プロボクシングには、パウンド・フォー・パウンド(PFP)という評価方式があります。
階級別ではなく、
全階級での最強ボクサー
をランク付けすることです。
ミニマム級もヘビー級も、
体重は無視して同じ基準で比較、評価し、最強ボクサーをランキング
するのです。
このパウンドフォーパウンドで上位にランキングされる選手は、軽量級のスピードとテクニック、重量級の迫力とパワーを併せ持った、
『中量級(ライト級からミドル級あたり)の選手が多い』
と言われています。
また、歴代と現在の最強ボクサーは誰か、気になる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、
- 歴代最強パウンド・フォー・パウンド ボクサーランキング
- 最新パウンドフォーパウンド ランキング
を解説していきます!
歴代最強パウンド・フォー・パウンドボクサーランキング!!
パウンド・フォー・パウンドの評価方式では体重は考えません。
- テクニック
- スピード
- パワー
- 戦略
などの『選手個人の能力』を元に比較し、ランク付けしていきます。
このパウンド・フォー・パウンドは、1922年アメリカにて創刊のボクシング専門誌、
『リング誌(リング・マガジン)』
が始めたシステムです。
現在ではボクシングのみならず、キックボクシングや総合格闘技でもおなじみのシステムとなりました。
このパウンド・フォー・パウンドランキングは、
個人の主観により決められる
と言われています。
これまで、数多くのボクサーが誕生してきました。
現役選手のランキングではなく、
『歴代最強パウンド・フォー・パウンド ボクサーは誰なのか!』
と言うことが、気になる人も多いでしょう。
そこで、以下に歴代最強のパウンド・フォー・パウンドボクサーをランキングをしてみました。
- フロイド・メイウェザー・ジュニア
- マニー・パッキャオ
- シュガー・レイ・ロビンソン
- シュガー・レイ・レナード
- マイク・タイソン
- 井上尚弥
- ロベルト・デュラン
- ローマン・ゴンザレス
- リカルド・ロペス
- トーマス・ハーンズ
です!
では、各ボクサーの解説を以下にしていきましょう。
1位フロイド・メイウェザー・ジュニア
階級 | スーパーフェザー級~スーパーウェルター級 |
戦績 | 50戦 50勝 (KO勝ち 27) |
獲得タイトル | 1996年アトランタオリンピックフェザー級銅メダル
WBC世界スーパーフェザー級王座 WBC世界ライト級王座 WBC世界スーパーライト級王座 IBF世界ウェルター級王座 WBC世界ウェルター級王座 WBC世界スーパーウェルター級王座 WBC世界ウェルター級王座 WBA世界ウェルター級スーパー王座 WBA世界スーパーウェルター級スーパー王座 WBO世界ウェルター級王座 WBC世界スーパーウェルター級ダイヤモンド王座 IBO世界ウェルター級王座 IBA世界ウェルター級王座 リングマガジン世界ウェルター級王座 リングマガジン世界スーパーウェルター級王座 |
『圧倒的な反射神経とスピードにより、相手を翻弄し尽くして勝つ』
という、一風変わったスタイルの選手です。
ディフェンス力が高く、一方的に打ちまくられることは全くありません。
ただ、相手をなめきっていて一発もらうことは、かなりある選手です。
逸話の多いボクサーとしても有名で、
- パッキャオに対する人種差別発言
- アリやタイソンに対する侮蔑的発言
などは物議を呼んでいて、2014年にはスポーツ・イラストレイテッド誌の、
『最も嫌われているスポーツ関係者35人』
の一人に選出されたりもしています。
引退後の2018年大晦日には、キックボクシング界の神童と呼ばれる、
『日本の那須川天心選手と日本の格闘技競技会、RIZINにてボクシングルールによる非公式戦』
を行い、体重差もあり非公式戦ながら、圧倒的な実力差を見せ勝利を収めています。
2位マニー・パッキャオ
階級 | ライトフライ級~スーパーウェルター級 |
戦績 | 71戦 62勝 (KO勝ち 39) 7敗 2引き分け |
獲得タイトル | WBC世界フライ級王座
IBF世界スーパーバンタム級王座 WBC世界スーパーフェザー級王座 WBC世界ライト級王座 WBO世界ウェルター級王座 WBC世界ウェルター級ダイヤモンド王座 WBC世界スーパーウェルター級王座 WBO世界ウェルター級王座 WBA世界ウェルター級王座 |
パックマンの愛称で知られるマニー・パッキャオ選手。
彼はフィリピンの英雄として、
将来の大統領候補
とさえ言われています。
世界タイトル6階級制覇という、驚異的な成績を収めました。
マニー・パッキャオ選手が対戦したボクサーですが、とくに名のある選手だけでもこのようになります。
- マルコ・アントニオ・バレラ
- ファン・マヌエル・マルケス
- エリック・モラレス
- オスカー・ラリオス
- オスカー・デ・ラ・ホーヤ
- ミゲール・コット
- アントニオ・マルガリート
- シェーン・モズリー
- フロイド・メイウェザー・ジュニア
いずれもボクシングファンなら知らない人はいないという、名選手ぞろいですね。
3位 シュガー・レイ・ロビンソン
階級 | ウェルター級~ミドル級 |
戦績 | 200戦 175勝 (KO勝ち 109) 19敗 6引き分け |
獲得タイトル | NYSAC(ニューヨーク州アスレチックコミッション認定)世界ウェルター級王座
ペンシルバニア州認定世界ウェルター級王座 第42代NBA(WBA前身)世界ウェルター級王者 第40代NBA(WBA前身世界ミドル級王者 第42代NBA(WBA前身)世界ミドル級王者 第44代NBA(WBA前身)世界ミドル級王者 第46代NBA(WBA前身)世界ミドル級王者 第48代NBA(WBA前身)世界ミドル級王者 |
元祖パウンド・フォー・パウンドです。
元々パウンド・フォー・パウンドという言葉は、
シュガー・レイ・ロビンソンを表現する言葉
として使われ始めました。
別名『拳聖』と言われるシュガー・レイ・ロビンソン。
1940年代に、既に現代の洗練されたボクサースタイルを見せていました。
華麗なフットワーク、コンビネーションパンチなど、そのスタイルはモハメッド・アリやシュガー・レイ・レナードにも大きな影響を与えています。
4位 シュガー・レイ・レナード
階級 | ウェルター級~スーパーミドル級 |
戦績 | 40戦 36勝 (KO勝ち 26) 3敗 1引き分け |
獲得タイトル | 1976年モントリオールオリンピック ライトウェルター級金メダル
WBC世界ウェルター級王座 WBA世界ウェルター級王座 WBA世界スーパーウェルター級王座 WBC世界ミドル級王座 WBC世界スーパーミドル級王座 WBC世界ライトヘビー級王座 |
スピード主体の選手で、タイプとしてはフロイド・メイウェザー・ジュニア選手と似ています。
ウェルター級歴代最速とも言われるスピードにより、
『スーパーエキスプレス』
と称されました。
スピードと技術でロベルト・デュラン選手、トーマス・ハーンズ選手らと共に、黄金の中量級時代を築きました。
1970年代後半から1980年代にかけて、
ボクシング界を代表するスーパースター
の座に君臨。
シュガー・レイ選手のリングネームは、尊敬するシュガー・レイ・ロビンソン選手にあやかったものです。
5位 マイク・タイソン
階級 | ヘビー級 |
戦績 | 58戦 50勝 (KO勝ち 44) 6敗 2引き分け |
獲得タイトル | WBC世界ヘビー級王座
WBA世界ヘビー級王座 IBF世界ヘビー級王座 |
顔に入ったタトゥーが印象的であり、ボクシングと言えば、この名前を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
身長とリーチが180㎝とヘビー級としては小柄ですが、
- 相手のガードごと倒す桁外れのパンチ力
- 華麗なフットワークとスピード
- 正確なコンビネーションと高度なオフェンス力やディフェンス力
を持ち、勝利を量産してきました。
WBA世界ヘビー級王座に挑戦する際には、
相手の耳に2回噛みつき
3R終了時に失格負けとなる騒ぎを起こしました。
この出来事は、
『世紀の噛みつき』
とも称されてしまいます。
6位 井上尚弥
階級 | ライトフライ級~バンタム級 |
戦績 | 19戦 19勝 (KO勝ち 16) |
獲得タイトル | 日本ライトフライ級王座
OPBF東洋太平洋ライトフライ級王座 WBC世界ライトフライ級王座 WBO世界スーパーフライ級王座 WBA世界バンタム級王座 IBF世界バンタム級王座 リングマガジン世界バンタム級王座 |
高校生にして日本ボクシング史上初めて、
『7つのタイトルを獲得』
プロ転向後も8戦目にして当時世界最速である、
『2階級制覇をはたしました』
この試合では14年間無敗の王者である、オマール・ナルバエスと戦い、
2ラウンド3分1秒でKO勝利を収めています。
試合後ナルバエスは、
「歴史的なチャンピオンなれると思う」
とコメントを残しています。
現在では、ボクシング界4団体(WBA WBC IBF WBO)において、その階級の世界最強を決める、
WBSS(World Boxing Super Series)
に参戦し、1回戦と準決勝を圧倒的強さで勝利を収め、無傷で決勝進出と言う快挙を成し遂げています。
そして、決勝もドネア相手に判定勝ちで見事初代王者に輝きました。
7位 ロベルト・デュラン
階級 | ライト級~ミドル級 |
戦績 | 119戦 103勝 (KO勝ち 70) 16敗 |
獲得タイトル | WBA世界ライト級王座
WBC世界ライト級王座 WBC世界ウェルター級王座 WBA世界スーパーウェルター級王座 WBC世界ミドル級王座 |
通称『石の拳』という、強打の荒武者ボクサーです。
スタイルは初期から中期は、荒々しいファイタータイプですが、晩年には技巧派としての技も見せていました。
現在バラエティ番組等で活躍されている、元WBC世界ライト級チャンピオン、
ガッツ石松さん
とも拳を交え、勝利を収めています。
世界チャンピオンでありながら、ノンタイトル戦も頻繁にこなし、
戦うチャンピオン
と言えるチャンピオンでした。
8位 ローマン・ゴンザレス
階級 | ミニマム級~スーパーフライ級 |
戦績 | 50戦 48勝 (KO勝ち 40) 2敗 |
獲得タイトル | ニカラグアライトフライ級王座
WBAフェデセントロライトフライ級王座 WBAフェデラテンミニマム級王座 WBA世界ミニマム級王座 WBA世界ライトフライ級暫定王座 WBA世界ライトフライ級王座 WBA世界ライトフライ級スーパー王座 WBC世界フライ級王座 リングマガジン世界フライ級王座 WBC世界スーパーフライ級王座 |
帝拳プロモーションとマネージメント契約をしていますので、日本でもファンが多いです。
そのボクシングスタイルは、
- 攻め良し守り良し
- パンチは強力無比
- 連打も良く出る
という全く隙のない素晴らしいものです。
パウンド・フォー・パウンドでも、軽量級の選手として初めて
第1位
にランク付けされたことがあります。
9位 リカルド・ロペス
階級 | ミニマム級~ライトフライ級 |
戦績 | 52戦 51勝 (KO勝ち 37) 1引き分け |
獲得タイトル | WBC世界ミニマム級王座
WBO世界ミニマム級王座 WBA世界ミニマム級王座 IBF世界ライトフライ級王座 |
世界王座を11年間保持し、
26回の王座防衛戦で全勝
と言う信じられないような戦績を持ち、身長165㎝と小柄ながら、
『小さな巨人』
と言えるでしょう。
戦績は無敗であり唯一引き分けが1つありますが、負傷による引き分けとなっています。
メディアでも、
『完璧な技術を持つファイター』
『ボクシングの天才』
などと絶賛されています。
10位 トーマス・ハーンズ
階級 | ウェルター級~ライトヘビー級 |
戦績 | 67戦 61勝 (KO勝ち 48) 5敗 1引き分け |
獲得タイトル | USBA全米ウェルター級王座
NABF北米ミドル級王座 NABF北米スーパーミドル級王座 NABF北米クルーザー級王座 WBU世界クルーザー級王座 IBO世界クルーザー級王座 WBA世界ウェルター級王座 WBC世界スーパーウェルター級王座 WBC世界ミドル級王座 WBO世界スーパーミドル級王座 WBC世界ライトヘビー級王座 WBA世界ライトヘビー級王座 |
身長185cm、リーチ198cm
中量級選手としては抜群の長いリーチを誇ります。
左腕をだらりと下げたデトロイトスタイルから、いきなり打つフリッカージャブが、彼の代名詞的パンチです。
フリッカージャブとは、
腕を下げた状態からちょんと振り上げるようにして打つ
ジャブの打ち方の一つです。
大きな威力はなくても相手の意表を突く効果
があります。
それに続く右ストレートで相手をなぎ倒し、
1980年代に築いた黄金の中量級時代
の立役者の1人でした。
2019年最新のパウンド・フォー・パウンドランキング!!
ここからは、
2020年1月現在のパウンド・フォー・パウンドランキング
を見ていきましょう。
以下のランキングは、リング誌(リング・マガジン)から抜粋しました。
このパウンドフォーパウンドランキングは、
- 試合結果
- 試合パフォーマンス
- どのうような相手と戦ってきたか
を基準として選定されています。
- カネロ・アルバレス
- ワシル・ロマチェンコ
- 井上尚弥
- テレンス・クロフォード
- オレクサンドル・ウシク
- エロール・スペンス・ジュニア
- ゲンナディー・ゴロフキン
- ファン・フランシスコ・エストラーダ
- アルツール・ベテルビエフ
- マニー・パッキャオ
現状では、このようなランキングとなっていました。
それでは次にもう少し詳細な情報を見てみましょう。
各選手の階級・戦績・獲得タイトル
順位 | 選手名 | 階級 | 戦績 |
1位 | カネロ・アルバレス | ミドル級 | 56戦53勝35KO1敗2分 |
2位 | ワシル・ロマチェンコ | ライト級 | 15戦14勝10KO1敗 |
3位 | 井上尚弥 | バンタム級 | 19戦19勝16KO |
4位 | テレンス・クロフォード | ウェルター級 | 36戦36勝27KO |
5位 | オレクサンドル・ウシク | クルーザー級 | 17勝17勝13KO |
6位 | エロール・スペンス・ジュニア | ウェルター級 | 26戦26勝21KO |
7位 | ゲンナディー・ゴロフキン | ミドル級 | 42戦40勝34KO1敗1分 |
8位 | ファン・フランシスコ・エストラーダ | スーパーフライ級 | 43戦40勝27KO3敗 |
9位 | アルツール・ベテルビエフ | ライトヘビー級 | 15戦15勝15KO |
10位 | マニー・パッキャオ | ライトフライ~スーパーウェルター級 | 71戦62勝39KO7敗2分 |
順位 | 選手名 | 獲得タイトル |
1位 | カネロ・アルバレス |
|
2位 | ワシル・ロマチェンコ |
|
3位 | 井上尚弥 |
|
4位 | テレンス・クロフォード |
|
5位 | オレクサンドル・ウシク |
|
6位 | エロール・スペンス・ジュニア |
|
7位 | ゲンナディー・ゴロフキン |
|
8位 | ファン・フランシスコ・エストラーダ |
|
9位 | アルツール・ベテルビエフ |
|
10位 | マニー・パッキャオ |
|
各選手の階級・戦績・獲得タイトルは上記のようになっています。
どの選手も圧倒的勝利数を誇り、無敗の選手が4人もいるなんて驚きですね。
フライ級~クルーザー級まで、様々な階級のボクサーがランクインしています。
獲得タイトルも驚異的な数です。
そんな猛者ぞろいの、パウンド・フォー・パウンドランキングの中でも、世界中から注目されている選手が、
日本の井上尚弥
です。
前回の7位から大幅な、ランクアップとなっています。
なぜ井上尚弥のボクシングが注目されるのか
世界中から井上尚弥選手が注目されている理由は何でしょうか。
それは、現在井上尚弥選手が参戦している、
『WBSS(World Boxing Super Series)』
で圧倒的戦績を、収めていることが理由となります。
1回戦をドミニカ共和国のファン・カルロス・パヤノ選手と戦い、1ラウンド1分10秒KOで勝利しました。
続く準決勝を、プエルトリコのエマヌエル・ロドリゲス選手と戦い、2ラウンド1分19秒TKOで勝利します。
これらの結果が評価され、パウンド・フォー・パウンド4位と言うランク付けがされました。
さらに、WBSS決勝では12ラウンドの末、判定でフィリピンのノニト・ドネア選手を破り、WBSS初代王者に輝きました。
井上尚弥はパウンド・フォー・パウンドランキング3位に浮上
リング誌がつけた、パウンド・フォー・パウンドランキング3位に浮上した井上尚弥選手。
前回この順位をつけるにあたっては議論があり、
「井上尚弥選手を1位に検討する」
といった声もあったそうですが、最終的に当時の上位3選手との差は、
『対戦相手の実績が不足』
の為、4位と言う順位になりました。
しかし、WBSSでしっかりと結果を残した井上尚弥選手は最新のランキングで3位浮上となりました。今後は
パウンド・フォー・パウンドランキング1位
も見えるかもしれません。
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まとめ
階級別ではなく、全階級での最強ボクサーをランク付けするパウンド・フォー・パウンドという評価方式。
その歴代最強パウンド・フォー・パウンドボクサーランキングは、
- フロイド・メイウェザー・ジュニア
- マニー・パッキャオ
- シュガー・レイ・ロビンソン
- シュガー・レイ・レナード
- マイク・タイソン
- 井上尚弥
- ロベルト・デュラン
- ローマン・ゴンザレス
- リカルド・ロペス
- トーマス・ハーンズ
としました。
いずれも現在も活躍する選手や、過去偉業を成し遂げた選手達です。
また、2020年1月現在の最新パウンド・フォー・パウンドランキングは、
- カネロ・アルバレス
- ワシル・ロマチェンコ
- 井上尚弥
- テレンス・クロフォード
- オレクサンドル・ウシク
- エロール・スペンス・ジュニア
- ゲンナディー・ゴロフキン
- ファン・フランシスコ・エストラーダ
- アルツール・ベテルビエフ
- マニー・パッキャオ
となりました。
特に唯一の日本人にして、3位という井上尚弥選手は今後も大注目です。
WBSS決勝の勝利で前回から順位を一つ上げた井上選手が今後の活躍により、1位になるのも時間の問題でしょう。
応援しましょう!!