野球の走塁は走り抜けるよりヘッドスライディングの方が速い理由

一塁までは走り抜けた方が速い…。

野球ファンの中では、かなり広まっている理論だと思います。

しかし実は、ヘッドスライディングの方が、一塁到達のタイムが速いのではないかという研究結果が、立命館大スポーツ健康科学部の発表で明らかになりました。

日本人の身長と腕の長さでは、走り抜けた方が速いとは言われていましたが、まさかヘッドスライディングのほうが速いとは…。

一体、どういう研究結果から導き出された理論なのでしょうか?

当記事では、野球の走塁について、ヘッドスライディングのほうが一塁到達タイムが速い理由について紹介します。

一塁への走塁!ヘッドスライディングと走り抜け

野球ファンであれば、

一塁へのヘッドスライディング

これについては色々な意見を聞いたことがあると思います。

そもそも危ないから反対だという意見は別として、

「ヘッドスライディングより駆け抜けた方が速い!」

「滑りこみ方によってはヘッドスライディングの方が速い!」

と、ヘッドスライディングと走り抜け、どちらが速いのかという議論は、きのこたけのこ戦争のような、終わりの見えない話題となっていますよね。

野球選手OBの間では、ヘッドスライディングをするまでの減速を考慮すると、走り抜けた方が良いという意見が多いみたいですが…。

こうした一塁へのヘッドスライディング議論には賛否両論あり、ヘッドスライディングに反対する人の中には、

「走り抜けた方が速いから、ヘッドスライディングは無意味だ」

と言う人もいます。

筆者は、これはちょっと違うんじゃないかなぁと思ってしまうわけです。

危ないから反対するというのであれば、それは理にかなった話なので頷けるのですが、

「ヘッドスライディングの方が遅いから反対だ」

という論調を見てしまうと、どうも疑問に感じてしまうのです。

筆者としては、一塁へのヘッドスライディング自体には反対ですが、速度に関する話題については、

上手い人なら、ヘッドスライディングの方が速く、下手な人ならそのまま走り抜けた方が速い

という、人によってどちらにも速い場合がありえるのではないか?と思っています。

昔から

走り抜けた方が速い

と言われ、野球選手OBなども、

「走り抜けた方が速いに決まってる」

などと、あたかも走り抜けた方が速いことが当たり前のような論調で話す人がいます。

しかし、近年は色々な研究結果によって、

技術のある人の場合、ヘッドスライディングの方が速いという研究結果もいくつか出ている

のです。

カメラ技術の進歩などから比較しやすくなり、数値として一塁への走塁はヘッドスライディングの方が速い結果も見られるようになりました。

だからこそ、一塁へのヘッドスライディングと走り抜け、どちらが速いのかという議論には、人によりけりだと思うわけです。

ヘッドスライディングの方が走り抜けるより速い?その理由とは

立命館大のスポーツ健康科学部の岡本直輝教授らが発表した内容によると、

技術があれば、ヘッドスライディングの方が速い

という結果を得たそうです。

調査は、高校、大学時代にヘッドスライディングを経験したことがある立命大準硬式野球部の部員15人が対象となりました。

本塁から一塁までを走塁し、トップスピードになる一塁の7メートル手前から、ベースに触れるまでのタイムを光電管装置と240分の1秒まで撮影できるハイスピードカメラで測定しました。

1人3回計測した結果…。

  • ヘッドスライディングの方が速かった選手は12人
  • 駆け抜けた方が速かったのは3人

という結果が生まれたのです。

統計の全体でも、

統計全体でもヘッドスライディングの方が0.04秒ほど早く、距離にして30~40センチの差

となりました。

また、ヘッドスライディングする方が走り抜けるより速い選手ほど、

手を着く場所がベースに近く、踏み切りの足よりも頭が大きく前に出る傾向がある

ということもわかっています。

つまり、ヘッドスライディングの技術がより優れているわけですね。

また、このほかにも、教えて!gooでは、少年野球の指導をしている人のブログ(現在は存在しないページになっている)で、

スライディングの上手い子に限ってならば、単にベースまでの到達時間は確実に速い

という計測結果が出たことも確認されています。

この結果で、

ヘッドスライディング技術がうまければ、走り抜けるよりヘッドスライディングの方が速い

ということが証明されました。

なぜヘッドスライディングの方が速いかと言われたら、『走塁技術の問題が理由』と答えることができるわけです。

一塁へのヘッドスライディングが反対される理由

このように、近年ではヘッドスライディングの方が速いという検証結果もいくつか出てきたため、そういった意見も多くなりました。

そのため、

「駆け抜けた方が早いに決まってる!」

と、あたかもそれが絶対と説明することはできなくなりました。

しかし、今でも一塁へのヘッドスライディングは推奨されず、むしろやめるべきだと言われています。

まぁ野球ファンや野球をよく知っている人であれば、正直、一塁へのヘッドスライディングを否定することは、速さの問題ではないことは、わかっているでしょう。

そうです、

ヘッドスライディングで怪我をする危険性が非常に高いから

です。

元日本ハムの監督だったトレイ・ヒルマンさんの言葉を覚えておいてほしいと思うのです。

ヒルマンさんは、一塁へのヘッドスライディングを、日本ハム監督時代に禁止していました。

その時、ヒルマンさんは、

一塁にヘッドスライディングをしても走り抜けても大した差はないんだ。

それ以上にリスクが大きすぎる。

と語っています。

つまり、ヒルマンさんが言いたいことを解釈するならば、

ヘッドスライディングをすることによる速さを得るよりも、怪我を負うリスクの方が高すぎる

というわけですね。

筆者も、この意見には賛成です。

先述してきた通り、筆者はヘッドスライディングの方が速い場合もあると考えている1人です。

しかし、それ以上に、一塁へのヘッドスライディングによる怪我の危険性は見過ごせません。

打ってから一塁へ行くまでのプレーはタッチプレーではないので、基本的に一塁を守る人はベースを踏みます。

そして、野球選手は刃の付いたスパイクをはいているわけで、一方のバッターランナーは手袋しかつけていません。

(最近は減りましたが、素手の人もいます。)

仮に、ファースト線のあたりになってファーストがキャッチした場合、一塁へヘッドスライディングしたらどうなるでしょうか?

ベースカバーに入ってくるセカンドがベースを踏むにしても、ファーストがそのままベースを踏んで処理するにしても、怪我をする危険性が非常に高いですよね。

さらに言えば、ヘッドスライディングしてうまくベースをタッチできないと、指を突いてしまって骨折もありえるわけです。

とくに、野球で生活している人、野球人を目指したい人ならば、怪我は大敵。

たった1つのプレーで、その後の野球人生を終わらせてしまっては元も子もないですし、一塁へのヘッドスライディングはやめた方が無難だと思いますよ。

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まとめ

一塁へのヘッドスライディングについて、その行為自体が危険という話は一旦置いておくと、

技術さえあれば、走り抜けるよりもヘッドスライディングの方が速い

という研究結果が、続々と出始めています。

しかしそれは、あくまでも技術があった場合の話。

そして単にコンマ数秒の速さの違いです。

コンマ数秒と、大怪我のリスクを考えれば、一塁へのヘッドスライディングはしない方がいいでしょう。

数字に表れる形でヘッドスライディングは走り抜けるより遅いが否定された…。

それは新たな発見ですが、それ以上に危険なので控えるようにしたほうが賢明ですね。

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