TBSバラエティ番組『プレバト』の俳句査定ランキングで、出演者の俳句の査定をする俳人・エッセイストの夏井いつき先生。
梅沢富美男さんであろうが、東国原英夫さんであろうが、相手が誰でもバッサリ斬ってしまう毒舌ぶりが特徴です。
俳句を愛しているからこそ、時に厳しく、時に優しく、俳句と真摯に向き合あっている姿に感銘を受けます。
そんな夏井いつき先生ですが、その毒舌による評価が偉そうに見えることもあって、実際のところ、どのくらいの実力の持ち主なのか?
偉そうな口ぶりなだけの実力があるのか?と疑問を抱く声もあがっています。
そこで、この記事では、夏井いつき先生の俳句の実力を探りながら、代表的な作品を紹介していきます。
俳人・夏井いつきの実力とは?
五・七・五のリズムを取り、たった17音に全てをぶつけ、心情や光景を歌う俳句。
そんな俳句の世界の普及に尽力し、TBS『プレバト』などで、俳句査定を担当しているのが、俳人・エッセイストの夏井いつき先生です。
冒頭でお話したように、時に俳句の鬼として、生徒や査定を受ける芸能人をバッサリ斬ってしまう姿に、俳人としての凄みを感じさせられます。
何かあるたびに怒り倒してしまう梅沢富美男さんさえも一蹴し、完全に黙らせるんですから、その度胸は凄いですよね。
それだけ俳句に対しては、絶大な自信があり、査定を務める以上、絶対的な責任を持ってあたる仕事をしているのでしょう。
そんな夏井いつき先生に対して、
「偉そうな口ぶりだけど、この人は俳句の実力がどれほどなの?」
と疑問を抱く人もいます。
やはり、指導は見ていても、実際に実力が分かっていないからこそ、批判したくなってしまうんでしょう。
そこで、改めて、夏井いつき先生の実力がいかほどなのか調べてみることにしました。
俳人・夏井いつきの実力とは?
夏井いつき先生は、
もともと国語教師で、俳句に関しては独学
で学んでいるそうです。
夏井いつき先生の実力を見てみると、過去に何度か賞を受賞していることが判明しています。
1994年に、
俳句会の新人賞に当たる『第8回俳壇賞受賞』を受賞
すると、その後は、
- 2000年に第5回中新田俳句大賞受賞
- 2005年にNHK四国ふれあい文化賞受賞
- 2018年に個人部門で第44回放送文化基金賞
を受賞しました。
これだけ耳にすると、いくつかの俳句の賞を受賞し、実力があると思いがちですが、問題なのはその賞の重要度ですよね。
どこにでもあるような、ありふれた賞を受賞しているだけなら、それだけで実力が図れるとは思えません。
そこで、受賞した賞の重要度を調べてみたのですが、格式そのものは、そんなに高いものではなさそうです。
新田俳句大賞(のちに名称が『加美俳句大賞』に変更)は、2006年度に廃止されています。
現代俳句を通じて未来に通じる新しい精神が生まれてほしい
という想いで設立された賞らしく、現在はない賞という時点で重要度は低そう…。
一方、残り2つの賞は、俳句の実力に影響するものかと言われると、微妙なところです。
放送文化基金賞は俳句の賞ではありません。
放送文化、放送技術の分野で成果をあげた個人・グループに贈られる賞
なので、俳句としての実力には、あまり影響のしない賞です。
NHK四国ふれあい文化賞も、
四国で年間を通して社会、生活、産業、地域文化の分野で貢献した人や団体を対象に毎年選定している賞
であるため、こちらも俳句の実力が計れるものとは言えません。
ちなみに、俳句の世界で格式・権威のある賞と言われているのは、
- 日本伝統俳句協会賞
- 現代俳句大賞
- 俳人協会賞
この3つです。
まぁ、これらの賞が、文学賞で言うところの芥川賞や直木賞に匹敵するのか分かりませんが、少なくとも俳句の世界では権威ある賞です。
そして、それらの賞を受賞していない夏井いつき先生は、自身の俳句の実力を純粋に査定した際に、全体的に見て極端に高いとは言えないでしょう。
結論としては、
夏井いつき先生は、実力自体はあるものの、俳句のスペシャリストと呼ばれる、最上位層ではない
といったところなのかもしれませんね。
とはいえ、自ら『いつき組』と呼ばれる俳句集団をつくり、小中高生を対象にした『句会ライブ』を開催したり、帝塚山学院大学リベラル・アーツ学部の客員教授として俳句の講義をしていることから、
素晴らしい俳人の1人である
ことは間違いないです。
夏井いつき先生の代表的な俳句作品
夏井いつき先生が、芸能人たちの俳句を添削している姿をよく目にしますが、夏井いつき先生の作品を見たことがない人は多いはずです。
そこで夏井いつき先生の代表的な俳句を探り、いくつかピックアップしてみることにしました。
俳人・夏井いつきの代表作が、こちらの6作品と言われています。
- 仏法僧廊下の濡れている理由
- 遺失物係の窓のヒヤシンス
- 惜春のサンドバッグに預ける背
- さっきまで音であたり霞かな
- 仏壇のまへで昼寝をしてゐたる
- 先生と大きな月を待つてゐる
ラストの『さっきまで音であたり霞かな』という俳句は、なんとなく情景が浮かんできますし、この4つの中では、最も俳句らしい印象を受けます。
その他の俳句に関しては、ポエムやミステリーといった他のジャンルさえ印象づける独特の世界観を持っていますよね。
とくに筆者が気になったのは、
仏法僧廊下の濡れている理由
という俳句です。
普通、俳句というと、イメージとして、
『かな』
『けり』
『◯◯や』
などのワードで情景を切って締めくくるケースが多いような印象です。
ところが、この句は理由という言葉で最後を締めくくっているんです。
それも、廊下の濡れている理由という描き方で終わらせている…。
その理由の鍵を握っているのが、なぜか仏法僧という鳥であるということ…。
さらに言うと、この仏法僧をカタカナ表記ではなく漢字表記したところも、小憎い演出という風に感じられるのです。
単純に、鳥ではなく仏・法・層に重んじた僧侶なのかもしれない…。
そして、その僧侶が、廊下で何かしらの液体をこぼしたのか、はたまた廊下掃除で雑巾がけをして濡らしているのか…。
そんな情景を想い浮かべることもできますよね。
一方、『ブッポウソウ』という鳥が、飛んできて、たまたま置いてあったグラスを倒し、水か何かをこぼしたという話なのかもしれません。
このブッポウソウを漢字表記しただけで、2通りのストーリーが描かれていく事が想像できます。
しかもその理由が何なのか明かさずに締めくくっている…。
そこにミステリーを感じさせられるので、ミステリー好きな筆者にとっては、すごく興味がそそられるのです。
このように、夏井いつき先生の俳句には、独特の映像・世界観が映し出されていることが、改めて分かりました。
夏井いつき先生の評判は賛否両論!
最後に夏井いつき先生の評判についても語っていきましょう。
やはり俳句の辛口査定をしているだけあって、夏井いつき先生に対する評判は賛否両論となっています。
あの辛口査定が、ただの誹謗中傷と受け取る人もいれば、あえて辛口査定を望む人もいます。
では、なぜあれだけの辛口査定を、多くの人たちが受けたがるのか…。
その理由は、
辛口や毒舌の中にも愛がある
ということ以外にありえません。
毒舌・辛口というのは、単純に、相手を選ばず、また自身にブレも許さず、一貫した意見を言うことで初めて成立するものです。
それ以外で毒舌・辛口と言われている言葉は、所詮ただの誹謗中傷以外の何物でもありません。
夏井いつき先生の場合は、前者にあたります。
相手がどんな大御所であっても、俳句査定においては辛口審査します。
ただし、それはある程度、俳句をしている人に対しての査定であり、全く初めて俳句を触れる人にいきなり、そんな査定はしていません。
厳しく査定はしていますが、しっかりアドバイスし、また、少しでも良い所があれば、ちゃんと褒めてくれています。
そのため、認めてもらいたいという心情で、辛口査定を受けたい人が増えているのです。
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まとめ
プレバトの俳句査定で、おなじみの毒舌オバちゃんこと、俳人・夏井いつき先生の実力は、
大きな賞を受賞しているわけではないが、子供たちに俳句を教えたりしていることから、実力は間違いなくある
と言えるでしょう。
夏井いつき先生の俳句の世界観は独特です。
全く俳句に興味を持たない筆者でさえ、その世界観に引きずり込んでいく俳句を生み出していくのはすごいですよね。
夏井いつき先生の評判は、毒舌・辛口査定が目立っているので、評判は賛否真っ二つに分かれています。
ただ愛を持って俳句の裾野を広げる姿には、感銘を受け、多くのファンに慕われています。
今後も、多くのファンから支持され続ける活躍をメディアを通じて見せ続けてほしいものですね。