活うつ』かもしれません。
『就活うつ』の症状の例(2)朝起きるのが非常につらい
就活で心身が疲れていたり、睡眠不足になっていたりすれば、起きるのがつらくなるのは自然なことです。
しかし、
面接などの重要な予定が入っているのに、体が重くて起きられず、行けなかったりする
ようであれば、『就活うつ』の可能性が高いでしょう。
起きられないだけでなく、熱や頭痛などの症状もあるようですと、かなり注意が必要です。
『就活うつ』の症状の例(3)人と会いたくなくなる
たとえば、面接で厳しいことを言われたり、失敗してしまったりしたときに、
しばらくショックをひきずってしまう
ということは、ふつうのことです。
しかし、ほかの会社の面接のときにも、
それを思い出して強い不安や恐怖を感じたりする
ようでしたら、『就活うつ』になっている可能性が考えられます。
そのような状況が続くと、面接以外の場面でも人と接するのがつらくなり、人を避けるようになることもあるのです。
そうなると、就活がうまくいかなくなり、『就活うつ』がますますひどくなってしまうおそれがあります。
『就活うつ』の症状の例(4)息苦しい感じがする
適応障害やうつ症状で、



というケースがあります。
実は、この息苦しさは、ストレスからくるものです。
強いストレスが継続的にかかることによって、自律神経が乱れ、
- 息苦しい
- 喉に何かが詰まったような感じがする
といった症状を引き起こします。
『就活うつ』の症状の例(5)眠れないなどの睡眠障害
『うつ症状』や『うつ病』の多くの人が、
睡眠障害がある
と言います。



こんな症状はありませんか?
これは、自律神経が乱れている証拠です。
交感神経が優位になって、脳が常に興奮状態になっているのです。
さらに、眠れないという状況が続けば、朝起きるのが辛くなり、日中の活動力にも影響がでます。
『適応障害』の可能性
不安や絶望が非常に強かったり、問題行動がみられて社会生活に支障をきたしたりしている場合などは、
『適応障害』
の可能性が考えられます。
放置せず、なんらかの対処をしたほうがよいでしょう。
『就活うつ』の予防方法
『就活うつ』になってしまった場合に、どのように対処すればよいかをみてみましょう。
『就活うつ』への対処法(1)気分転換をする
就活にのめり込みすぎると、就活のことだけで頭がいっぱいになってしまいます。
就活を苦痛に感じている場合は、うつ状態がひどくなってしまうかもしれません。
ときには就活のことを忘れて、
ほかのことをして気分転換をする
ことも必要でしょう。
適度な運動をすると、つらいことを忘れてリフレッシュできる
のでおすすめです。
脳や全身に血がめぐって活性化し、元気が出ることもあります。
疲れがひどくて運動どころではない場合は、心をいやしてくれるような本を読んだり、音楽を聴いたり、好きなことをしてリラックスするのもよいでしょう
『就活うつ』への対処法(2)スケジュールをつめこみすぎない
ネット社会で就活の情報があふれ、学生が多くの会社にエントリーすることが増えたのも、『就活うつ』の原因の一つかもしれません。
就活のスケジュールがハードすぎると、当然心身の負担も大きくなり、『就活うつ』になりやすくなってしまいます。
『就活うつ』になってしまった場合は、
就活を少し休む
などして、負担を軽くすることも必要です。
内定が得られていないのに、就活を完全にストップすることはむずかしいでしょう。
しかし、『就活うつ』がひどくなって、よけいに就活がうまくいかなくなってしまっては、元も子もありません。
強く志望している会社や、内定が得られる可能性の高い会社への対策など。
重要なことに集中して、それ以外は切り捨てることが必要な場合もあります。
『就活うつ』への対処法(3)人に相談する
一人で思い悩んでいると、悪いほうにばかり考えてしまいがちです。
悩みを打ち明けられる相手がいる人は、相談するのもよいでしょう。
話を聞いてもらうだけで、多少気分が晴れる
こともあるものです。
大学などでは、就活のアドバイスや、心のケアをしてくれる相談員がいる場合もあります。
人に相談したいときは、利用してみるのもよいかもしれません。
『就活うつ』の症状が重い場合や、なかなか改善しない場合
などは、精神科や心療内科のある病院で、専門の医者に診断してもらうことも考えましょう。
心の病気で病院に行くことに、抵抗を感じる人もいるかもしれません。
でも、風邪やケガで病院に行くのと同じようなことと考えてみてはいかがでしょうか。
心の病気でも、専門医に診断してもらい、苦痛や問題を取り除こうとするのは、恥ずかしいことではありません。
専門医であれば、的確に診断して、アドバイスをしてくれるでしょう。
医者に処方された薬を飲むことで、うそのように症状が改善することもあります。
身構えないで、医者の助けを借りるのも一つの手でしょう。
『就活うつ』への対処法(4)就活を一時お休みする
「就活を休むなんて、ますます周りから取り残されて、焦りを感じてしまう…」
と思ってしまう気持ちも分かります。
しかし、『うつ症状』があらわれたときは、悪化する前に、まずは心と体を休ませてあげるのが良いでしょう。
その際は、あらかじめ自分で期間を決めておくと、焦らず、きっとリフレッシュして戻ってこれますよ。
『就活うつ』への対処法(5)インターネットやSNSから距離を置く
就活をしていると、インターネットは必需品です。
しかし、インターネットには最低限の情報どころか、
知らないほうが良かった
という情報も目に入ってきてしまいます。
インターネット上の情報は、ほとんど無限にあり、一度見だすとキリがありません。
さらには、どのような内容であれ、インターネットを見ずにはいられないという人もいます。
また、友人のSNSからも、就活に関する内容が目に入ってしまい、また一人で落ち込んでしまう、といった経験もあるでしょう。
このように、インターネットの情報に一喜一憂していませんか?
インターネットの情報に振り回されていては、ストレスが溜まります。
『就活うつ』だと感じたら、インターネットやSNSから距離を置いて、余計な情報は目にしないようにしましょう。
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まとめ
『就活うつ』は、
『就職活動をしている者が、うまくいかずにストレスがたまり、うつ状態になってしまうこと』
を意味します。
『就活うつ』のおもな症状としては、次のようなものが考えられるでしょう。
- 落ち込み方が非常に激しい
- 朝起きるのが非常につらい
- 人と会いたくなくなる
- 息苦しい感じがする
- 眠れないなどの睡眠障害
『就活うつ』は
甘え
だと批判されることもあります。
しかし、『就活うつ』は、
『適応障害』
と呼ばれる心の病気だったり、その前ぶれだったりすることもあるのです。
『就活うつ』のおもな対処法には、次のようなものが考えられます。
- 気分転換をする
- スケジュールをつめこみすぎない
- 人に相談する
- 就活を一時お休みする
- インターネットやSNSから距離を置く
『就活うつ』についての正しい知識をもち、適切な就活や、『就活うつ』への適切な対処を心がけましょう。