プロ野球のペナントレースのシーズンが進むにつれ、
○○、自力V消滅
自力CS消滅
というニュースが流れますよね。
このプロ野球で、よく耳にする『自力優勝』。
その本当の意味を、意外と知らない人が多いです。
自力優勝とは、一体どういう意味で、どう計算しているのか?
この記事では、プロ野球の自力優勝について、その意味や史上最速での消滅記録などを解説していきます。
プロ野球の自力優勝とは?
自力優勝とは、難しそうな言葉に聞こえて、意味は実に簡単なんですよ。
自力優勝の意味とは、
あるチームが自分の結果だけで優勝ができる
ということです。
文字通り、自分の力だけで優勝ができる…というわけです。
もう少し詳しく説明すると、
他チームの勝敗に関わらず、そのチームが優勝することができる
のが自力優勝です。
この場合、自力優勝の可能性があるというのは、
そのチームが残りの試合を全勝した場合、他チームがどんな成績であろうと確実に優勝ができる
という解釈になるわけです。
(そんなことがありえるかは別として…。)
逆に、自力優勝消滅というケースは、
そのチームが残りの試合を仮に全勝したとしても、1位チームが直接対決以外で負けないと、勝率が上回ることができない
ということになります。
たとえば、AチームがBチームとの直接対決に勝ち、残り試合を全勝しても、BチームがCやDといったチームに負けない限り勝率で上回れなくなる…。
他チームが負け続けてくれる状況にならないと、優勝することができないので、
自分の力だけではどうにもならない=自力優勝消滅
なのです。
ちなみに、
2位以下のチーム全てに自力優勝の可能性が消滅すると、首位にマジックナンバー
が点灯します。
マジックナンバーの点灯は、あくまでも自力優勝の可能性が、首位以外になくなった時のことを指すため、
首位が負け続けて2位が勝ち続けることで、2位の自力優勝が復活する
こともあり、この時はマジックナンバーが消滅します。
また、1位と2位の直接対決が残っていなくても、残り試合に大きく偏りがある場合は、マジックナンバーが消滅することもあるので、結構厄介です。
さらに、マジックナンバーが点灯しないで優勝するケースも存在します。
たとえば、優勝の可能性が残っているチーム同士の直接対決しか残っていない場合。
この時は、自チーム以外のチームの自力優勝の可能性がない、という条件を満たさないため、マジックが点灯しないのです。
2014年のパ・リーグは、ソフトバンクが最終戦でオリックスを下して優勝しましたが、この時、マジックが点灯していない状態で最終戦を迎えたのです。
プロ野球の自力優勝の計算方法
プロ野球の自力優勝の計算方法はあるのでしょうか?
計算方法というほどのものはありませんが、基本的には、
直接対決以外、比較チームはどちらも全勝すること
が前提になっています。
ただ、基本的に自力優勝の計算などしても、あまり意味はありません。
自力優勝の計算は、今言った通り、そのチームが対象にする相手(大体は1位のチーム)が負けるケースは直接対決のみでしか想定されていないため、
BチームがCチームに負けることによって、Aチームの自力優勝が復活する可能性がある
というイレギュラーな事態…というか、当たり前のことが発生するからです。
また、そのチームの勝敗、比較対象の勝敗、直接対決の残り試合数などでガラッと変わってしまいます。
それよりも、
ゲーム差:両チームの貯金の差÷2
という計算を覚えていた方が、よほど役に立ちます。
歴代最速の自力優勝消滅チームはどこ?
2018年のペナントレースでは、珍記録が達成されましたね。
2018年5月6日に、楽天の自力優勝が消滅しました。
わずか31試合で自力優勝消滅、これは歴代2位の記録を更新してしまうこととなり、非常に悲しい出来事となりました…。
では、歴代1位の自力優勝消滅は、どのチームなのでしょうか?
2018年の楽天が歴代2位と聞けば、もしかして1位も楽天か?と思うかもしれませんね。
しかし、それは違います。
これに疑問を覚えた人のために、後ほど解説しますね。
プロ野球における、自力優勝消滅の史上最速記録は…
1955年の大映スターズの27試合目
でした。
一応、最終的に大映は最下位は免れたのですが、4月の時点で自力優勝が消滅するなんて、考えたくもない悪夢ですよね。
戦前の巨人を7度の優勝に導いた名将・藤本定義さんの力を持ってしても全く振るわなかった、この頃の大映は本当に残念な時代でした。
(この年の最下位はトンボユニオンズ)
あまりにも古い時代の話、しかも人気がセ・リーグに比べて全くなかったパ・リーグですから、大映スターズの記録は相当マニアックな人しか知らない気がします。
ちなみに、楽天の自力優勝消滅の記録ですが、
「2005年の楽天初年度の方が2018年より自力優勝消滅が早いのに、なぜ自力優勝消滅ランキング2位に入ってないの?」
という疑問を抱いた人もいるかもしれません。
確かに、創設初年度となった2005年の楽天は
29試合目にして自力1位の可能性が消滅
していますよね。
しかし、あくまでも2005年の楽天は、29試合目に”自力1位”が消滅しただけ。
実は、自力優勝消滅ではないんです。
なぜ2005年の楽天が自力優勝消滅の2位ではないのか?
ここから、制度の話が絡むので、少しややこしくなります。
2005年の楽天の自力1位消滅が自力優勝消滅とならないのには…
2004年~2006年まで開催していたプレーオフ制度の存在
が関わってきます。
パ・リーグは、過去何度かプレーオフ制度を採用していました。
そのうち、2004年~2006年に採用していたプレーオフ制度のルールとして、
プレーオフの勝利チームがパ・リーグ優勝チーム
と決まっていたのです。
そしてプレーオフに進出できるチームは、3位までのいわゆるAクラスチーム。
つまり、2004年~2006年の間における自力優勝消滅とは、
自力3位消滅
のことなんです。
そのため、2005年の楽天は、自力1位が29試合目で消滅しても、優勝するためには3位までに入ればよかったため、まだ自力優勝の可能性が残っていたんですね。
上記のような事情があって、歴代の自力優勝消滅速度のランキングは、
- 1位:1955年の大映スターズ(27試合)
- 2位:2018年の東北楽天ゴールデンイーグルス(31試合)
となるのです。
今のルールに置き換えれば、確かに2位の楽天が自身の記録を更新するわけですが、当時は違うルールだったので、当時のルールで考えなければならない…
ある意味で、からくりですよね。
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まとめ
自力優勝は、
相手チームの勝敗に関わらず、そのチームが勝ち続けると優勝する
という計算方法を用いています。
そのため、基本的に比較チームは直接対決以外を全勝する前提で話しているので、上位の勝敗などで復活したり自力優勝が消滅したりする、ややこしい言葉なんですね。
また、首位以外のチームに自力優勝の可能性がなくなった時、基本的には首位チームにマジックが点灯します。
自力優勝消滅の史上最速記録は、1955年の大映でした。
この年は、4月に自力優勝が消滅しているので、ファンとしてはたまったものではなかったでしょうね…。