陶器などの器に入ったひびや欠け・割れなどを修理する際に、よく用いられている日本の伝統技術の一つである金継ぎ。
伝統的な修理法だけあって、熟練の技術がなければ金継ぎで修理することができないかと思われがちです。
でも、実はそんなことはありません。
近年では、素人でも簡単に金継ぎによる修理ができるように、キット・セットも発売されているんです。
このようなキット・セットを使えば、簡単に陶器のひび割れや欠けなどを美しく修理できるのでおすすめ。
そこで本記事では、この金継ぎのキット・セットや、金継ぎのやり方を紹介していきます。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
金継ぎのキット・セットって何?
金継ぎは、物を大切にする日本の生んだ伝統的な修復技術の一つです。
なので、素人には安易に手を付けることはできず、職人の技術力がなければ、金継ぎは難しいと誰もが思うのではないでしょうか。
ところが近年では、手軽に金継ぎが行えるキット・セットが販売されています。
それどころか、ワークショップなどでも楽しく教えてもらいながら、金継ぎのスキルを身につけるもできます。
では、その金継ぎキット・セットって、どんなものが入っているのでしょうか。
金継ぎのキット・セットの主な内容
金継ぎのキット・セットは、各商品ごとに梱包されているアイテムが異なるかと思いますが、主なものとして梱包されているアイテムは、
- 漆
- 木の粉
- 細かい土
- 小麦粉
- 金属粉
- ヘラ
- 小筆
- ゴム手袋
- 作業板
- マニュアル
などが、主なところではないでしょうか。
まぁこれだけが、ワンセットとして梱包されているのであれば、素人でも気軽に金継ぎを行うことができると思います。
金継ぎって、どうやったらできるのか…
と不安な人は、ぜひ金継ぎのキット・セットを購入して、挑戦してみてください。
より簡単に金継ぎを行うためのものなので、とくに初心者は一度試してみましょう。
金継ぎの簡単なやり方
金継ぎって、難しいと思う人もいるかもしれませんが、実際は誰でも簡単にできます。
金継ぎキット・セットの中には、詳しいやり方を説明したマニュアル梱包されていて、より簡単にできるようにしているものもあります。
ただ、中にはマニュアルが梱包されていないもの、また梱包されていても分かりづらいものもあるかもしれません。
そこで、ここからは、あくまで簡単な金継ぎのやり方を、ざっくりではありますが紹介していきたいと思います。
金継ぎのやり方1 接着剤(パテ)の制作
まず最初にすべきことは、割れた破片や、欠けた部分・ヒビが入ったところへの補填をするために必要となる接着剤の制作です。
基本的に漆だけでは破片をくっつける接着力が乏しいため、
小麦粉と水・木粉などを合わせて、ガムほどの粘着力
をもたせるまで練り込みます。
目安としてはスプーン擦り切れ一杯で練り合わせればOK。
これで、接着剤というパテが出来上がります。
金継ぎのやり方2 破片の接着・ひび割れ部分の補填
次に行うのは、割れたかけらの接着及び、欠けた部分・ひび割れ部分の補填です。
先程、作った接着剤(パテ)を破損箇所に塗り込み、修復していきます。
- 欠けた部分なら、元の形になるようにパテを埋め込みます。
- ひび割れなら、ひびが見えなくなるようにパテを埋め込みます。
- 割れた部分になら、それぞれの破損部分に軽く接着剤を塗り、くっつけます。
ざっくりと解説しましたが、これだけで修復されていきます。
後は乾かすだけで、ひとまず完成です。
金継ぎのやり方3 凸凹部分を整え形成を元に戻す
ここまでは、単純に修復させるだけの工程で、金継ぎへのステップはここからが本番です。
接着剤を塗り込むと、どうしても凸凹部分が出てきます。
乾燥して固化したら、ヤスリで削り、平坦にしましょう。
この作業をいい加減にしてしまうと、せっかく修復しても、いびつな形になりかねません。
後で、金粉・銀粉をまぶし装飾するので、漆の部分が多少削れて、不格好になっても大丈夫です。
あくまで形をもとに戻すよう、やすりで削りながら、凸凹をなくすことを心がけましょう。
金継ぎのやり方4 金粉・銀粉をまぶすための下準備
いよいよ、金粉・銀粉をまぶしていくわけです。
ただその前に、下準備として、発色を良くするために、
弁柄漆
を破損箇所に沿って塗っていきます。
弁柄漆というのは、赤色の漆で金・銀を発色よくするためにも、よく用いられます。
残念ながら、金継ぎのキット・セットに必ず入っているかどうかは分かりません。
(商品によって梱包されている物が異なるため)
なので、もし弁柄漆がない場合は、別途購入しておいても良いと思います。
だいたい2000円(安いところでは1000円以内)で購入可能です。
より美しく修理したいのであれば、ぜひ購入をおすすめします。
ただし、あくまで見栄えを良くするための下地用として必要とする漆です。
金継ぎの際に、絶対なくてはいけないものではありません。
そこまで美しさにこだわりがなく、別途コストをかけたくない人は、この工程はスルーしておいても良いかもしれませんね。
金継ぎのやり方5 金粉・銀粉撒き&総仕上げ
いよいよ、金継ぎのメインとなる、金粉・銀粉撒きの部分に入ります。
基本的には金継ぎなので、金を中心に、下地(弁柄漆)を塗った破損箇所に金粉をまぶしていきます。
先程もお話しましたが、赤に金が映えるために、下地塗りが重要とされているわけです。
もし不要として、下地塗りをスルーした場合は、軽く金粉を接着させるために、接着剤を薄く広げ、金粉が付着するようにしておいてください。
続いて、銀粉を撒いていくわけですが、銀粉はあくまで金粉を映えさせるために、軽く撒く程度でOKです。
そのあたりは、センスによるものなので、自由に撒いて装飾してみてください。
以上が、金継ぎのやり方の、大きな5つのステップ(工程)となっています。
金継ぎは誰でも簡単にできる!日本の生んだ修復技術
いずれにしても、多少のセンスは必要としても、
熟練の技術がなければできないものではないこと
が分かっていただけたことと思います。
ぜひ、グラスや陶器の器など、割れたものがあれば、金継ぎで美しく修復させ、大事に使ってみてはいかがでしょうか。
金継ぎのキット・セットの金額・注意点は?
最後に、金継ぎのキット・セットの目安となる価格や、金継ぎをする際の注意事項をお話しておきますね。
商品によってまさにピンきりです。
安いものなら6000~8000円ちょっと。
高いものは1万5000円前後が一つの相場と言っていいでしょう。
もちろん、セット内容も安いもの・高いものと、それぞれ異なります。
単純に詳しい解説書がついているかいないかの違いもあれば、先程紹介した弁柄漆などが梱包されているいないの違いなど、まさに千差万別です。
納得できるキット・セットを探してみてください。
漆のかぶれ防止に必ずゴム手袋を!
あと、一つ注意事項なのですが、金継ぎは漆を使います。
なので、当然かぶれてしまう恐れも出てきます。
くれぐれも作業をする際にはゴム手袋を付けて行うように心がけましょう。
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おわりに
日本の伝統・文化が生んだ、美しく器を修復させる修理技術の一つ『金継ぎ』。
今回は、そのやり方や、簡単に行えるキット・セットを中心に紹介しました。
本記事を読んでもらえればわかるように、とにかく素人でも簡単に金継ぎができます。
一度壊れてしまったものが、金継ぎで修理することで、また蘇り愛着を持って大事に使えることはうれしいことです。
ぜひ、この機会に金継ぎでひび割れたり欠けてしまったりした器を修復してみてください。
きっと、いままで以上に愛着を持って、その器で色んな楽しみ方が堪能できると思いますよ。
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