栗本薫さんの超巨大作『グインサーガシリーズ』については多数の謎が残されたたままになっています。
たとえば、
- エンディングはどうなっているのか?
- グインとは何者なのか?その正体は?
- 豹頭である理由
など、実にたくさんの謎があります。
エンディングがどうなっているのかわからないのは、未完のまま作者が逝去したのでやむを得ないでしょう。
しかし、読者が一番気になるのは、
いったい、グインとは何者なのか?その正体は?
という点ではないでしょうか。
これについては『グイン宇宙人説』まであるのです。
また、なぜあのような豹頭になったのか、そのあたりも知りたいところですね。
この記事では、グインサーガの主人公グインの正体と、彼が豹頭である理由をネタバレ満開で考察しました!
グインサーガ主人公グインの正体とは?
まずお断りしておきますが、この記事の内容上
完全ネタバレ
で書かないと、記事になりません。
なので、まだグインの正体は知りたくない人、あるいは先の楽しみにとっておきたい人は、
この章は飛ばして先を読むか、いっそ全く読まない
ことをお勧めいたします!
さあ! これだけはっきりとお断りしましたよ!
あとになって
「ネタバレじゃないか!先を読むのが面白くなくなった!」
などというクレームは一切うけつけません!
と、ダメを押しましたが、グインの正体は・・・
実は全くわかっていない
のです。
これは作者の栗本薫さんがグインの正体について書いていないので、どうしようもありません。
ただ、グインの正体に迫るべく、もう少し詳しく書きしょう。
グインサーガ第1巻『豹頭の仮面』(1979年9月30日刊)で、グインが登場。
リンダとレムスの双子と遭遇した時、彼が覚えていたのは、
自分の名前『グイン』と、謎の言葉『アウラ』、『ランドック』
だけでした。
そして、その時からグインは既に『豹頭』だったのです。
『グイン』、『アウラ』、『ランドック』については、おそらくは作者は後々の著作の中で解明していくつもりだったのでしょう。
しかし、生前に残された著作の中では、その言葉についての完全な謎解きはされないままでした。
したがって、読む人にとっては、残された断片的な資料から読み解いていくしかありません。
栗本薫さんの没後に残された資料の中には、グインサーガシリーズの完全な全体プロットなどは残されていません。
その点は非常に残念ですが、残された断片的な資料と、後の本編での記述の中には、
グインは惑星『ランドック』の王だったが、なんらかの罪により妻でランドックの女神『アウラ』・カーにより追放された
という項がありました。
ランドックは星間文明の中心地であり、高度に発達した科学技術と文明を持つ国だったようです。
そのためか、星船(宇宙船?)やパロの古代機械から、グインは『マスター』として認識されていたのです。
このグインサーガの世界では、ごく限定された人物、たとえば
アルド・ナリス
のような特殊な知識と才能の持ち主以外は、これらの機械の一部の機能でさえ使うことができないのです。
しかし、グインは最初からこれらの機械を自由に使いこなしていたのです。
ランドックはグインサーガの世界から見れば、異星です。
となりますと、グインの正体とは、やはり、
故郷から追放された、なんらかの使命を持つ宇宙人、異星人、エイリアン
ということになりますね。
このあたりは、残存資料だけではなく、本編の
- グイン・サーガ82巻 アウラの選択
- グイン・サーガ94巻 永遠への飛翔
- 外伝 ヒプノスの回廊
などでも少しずつ触れられています。
とはいえ、グインのおかした罪とはどんなものなのか。
また、その使命についても、まったく明らかにされていません。
これらの謎は、残存資料にもありませんし、また、これまでの著作中でも解明されていません。
なので、これらのグインサーガの謎が解明されるとしたら、現在、栗本薫さん以外の作家によって書き継がれているグインサーガシリーズの、
正伝あるいはグイン・サーガ・ワールド
などと呼ばれる作品で取り上げられることを期待するしかなさそうですね。
これらの作品は、栗本薫さんのファンやエピゴーネンである作家たちが、現在に至るまで書き継いでいます。
グインサーガとはどんな小説?
ここではごく簡単に、グインサーガとはどんな小説なのか、紹介しておきましょう。
グインサーガシリーズとは、一言で言うと、とんでもない作品ということになります。
どんな風にとんでもないのかと言いますと、
- とにかく長い長い長い!何時まで経っても終わらない長さ。
- 伏線の回収がほとんどされていない。
- 根本的な謎の解明もほとんどされていない。
- 読者が1時間かけて読んでも、作中での時間経過は3分という、本筋とは関係のない冗長さ。
- 次から次へと魅力的な人物が登場し、ストーリーはお話の本筋からはドンドンと離れて行く。
- 構成など全く無視したいきあたりばったりの進行。
と言う風にとんでもないのです。
単体の小説としての長さでは、『失われた時を求めて』など長大な作品は他にもありますが、
シリーズとして長さは、世界一
ではないでしょうか。
グイン・サーガの長さは、ギネスブックでも認定されているそうですよ。
このグインサーガから連想するのは、五味康裕氏の名作『柳生武芸帳』ですね。
この柳生武芸帳は、五味康裕氏の最高傑作ですが、未完のまま終わります。
まとまりのないこと夥しく、いつまでたっても開始時のシーンまで戻らないなど、構成完全無視のところは、グインサーガとよく似ています。
そして、そんな大きな欠点を抱えていながらも、
読めば面白い
という点もそっくりですね。
なお、栗本薫さんは決して構成力のない作家ではありません。
他の作品ではちゃんと纏まった構成の著作が大半です。
しかし、このグインサーガに関しては全体の構成などは頭から全く考えていなかったようですね。
「そういう小説じゃないんだよ。」
ということなのでしょう。
グインサーガは、一応『ファンタジー』、あるいは『ヒロイックファンタジー』などと分類されています。
しかし、そんな分類の枠にはとうてい納まりきらない、とんでもない化け物です。
お手本は、アメリカの作家エドガー・ライス・バロース(火星のプリンセスなど)、三国志、C・S・ルイスのナルニア国物語あたりでしょうか。
グインが豹頭である理由とは?
グインはなぜあのような豹頭なのか?
この謎についても、作者は全く回答をしていません。
書き綴ったグインサーガシリーズの中でも、残存資料にもその答えはないのです。
したがって、この謎は完全に想像(あるいは妄想)により解いていかなければなりません。
まず、あの豹頭は仮面ではないか?
これは明白に否定できそうですね。
仮面であれば、聡いアルド・ナリスやリンダが仮面と気づかないわけがありません。
となれば、これは自然の姿、つまり首から下は雄大とはいえ通常の人体ですが、首の部分から上は、
人体と豹の頭とがシームレスに繋がっていて、その境目は判然としない
ということになります。
つまり豹人です。
ファンタジーは何でもありの世界。
悪く言えば、どんな嘘八百を並べ立ててもありの世界です。
豹頭の男性がいようと、鼠頭の女性がいようとOKなのです。
となりますと、グインの出身地であるランドックは、豹頭人間種族の惑星ということになります。
残念ながら、そのあたりの詳細は、小説内にも資料にも全く書かれていないようですね。
もう一つの想像(妄想)は、グインは当初は通常の人間だったが、
アウラにより追放される際に、何らかの罰により豹頭となった
というものです。
これまた一読者による単なる妄想なので、根拠は全くありません。
とはいえ、アウラさんという人?は、かなりおっかない
鬼嫁さん
だったようですし、なにしろ女神さまですから、人間の頭を豹の頭に変えるくらいはできるのでしょう。
そして、
「この不埒もの!私というものがありながら、他の女神と(以下略)してっ!その腐った性根を洗い清めておいで!」
と、放り出したというわけです。
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まとめ
グインとは何者なのか、その真の正体は結局解けないままに終わりそうですね。
一応、残存資料などでは、
惑星ランドックの王であったが、妻で女神のアウラにより追放された
ということになっています。
しかし、なぜどのような罪で追放されたのか、また豹頭である理由などはまったく不明のままです。
グインサーガシリーズは、作者・栗本薫さんの没後も、そのファンやエピゴーネンである作家たちにより、書き続けられています。
これらの謎はその続篇で解明されるのでしょうか?