野球の乱闘が現在はない理由と昔起きた最悪の乱闘をチェック

昔は、よく…というほどではありませんか、年に何回か見られたプロ野球の乱闘。

選手同士で殴り合ったり、監督やコーチとやり合ったりと、めちゃくちゃで世紀末を感じさせるようなピリピリした雰囲気がありましたね。

しかし、最近のプロ野球だと、こうした乱闘を全然見かけなくなったと思いませんか?

乱闘がなくなったのを、

馴れ合いが進んだからだ

という老害OBもいますが、本来なら乱闘などない方が良いのです。

では、なぜ現在のプロ野球では乱闘が全く見なくなったのでしょうか?

今回は、プロ野球の乱闘について、過去の乱闘や現在乱闘が少なくなった理由を探っていきます。

最近減ってきたプロ野球の乱闘

プロ野球の乱闘は、昔は

『プロ野球の華』

などと呼ばれ、なぜか美談として語られることが多い気がします。

真剣勝負の証だからとか、負けられない戦いだからとか、どうこういう人がいますが…。

普通に考えて、乱闘は怪我の危険だってありますし、下手したらそのまま選手生命が終わってしまうことだってありえるわけです。

極力無駄な怪我を避けること…。

それこそプロ意識というものではないでしょうか?

プロならば、無駄な怪我は避けてプレーに専念できる環境を作るのは当然のことです。

乱闘などというプレー外のくだらないことで怪我をしてシーズンを棒に振っている場合ではないと思います。

乱闘が真剣勝負の証といいますが、一球一打の真剣勝負だからこそ、乱闘などという要素はそれこそ”無駄”でしょう。

そもそもやっていることは暴行です。

それを

「現在、乱闘がないのは馴れ合いしてるせいだ」

とか言っている老害OBが結構いますが…。

そういう老害OBたちは、自分は乱闘なら平気で人に暴行しますよと言ってるようなものです。

そんなスポーツマンシップに欠けた野蛮人とは関わりたいと思いませんね。

とはいえ、さすがに何度も頭に近いところに投げられて激怒するのは、気持ちとして、わからなくもないですけどね。

身の危険なわけですし。

「危ないだろうがこの野郎!」

と詰め寄りたくなるのも当然です。

ただ、乱闘がプロ野球の華だとか言ってしまう人は、正直ちょっと人間性を疑います。

殴り合いが華だとは…野蛮人の考え方です。

さて、最近プロ野球の乱闘はかなり回数が減り、今ではなくなったと言っていいくらい、見かけませんよね。

直近だと、2017年4月に起きたバレンティン選手と矢野コーチ、金本監督の乱闘でしょうか。

これでバレンティン選手と矢野コーチが退場になりましたが、実はこの乱闘…。

金本監督が矢野コーチを突き倒す

バレンティン選手にやられたと思った矢野コーチがバレンティン選手に突撃

襲ってきた矢野コーチをバレンティン選手が迎え撃つ

という形になっていたのです。

金本監督は矢野コーチを自らの手で犠牲にしてバレンティン選手を退場させた

というのが乱闘の全貌なんですよね。

このように、最近の乱闘というと、基本的には助っ人外国人が絡むケースが多く、日本人同士での乱闘はほぼ見なくなりました。

一体なぜ、プロ野球の乱闘はなくなったのでしょう?

プロ野球の乱闘がなくなった理由は?

プロ野球の乱闘がなくなった理由を考察してみると、いくつか思い当たりますが、その全てに

プロ野球界全体の意識の変化

が入っているように思えました。

まぁ意識の変化というよりは、本当の意味でのプロ…スポーツマンシップに則った選手が増えたと言ってもいいかもしれません。

選手自体の意識にしても、球団側が規則やルールを厳守させていることも、プロ野球のルール変更も、その全てに意識変化が起きているからだと思います。

それでは、1つずつ、プロ野球の乱闘がなくなった理由をチェックしていきます。

プロ野球の乱闘がなくなった理由1 そもそも乱闘の原因が減った

まず第一に、乱闘がなくなった理由の1つとして、

乱闘の原因そのものが減っている

というところが挙げられます。

その典型的な例が、

デッドボールの減少

です。

通算与死球数が100を超えている選手で、2000年代まで活躍したのは、元ヤクルトの石井一久さんのみ。

さらに、上位40投手の中では、現役選手は涌井秀章投手と中田賢一投手しかいません。

昔に比べると、明らかに与死球が減っているため、これもまた乱闘減少の理由の1つだと思います。

さらには、

ラフプレーもルールによって減少傾向にある

これも乱闘がなくなった理由になるでしょう。

昔は、ラフプレーに対する報復デッドボールからの乱闘ということが、結構ありました。

しかし、最近では日本のみならず、アメリカでもラフプレーを減らす取り組みが行われていますよね。

たとえばコリジョンルール。

これは本塁での危険なクロスプレーを減らす目的で適用され、さらに、

2018年からは、ダブルプレー崩しの危険なスライディングもペナルティが課せられるようになった

この結果、ラフプレーの報復も減り、間接的に乱闘もなくなります。

また、暴力行為に対するペナルティも厳しくなっています。

そもそもそういう行為をする選手がいること自体、球団のイメージ低下につながるので、球団側が厳しく取り締まります。

暴力なんてもってのほかです。

そういうイメージがプロ野球界に浸透し、乱闘を見なくなったのでしょう。

これは非常に良いことだと思いますね。

プロ野球の乱闘がなくなった理由2 他球団間での交友が広がった

現在のプロ野球選手は、球団の枠を超えて仲のいい選手たちが多いことも、乱闘がなくなった理由でしょうね。

よく、他球団の選手と合同自主トレをおこなったり、ご飯を食べに行くようなこともあるみたいです。

筆者は中日ファンなので、昔の星野監督時代の、

「巨人の選手とは絶対関わるな」

という接触禁止令を思い出します。

そんな風なことが昔は結構あったみたいですが、今は違います。

チームの垣根を超え、互いを高め合ったり、学生時代からの交友を続けるという傾向にありますね。

他球団の選手同士の交友関係によって乱闘にならなかった例が、2017年の阪神VS広島戦ではないでしょうか。

先発の藤浪投手が頭部への危険球を大瀬良投手に当ててしまうものの、大瀬良投手は怒らずに

「大丈夫」

と言い、藤浪投手のことも察した神対応が話題になりましたよね。

また、昔と違って、今はWBCもあるので、それぞれの球団の選手が日本代表として戦います。

同じチームメイトに乱闘相手がいようものなら、チームの輪を乱すだけです。

そういう意味でも選手たちの絆が深い方がいいでしょう。

プロ野球の乱闘がなくなった理由3 外国人のスカウト基準

近年の乱闘は、大体助っ人外国人が起こしていましたが、ここ数年でそれもかなり減ってきましたよね。

なぜかというと、

外国人選手のスカウト基準に、素行も入るようになった

からです。

たとえば、中日だとクラークという選手がいて、来日した年に25本のホームランを打ってかなり活躍したのですが、たった1年で退団になりました。

(まぁかなり活躍とはいうものの打点・打率が少なかったので、ニーズに合わなかったのかもしれません…)

退団後は他球団がどこも取らなかったことからも、他に理由があると思います。

そして、その理由となるクラーク選手の退団には、素行の悪さも影響していたという話もあります。

近年では、野球の成績に加え、外国人選手のスカウト基準に

  • 日本の野球・生活に順応できるか
  • 真面目かどうかといった素行・性格面

これらも重視されるようになりました。

そのため、バッターボックスで身体に近いところにボールが飛んできただけでブチギレる…というような選手はやってこなくなったわけです。

これも、乱闘がなくなった理由の1つと言っていいでしょう。

昔のプロ野球の記憶に残る乱闘は?

昔のプロ野球では、乱闘はそこそこありましたが、中には記憶に残るような乱闘もありますね。

中でも、乱闘の後、最悪の結果を招いてしまった…というような乱闘もあります。

そこで、昔のプロ野球の乱闘において、その後に最悪な結果を迎えてしまった乱闘をいくつか紹介しようと思います。

昔のプロ野球伝説の乱闘1 バッキー・荒川乱闘事件

今でこそ、メッセンジャーという素晴らしい投手が、阪神の投手史上最強の助っ人と言ってもいいレベル…。

ただ、かつて沢村賞を獲得した、ジーン・バッキーの人気も未だ衰えません。

そんなバッキーの人生を大きく変えてしまったのが、バッキー・荒川乱闘事件です。

この乱闘劇は、あまりにもすさまじい乱闘でした…。

まず、王貞治さんに対し、バッキーが2球連続で危険なコースへ球を投げ、王さんもさすがに怒りをあらわにします。

王さんは言葉を交わしただけで終わったのですが、王さんの師匠である故・荒川博さんがバッキーに向かって飛び蹴り!

そしてバッキーが反撃に荒川博さんを殴打!

すると全員を巻き込んだ大乱闘に発展!

結果的にバッキー・荒川の両者が退場となるのですが…。

まだ終わりません。

その後に登板した権藤正利さんが、王さんへ頭部へのデッドボールを当てて王さんが病院へ運ばれると、またもや球場では大乱闘に…。

この2度の大乱闘の末、長嶋茂雄さんがホームランを打ったことで有名な試合ですね。

その後のバッキーはというと、

右親指付け根を骨折し、乱闘の後1勝もできずに現役引退

となってしまったのです…。

昔のプロ野球伝説の乱闘2 巨人・ガルベスの乱闘事件

巨人の助っ人投手・ガルベスといえば、中日戦での山崎武司さんとの乱闘が印象的です。

その乱闘は1996年のこと。

山崎武司さんの頭をかすめるボールを投げてきたガルベスに対し、山崎武司さんは大激怒!

外国人相手に対して向かっていき、大乱闘に発展したのです。

ちなみにこの時、打順が近いため素振りをしていた金村義明さんは、状況がよくわからず、バットを持ったまま向かってしまったので、罰金処分となったそうです。(笑

ガルベスの暴挙はこれだけに留まりません。

2年後の98年には、審判失格と言われるレベルで誤審の多い、橘高淳球審の判定にイラついていました。

そして交代を告げられた際、怒りが限界に達したガルベスは、ボールを橘高球審の元へ投げつけたのです。

これによってガルベスは退場、その後の出場試合停止処分を受け、長嶋茂雄監督(当時)が頭を丸めるという事態にまで発展しました。

プロ野球伝説の乱闘3 横浜スタジアム審判集団暴行事件

最後に、乱闘と言っては忘れてはならない事件があります。

それがいわゆる

『横浜事件』

『暴虎事件』

と言われる、1982年8月31日に起きた阪神・横浜戦です。

この乱闘は、社会問題に発展し、プロ野球では乱闘が許される暴力への甘さから、日本社会の広い範囲から注目を集めた事件となりました。

まず、事の発端は阪神の先頭打者である藤田平さんが三塁前に飛球を打ち上げたことから。

捕球態勢に入った当時の大洋ホエールズのサード・石橋貢さんは、風の影響もあってボールを取れず、後方のフェアゾーンに打球が落ちます。

そしてバウンドした打球は本塁~三塁間のファウルラインを越え、ファウルゾーンに転がり出たのです。

この打球を、鷲谷亘三塁塁審はファウルボールと判定。

これに対し、河野旭輝コーチと島野育夫コーチが不服として抗議、ベンチからは柴田猛コーチ、さらには選手の大半が鷲谷塁審を囲むという事態に。

その後、柴田・島野両コーチは、鷲谷塁審に対し殴る蹴るの暴行をし、さらには止めに入った岡田球審にも暴行。

退場宣告をされた後も暴行を続けたのです。

これはさすがに社会問題となり、神奈川県警加賀町警察署が傷害事件として捜査を開始し、コーチが試合のことで事情聴取を受けるという異例の事態に発展。

両コーチは略式起訴され、罰金処分を受けたのです。

夏休み最終日の悲劇とも言えるこの事件…。

この試合は、実は審判の度重なる態度の悪さに阪神ベンチはかなりいらだっていたようで、この暴行騒ぎが起きた時も、阪神ファンはむしろコーチを応援していたとのこと。

選手でも、コーチの暴行を止めに入ったのは後に阪神の監督を務める真弓明信さんだけでした。

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まとめ

プロ野球で乱闘がなくなった理由、そして過去の伝説級の乱闘について振り返りました。

乱闘を見かけなくなった理由を探ってみると、そこには

プロ野球選手のスポーツマンシップに則る意識が高まり、よりプロアスリートらしくなったから

ということが挙げられると思います。

また、イメージの悪化も考慮し、

  • 球団が選手や外国人選手のスカウトに規則を設ける
  • NPBが怪我をしないルール作りに取り組む

といった、選手以外のところでも意識改革が行われたことも、理由の1つと言えるでしょう。

筆者としては、これは大いに賛同でき、今後も乱闘などという、野蛮な行為が根絶されることに期待しています。

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