『ボツリヌス菌』という細菌が引き起こす『ボツリヌス症』。
このボツリヌス菌は、大人の場合だと食中毒を引き起こし、赤ちゃんの場合は、腸内で毒素を排出し続けて、大変なことになる厄介な細菌です。
そんなボツリヌス菌が含まれているのが、蜂蜜です。
ただ、大人にとって蜂蜜は健康フードの一種とされています。
なぜ赤ちゃんには、蜂蜜を与えてはいけないのでしょう?
そんな疑問を持っているあなたに、今回は赤ちゃんに蜂蜜や蜂蜜入りの加工食品をあげてはいけない理由について紹介していきます。
また、蜂蜜をあげてしまった際の対処法や、赤ちゃんのボツリヌス症の症状等もお伝えするので、ぜひ最後まで読んでください。
そもそもどうして赤ちゃんに蜂蜜をあげてはいけないの?
蜂蜜には、約5%の確率で『ボツリヌス菌』という細菌の芽胞(細菌の種のようなもの)が混ざっている場合があります。
このボツリヌス菌を、1歳未満の赤ちゃんが摂取すると、腸の中で発芽・繁殖して、強力な毒素が排出されます。
その毒素の影響で、『乳児ボツリヌス症』という命に関わる病気にかかってしまう恐れがあるのです。
大人の場合は、腸内細菌の環境が整っている為、蜂蜜でボツリヌス症にかかる心配はありません。
しかし、赤ちゃんは腸内細菌がまだ未熟ですから、ボツリヌス菌の芽胞と戦う力がないのです。
その結果、命の危機が迫る乳児ボツリヌス症を発症してしまうのです。
1歳未満の赤ちゃんには絶対に蜂蜜を与えてはいけません。
赤ちゃんに蜂蜜入りの加工食品をあげるのもダメ?
結論からお話すると、
お菓子やパン等の加工食品でも蜂蜜が入っているのなら、赤ちゃんに与えてはいけません!
もし、誤って与えてしまったなら、少量であっても小児科を受診することをおすすめします。
蜂蜜は加熱してあれば大丈夫?
という考えは、実は非常に危険です。
ボツリヌス菌は、
現在の自然界の中で最も強力な毒素
を持ち、通常の加熱では死滅しない細菌です。
もしもの場合を避けるためにも、赤ちゃんが蜂蜜入りの加工食品を口にしてしまったなら、病院を受診しましょう。
この話は、厚生労働省のホームページにも、しっかりと記載されていることです。
ボツリヌス菌は熱に強いので、通常の加熱や調理ではしにません。
1歳未満の赤ちゃんにハチミツやハチミツ入りの飲料・お菓子などの食品を与えないようにしましょう。
一般的に、ハチミツは包装前に加熱処理を行わないため、ボツリヌス菌が混入していることがあります。
また、ボツリヌス菌(芽胞)の耐熱性は120℃,4分とされており、通常の加熱や調理ではしにません。
(出典:厚生労働省『ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。』)
しかし、ネット上では
「少量なら大丈夫」
「市販のものならきちんと殺菌してあるから問題ない」
なんて書かれています。
はたして、自分の子供に対して、同じ事が言えるでしょうか?
乳児ボツリヌス症を引き起こさないためにも、一般人の意見を聞き入れるのではなく、
医療機関に問い合わせるか、受診をして安全を確認してください。
これって乳児ボツリヌス症?症状をチェックして安全確認を!
では次に、乳児ボツリヌス症が発症すると、どのような症状が表れるのかをお伝えします。
もし、蜂蜜を摂取した疑いがあり、下記の症状が見られるのなら、一刻も早く病院で受診してください。
- 便秘(3日以上)
- 全身の筋力低下
- 脱力状態
- 哺乳力の低下
- 泣き声が小さくなる
- よだれの量が増える
- 首がすわりにくくなる
- 無表情
- 呼吸がゆっくりになる
悪化すると呼吸困難に陥り、落命のおそれもあります。
早期発見が肝心です。
上記のうち、最も乳児ボツリヌス症の発症に気付きやすいのが『便秘』の症状です。
赤ちゃんの1日の排便回数は、
- 0~1歳で10回程
- 2~6歳で1~4回程
- 7~12歳で1~2回程
が一般的です。
もし
「1日の排便回数が明らかに少ない」
「2~3日前から便が出ていない」
などの症状があるなら、小児科を受診してください。
乳児ボツリヌス症の
潜伏期間は3~30日
と長期に渡ります。
そのため、蜂蜜を摂取した日から時間が経過してしまうと、赤ちゃんに異常が起きている原因に気付きにくいです。
乳児ボツリヌス症は、便秘から発覚するケースが多い
ですから、赤ちゃんの排便回数は必ずチェックしておきましょう。
赤ちゃんが蜂蜜や蜂蜜入り加工品を食べてしまった時の対処法
「ちょっとこぼれていた蜂蜜をなめてしまった!
「原材料名をきちんと確認せずに与えてしまった!」
食べてしまった蜂蜜が少量の場合なら、救急で病院に駆け込む必要はありません。
まずは、先に紹介した乳児ボツリヌス症の症状が現れないか、落ち着いて様子を見ましょう。
そして、症状が現れた場合には、すぐに病院で受診してください。
蜂蜜を食べたからと言って、必ずしも乳児ボツリヌス症を発症するとは限りません。
無理に吐かせようとせず、口回りや手についた蜂蜜を拭ってください。
水やミルクを飲ませることで、体外への排出を促すのも効果的です。
ただし、
生後6ヶ月未満の場合は、すぐに病院を受診
することが賢明です。
病院を受診する際は、
- いつ頃蜂蜜を食べてしまったのか
- 食べてしまった蜂蜜の量
などを説明できるように、メモをしておくとスムーズに話ができますよ。
赤ちゃんが蜂蜜を摂取していいのは何歳から?
乳児ボツリヌス症を発症するのは、
新生児~6カ月までの赤ちゃん
が多いです。
1歳に満たない赤ちゃんは、乳児ボツリヌス症にかかるリスクを持っています。
上記でもお伝えしましたが、赤ちゃんは腸内細菌の環境が整っておらず、腸内に入り込んだボツリヌス菌の芽胞に勝てません。
ですが、1歳を過ぎると腸内細菌の環境が整って、ボツリヌス菌に対する抵抗力も付いてきます。
よって、1歳を過ぎた赤ちゃんは大人同様に蜂蜜を食べても大丈夫ですよ。
もちろん蜂蜜が含まれる加工食品もOKです。
その際には、
- 少量から与えてみる
- 体調に変化がなければ、少しずつ量を増やしてみる
- 体調が悪い時には、与えない
など、1歳になったからといって、急にたくさんの蜂蜜を与えるのではなく、子供の成長と合わせながら与えてみてくださいね。
もし心配なら、小児科の主治医に相談してみるといいでしょう。
蜂蜜は栄養価の高い食品です。
1歳を過ぎた赤ちゃんが、蜂蜜好きになってくれることは、とても良いことですよ。
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まとめ
今回は、赤ちゃんに蜂蜜入りの加工食品をあげても大丈夫なのか、乳児ボツリヌス症についてお伝えしました。
ボツリヌス菌は非常に強力な細菌です。
赤ちゃんが、この菌に蝕まれると命に関わる危険性があります。
ボツリヌス菌は、加熱や加工では死滅しない菌で。
蜂蜜や蜂蜜入りの加工食品は
1歳を過ぎてから
与えるようにしましょう。
万が一、赤ちゃんが蜂蜜を食べてしまった場合は、乳児ボツリヌス症の症状がないか、
とくに初期症状として表れやすい『便秘』
など、経過を観察しましょう。
普段とは違う様子があれば、すぐに病院を受診してください。
また、乳児ボツリヌス症を引き起こすのは、蜂蜜だけではありません。
- 黒糖
- コーンシロップ
- 自家製の野菜ジュース
- 井戸水
などにも、ボツリヌス菌が含まれている可能性があります。
大切な子供を守るためにも、乳児ボツリヌス症をきちんと理解しておきましょう。