グインサーガのあらすじからストーリー結末までネタバレ!

通常の小説であれば、あらすじを書くのは少しも難しくはありません。

ストーリーを短く要約して書けば、それで済みますからね。

しかし、グインサーガは違います。

テーマに関係のない冗長な描写と会話が延々と続くのです。

そのため、どこまでがメインストーリーに関係していて、どこから無関係なのか。

それが読み取りづらいありさまです。

これが『通常の』小説ならば、駄作の一言で片付けられます。

ところが…。

グインサーガは面白いのです。

まさに奇跡の小説です。

この記事では、グインサーガのあらすじを紹介し、ストーリーの結末までのネタバレもお話していきます。

グインサーガの登場人物

このグインサーガシリーズには、名前を持った人物だけでも、100人単位の人物が登場します。

そこでグインサーガのあらすじの前に、ざっと登場人物を紹介しておきたいと思います。

以下、このシリーズの主な登場人物です。

  • 本篇の主人公グイン(豹頭人身の大男)
  • パロの王女リンダ(レムスの双子の姉)
  • パロの王子レムス(リンダの双子の弟)
  • パロの王族で絶世の美貌のアルド・ナリス(陰謀家)
  • ナリスの弟マリウス(形式ばったことが大嫌い)
  • パロの軍師・ヴァレリウス(ナリスに惚れている)
  • 野心家の傭兵イシュトヴァーン
  • 『アルゴスの黒太子』ことスカール
  • モンゴールの王女アムネリス
  • パロの隣国ケイロニアの王女シルヴィア(後にグインと結婚)
  • パロ聖騎士伯リギア(男勝りの美貌の女性剣士)
  • 黒魔導師士グラチウス
  • 白魔導師イェライシャ

などの人々が登場します。

上記以外にも重要人物(『人』物でない者も多い)は多く存在します。

名前を持つ人物だけでも何人になるのか、数えたことはありませんが、軽く100人を越えていることは間違いないでしょう。

とんでもなく長い小説だけに、登場人物の数もとんでもなく多いわけですね。

主人公はグインですが、彼以外にも物語の進展により、随時そのシーンでの主人公は変わっていきます。

舞台は、とある惑星の中心地である『中原』を中心に進みます。

中原には古い歴史を誇るパロや、北方の勇武の国ケイロニア、新興国モンゴール、草原の国アルゴスなどが割拠しています。

この『ある惑星』ですが、これは後に『ネタバレ篇』で紹介していきます。

そして、時には宇宙に飛び出したり、戦争により荒廃し尽くした辺境にワープしたり、砂漠あり都あり…。

あれもこれもなんでもあり。

そんな多彩な舞台で、豹頭人身の大男や、聡明可憐な美少女、陰謀家の王族、盗族上がりの傭兵など、様々な人物が織りなす大絵巻。

それがグインサーガです。

グインサーガのストーリーあらすじ

冒頭に書いたように、このグインサーガは非常にあらすじを書きにくい作品です。

最小限に縮小して書けば。

「グインサーガは、主人公グインを巡る夢と冒険の一大絵巻である。」

と、一行で終わります。

最大限に拡張して書けば、グインサーガシリーズ全作品と同じ長さ、とは言いませんが、いくらでも書けます。

この栗本薫氏によるグインサーガは、ヒロイック・ファンタジーの範疇に入る小説群です。

ただし、通常のヒロイック・ファンタジーの領域を遙かに飛び越えた、

SF・ホラー・ビルドゥングスロマン・作者の自己満足大開帳小説など

小説のジャンルのほとんどが含まれているのではないかと思うほど、ありとあらゆる要素が詰め込まれています。

グインサーガシリーズのあらすじ1辺境

この大長編は、

パロの王族であるリンダとレムスの双子の姉弟が、モンゴール軍の来襲から逃れてルードの森に迷い込んだところ

から始まります。

二人はモンゴール軍に発見されてしまいますが、そこに現れた豹頭人身の男に救われます。

ところが、この豹頭の男は自分の記憶を全て失っていて、覚えていることは、

自分の名『グイン』と『アウラ』・『ランドック』の二つの単語のみ・・・

こうして双子姉弟とグインの冒険行が始まります。

目指すは、双子の祖国パロ・・・

途中、放浪の戦士イシュトヴァーンの登場などもありますが、彼ら四人を追ってモンゴールの王女アムネリスが大軍を差し向けます。

その大軍を避けて四人は、人跡未踏の地ノスフェラスに逃れるのです。

そこで、伝説の巨人ラゴン族の助けを得たグインは大軍を破り、グインはラゴン族と猿人セム族から

『ノスフェラスの王』

と呼ばれるようになりました。

四人はラゴス族やセム族に別れを告げて、遙か南方のアルゴス目指して、長い長い旅に出立します。

この頃、リンダの母国パロはモンゴール軍の占領するところとなっています。

そしてリンダとレムスが逃亡先の当初の目的地だった、同盟国の『アルゴスの黒太子』ことスカールは、パロ奪還の兵を進めます。

一方、パロの王族の一人アルド・ナリスはモンゴール軍に捕らえられ、モンゴールの王女アムネリスとの政略結婚を強制されます。

当初は乗り気ではなかったのに、一度会ってみると、たちまちナリスの美貌にぞっこんとなったアムネリス。

しかし、パロの軍師・ヴァレリウスに操られたモンゴールの若武者アストリアスによって、ナリスは亡き者にされてしまいます。

ところがこれは全てナリスの仕組んだ狂言だったのです。

グインサーガシリーズのあらすじ2中原

ようやくアルゴスの地に辿りついたグイン一行。

ここでグインとイシュトヴァーンは、リンダとレムスに別れを告げます。

しかし、旅の間にイシュトヴァーンはリンダのことを愛するようになってしまいました。

イシュトヴァーンは、

「2年後にはおれは必ず王となり、おまえを迎えに来る。」

とリンダに告げて旅立つのです。

狂言によって、モンゴールのくびきから逃れたアルド・ナリス。

さらに裏から聖騎士伯リギアにモンゴールの将軍・カースロンを誘惑させた上で挙兵。

首都クリスタルパレスの奪還に成功します。

これを聞いて怒ったのがアムネリスです。

しかし、その怒りも虚しく、彼女の母国モンゴールは、

  • 王であるヴラド大公の急逝
  • スカールの急襲
  • 同盟国だったクムの寝返り

これらの要因によって、あっさりと滅亡してしまうのです。

そして、アムネリスはクムに捕らえられてしまいます。

パロでは、モンゴールとの戦いに勝利したのは全てナリスによるものの、それでもレムスが王として即位します。

一方、グインは魔境ノスフェラスでの冒険の後、途中マリウス(ナリスの弟にあたる)と道連れになります。

その後、ケイロニアに辿りついたグイン一行は、そこで皇帝の命を狙う計画を阻止して名を挙げます。

この陰謀は、隣国ユラニアによるもので、さらにグインはユラニアとの戦いに出陣するのです。

グインとも別れたイシュトヴァーンは、クムの首都・タイスに潜入し、囚われのアムネリスと侍女フロリーの救出に成功します。

タイミングを合わせたわけではなく、グインは、ユラニアを急襲。

幽閉されていたゴーラ皇帝サウルを救出し、圧倒的な勝利でユラニアの首都アルセイスへ入城を果たします。

こうしてケイロニアに凱旋したグインは、ケイロニア皇帝アキレウスのお気に入りとなるのです。

イシュトヴァーンはアムネリスを擁してモンゴール公国復活の挙兵をするのですが、いつしかアムネリスはイシュトヴァーンに惹かれていくのです。

そしてついにモンゴール公国の復活に成功。

アムネリスはモンゴール大公となり、イシュトヴァーンは左府将軍・白色騎士団団長に任命されます。

パロでは、ナリスとリンダが結婚することとなりました。

イシュトヴァーンからナリスへと、リンダ姫は浮気気質を持っているのかもしれません。

また、このあたりから闇の司祭グラチウスの暗躍も激しくなってくるのです。

一方、モンゴールでも『おめでた』がありました。

ついにイシュトヴァーンとアムネリスが結婚することになり、やがてイシュトヴァーンはゴーラ王となります。

パロでは、なにかに取り憑かれた様子のレムス。

些細なことで、ナリスをランズベール塔に幽閉してしまいます。

これは後にレムスにより釈放されるのですが、幽閉中に拷問で傷ついたナリスは、自分の領地のマルガで静養することとなりました。

一方、ケイロニアでは、グインは出世を重ね、王女シルヴィアはグインに惹かれ、結婚を迫るようになるのです。

結局グインはシルヴィアと結ばれ、ケイロニアの十二選定侯の推挙によりケイロニア王に即位することとなりました。

このあたりの進行が、およそ60巻あたりです。

50巻あたりからメインストーリーの進行はほとんどなくなります。

本筋と無関係な話も続くので、この後は読んでも読まなくても、あらすじの理解にはほとんど影響しないでしょう。

グインサーガシリーズのあらすじ3未完のエンディングへ

パロではレムスの言動は次第に異常になっていきます。

実はレムスは、キタイの竜王ヤンダル・ゾックに操られていたのです。

ナリスとヴァレリウスはパロを救うため、ついにレムス対ナリスの内戦となります。

この頃、レムスは沿海州アグラーヤのアルミナ姫と結婚し、子供も生まれています。

しかし、その子供であるアモンは、実質的にはヤンダル・ゾッグが宿した存在。

人間とは似ても似つかぬ存在だったのです。

パロの内戦では、ナリスと国王レムスが激突し、結果ナリスは自ら命を絶ちます。

しかし、これまたナリスの自作自演。

再び表に出てきた彼は神聖パロ王国の建国を宣言するのです。

しかし、度重なる無理によって、身体に限界がきていたナリス。

往生の時がやってきます。

その時になって、ナリスはグインと初めて会見。

グインにパロにある古代機械の秘密を明かして、安心したのか今度こそ本当にナリスは逝去。

グインは、パロ奪還のために出兵。

パロで古代機械を封印しますが、グイン自身は古代機械によってノスフェラスにワープされてしまいます。

グインは、ノスフェラスにある『星船』の謎を追って『シの谷』へ向かいます。

星船に到着したグインは、星船を操作、その中でレムスの息子アモンを葬りますが、自身も記憶を失ってしまうのです。

記憶を失ったグインは、ノスフェラスでの旧知のセム族とラゴン族に庇護されていました。

このあたりの成り行きで、グインを巡る白魔導師イェライシャと黒魔導師グラチウスの争いがありました。

その戦いではパロの魔導師ヴァレリウスらの活躍によりグインは救出されます。

こうして、記憶を失ったグインはイェライシャの手引きで、マリウスと共にパロへと旅立つのです。

その旅の途中、グインたちはイシュトヴァーンの子スーティとその母フロリー、パロ聖騎士リギア伯らと道連れとなります。

そして、豹頭人身の巨躯という目立つ外見を取り繕うために、旅芸人の一座を装ったりもします。

パロではリンダと再会しますが、それでも失った記憶は完全には戻りませんでした。

ルードの森からケイロニア軍を率いてパロ内乱に介入あたりまでは思い出せるのですが、それ以後の記憶が戻ってこないのです。

グインがケイロニアに戻ると、留守の間のシルヴィアの行動は乱脈を極めていました。

グインは、ついにシルヴィアとの別離を決心します。

このことを皇帝アキレウスに告げると、アキレウスは娘の行動を詫びます。

また、皇帝位はそのまま残すものの、ケイロニアの統治をグインにまかすことにしたのです。

ここまでが大長編グインサーガのあらすじです。

ずいぶん長いと思うかも知れませんが、これでも飛ばしに飛ばしてのあらすじなのです。

このグインサーガの最終巻は、

『豹頭王の花嫁』

と、作者自身によって告げられています。

この豹頭王の花嫁が誰なのか、興味はつきませんね。

本命はリンダ

というのがもっぱらの噂で、二人共バツイチなのでお似合いかと思われます。

大穴としては、リギアという線もあります。

しかし、リギアはスカールにホの字なので…。

超大穴としては、アウラとよりを戻す、というのもありですね。

果たして、グインにその勇気があるかどうか…。

それにグインは中原で生きることを選択していますから、この線は薄そうです。

グインサーガストーリーを結末までのネタバレ!

以下ネタバレです。

未読の人は、なるべくなら読まないことをお勧めいたします!

ネタバレ注意!

グインサーガのネタバレとなりますと、その中心はやはりグインの正体と、この物語のラストはどうなるのかでしょうね。

グインサーガのネタバレ1グインとは何者?

この物語では、パロやモンゴール、アルゴスなどをひっくるめて、『中原』と呼んでいます。

その中原のあるのが『ソラー星系第3惑星』ですから、これは地球と見ることもできそうです。

『ソル』は太陽の別名ですし、地球は太陽系の第3惑星なのです。

つまり、このグインサーガの舞台は、

地球の遙か未来の姿

なのでしょう。

パロなどの中原のある位置ですが、冒頭の画像を見ても、これと全く同じ地形は『現在の地球』にはなさそうです。

中国南東部や北米の南東部には、やや似た地形はありますが、これも同じとは言えないでしょう。

もっとも、グインの時代は、『グインサーガ – 度量衡からの考察4』によりますと、

現在から1億5000万年以上経過している

そうなので、その間に地形が変わったという見方もできます。

そして、この惑星系から遠く離れた所には、『アリシア星系第3惑星』があります。

その惑星の名が、

ランドック

なのです。

グインは星船(船名は『ランドシア』!)のコンピュータから、

自分が、ランドシアの船長(グランド・マスター)であり、『ランドックの廃帝』

であることを告げられるのです。

そして、3000年前にカナンを滅ぼした宇宙戦争の当事者だったのです。

古代帝国カナンは一夜にして、ノスフェラスの荒野と化してしまいました。

もしかすると、グイン追放の理由は、宇宙戦争や、カナン全滅によるものだったのかも知れませんね。

グインの妻である『アウラ・カー』はランドックの女神であり、皇帝よりも上位にあるようです。

それでアウラの怒りに触れて、追放ということになったのではないでしょうか。

グインサーガのネタバレ2グインはどうなるのか?

グインは最終的にどうなるのかという疑問です。

これは作中ではごく断片的な情報しかなく、残存資料にも書かれていません。

しかし、作中では、

グインは星船を駆ってランドックに戻る事よりも、この中原で生きること

を選択するのです。

つまり、あくまでも中原の人として生きる道を選択したわけです。

これが最終的なグインの生きる道かどうかはわかりませんが、ある程度は作中で明らかにされています。

このような中途半端なエンディングとなったのも、作者の逝去によるものなので、やむを得ないところでしょう。

ただ、中盤以降のあの脱線ぶりでは、その後10年かかっても謎の完全な解明と、すっきりしたエンディングには辿り着けなかっただろうと思われます。

栗本薫氏のストーリーテリングは、絶品という定評があります。

構成力も決してないわけではありません。

しかし、このグインサーガでは構成など、最初から最後まで全く無視しているのです。

ですから、どのようなエンディングにせよ、現在の予想と似たような結果になってしまうのではないかと思われますね。

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まとめ

グインサーガシリーズのあらすじは、一言でいえば豹頭人身の戦士グインと、彼を巡る人々の冒険行。

しかし、未完のまま作者が逝去していますので、そのエンディングがどうなるのかは、だれにもわかりません。

主人公であるグインの正体でさえ、残された断片的な資料から推測するしか、方法はないのです。

その断片的な資料から推測すると、

グインは元ランドックの王だったが、妻であり女神でもあるアウラの怒りに触れ、追放された

ということになります。

また、グイン達の活躍する中原と言われる地域は、地球の遠い未来の姿ではないかとも推察できますね。

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