女子スキージャンプで、かつては連戦連勝だった高梨沙羅選手。
向かうところ敵なし、どの大会でも出れば優勝という状態でした。
しかし、2017年頃から、出れば優勝というくらい勝っていたワールドカップでも、なかなか勝てなくなってしまいました。
高梨沙羅選手の一強時代は、気づけば終わっていて、今や海外選手が中心に…。
そこで今回は、高梨沙羅選手が勝てない理由と、オリンピックではメダルは取れるのかを考察してみました。
高梨沙羅が勝てない理由
高梨沙羅選手は、2011/12シーズンから2016/17シーズンにかけての6シーズンで、
優勝4回、2位1回、3位1回
と、驚異的な成績を残しました。
一時期は『最強』とも呼ばれていました。
しかし、2017年頃から急に成績不振に陥り、高梨沙羅選手の優勝回数は、
2017/18シーズン:2回
2018/19シーズン:1回
2019/20シーズン:1回
と、なかなか優勝できなくなってしまっています。
また、意外にも高梨沙羅選手は、オリンピックや世界選手権での優勝もありません。
2011年 世界選手権(ノルウェー・オスロ)6位
2013年 世界選手権(イタリア・バルディフィエメ) 2位
2014年 ソチ五輪 4位
2015年 世界選手権(スウェーデン・ファルン) 4位
2017年 世界選手権(フィンランド・ラハティ) 3位
これが、高梨沙羅選手は、
大舞台に弱い
と言われる由縁でしょうね。
では、絶対的な強さを発揮していた高梨沙羅選手が、最近勝てない理由はなんでしょうか?
高梨沙羅が勝てなくなった体力・技術的な理由
まずは高梨沙羅選手のスキージャンプに能力に関する部分です。
踏切が弱くなった
踏切(ジャンプ競技では『サッツ』と言います)が弱くなった
というのは、精神的な部分もあるようです。
ソチオリンピックの時でも、メダルへの期待がかかると、その緊張感のため筋肉が固くなり、踏み切りのタイミングが、遅れていました。
勝てないことへの焦りが、踏み切るタイミングのズレ
に繋がっているのでしょう。
着地でテレマーク姿勢がとれない
テレマーク姿勢とは、
着地の時に足を前後に開いて、片膝を曲げる姿勢
のことです。
これができないと、飛型点が減点されます。
このテレマーク姿勢は、元々高梨沙羅選手は苦手としていました。
最近は重点的にトレーニングした結果、かなり改善されてきています。
他国の選手の体力・技術が向上した
これが、高梨沙羅選手が勝てない最大の理由かもしれません。
もともと、北欧では女性のジャンプ競技は、それほど盛んではありませんでした。
しかし、2014年のソチオリンピック以降、女子のジャンプがオリンピックの正式種目になった結果、ヨーロッパの国々も強化に本腰をいれるようになったのです。
すると、もともとスキージャンプ発祥の地である北欧は、メキメキと力を伸ばしてきます。
そして力を伸ばしてきた選手が増えたことで、年を追うごとに飛距離が増加。
選手の飛び過ぎを抑えるために、スタートゲートが低く設定されるようになり、助走速度が抑えられるようになったのです。
この変更により、170センチ超えの世界1位・ルンビ選手のような、体格の大きな選手だと助走速度が速くなり、152センチと小柄な高梨沙羅選手は、助走速度が遅くなります。
現在の高梨沙羅選手は、体格の差をどうカバーするか、使用する用具や助走姿勢の見直し、試行錯誤中なのです。
簡単に言えば、昔のままでは勝てなくなったため、新たなステージへ向かっている最中。
まだ自分の新たなスタイルが確立しきれていないため、成績が安定してこないというわけですね。
高梨沙羅が勝てなくなったメンタル的な理由
大舞台に弱い精神的弱さ
高梨沙羅選手も、
羽生結弦選手や北島康介さんのメンタル面を参考にしたい
という発言をしたことがあるので、大舞台に弱いメンタルを自覚しているのでしょう。
ワールドカップシリーズでは良い成績を上げていることから、高梨沙羅選手には、大きな期待がかかります。
その期待がプレッシャーになり、普段の実力が発揮できないのでしょう。
本番に弱い選手は、ジャンプ競技に限りません。
どのスポーツ選手にも起こり得る話です。
克服するのは、精神面の強化しかなく、実際には困難になっています。
スキージャンプに集中できていない
ジャンプ競技での賞金は、
ワールドカップの1勝で、わずか35万円程度
と、ずいぶん安いのです。
高梨沙羅選手の獲得賞金は、良い時でも1年で約350万円程度。
しかし、高梨沙羅クラスの知名度のある選手では、CM出演料とスポンサー契約料が凄い金額になります。
一説ではそれが、
年間4000万~5000万円
と、本業のジャンプ競技での賞金の10倍以上なのです。
高梨沙羅選手の愛車は、
メルセデスベンツ AMG G63
であり、その価格は、
約2000万円
です。
当然、ジャンプの賞金で賄えるはずがありません。
すべてCM出演料とスポンサー契約料によるものでしょう。
こうなると、競技よりもCM出演料とスポンサー契約料に目が行くのは当然と言えますよね。
また、今から紹介する話題は、高梨沙羅選手自身の問題ではなく、父親の問題です。
ある時、高梨沙羅選手がメディアの注目を集めた出来事がありました。
父親が、川上町にマスコミ関係者30人ほどを集めて会見を開いたのです。
ただ、その時の内容が、なんと高梨沙羅選手とはまるで関係なく、
母親の高梨千景さんが焼肉店をオープンした
という内容だったのです。
その上、会費として5000円を要求…。
これはメディアも怒りますよね。
いずれにしても、スポーツ選手が競技以外のことを重要視すると、かならず成績は落ち、良いプレーができなくなります。
これは数十年に渡ってスポーツを見続けてきた筆者として、断言できます。
高梨沙羅選手のケースが、それに該当していなければよいと、案じてしまうばかりです。
高梨沙羅はオリンピックでメダルは取れるの?
高梨沙羅選手が次に目指すオリンピックは、2022年の北京オリンピックです。
果たして、2022年に高梨沙羅選手はメダルをとることができるのでしょうか?
実は、色々と試行錯誤している段階でも、高梨沙羅選手は世界ランキング3位の位置につけています。
そのため、
メダルを取ること自体は可能
と筆者は考えています。
そのメダルの色が金色になるかどうかは、
高梨沙羅選手が自分の新たなスタイルを確立できるかどうか
にかかっているでしょう。
また、平昌オリンピックの時に課題となった、大舞台に対するプレッシャーも克服できるかどうかですね。
基本的に、金メダルを取るような一流選手は、大舞台だとしても
いつも通り
を心掛けているように見受けられます。
高梨沙羅選手も、オリンピックという舞台を、いつもの試合と同じように望める姿勢になれば、より勝利に近づくのではないでしょうか。
スポンサーリンク
まとめ
高梨沙羅選手が一時期の最強と言われた時期に比べ、近年勝てなくなっているのは、
- 技術的な問題や、海外選手の台頭
- 大舞台で勝てないメンタル面
大きくこの2つが影響していると分析します。
とくに、スキージャンプがオリンピックの正式種目になったことで、体格で優れている外国人選手が、スキージャンプに力を入れてきたことは、脅威と言えます。
高梨沙羅選手も、実力自体は世界トップレベルなので、後は現在の試行錯誤が成功し、軌道に乗るかどうかが、オリンピックで金メダルをとれるかどうかに繋がるはずです。
2022年の北京オリンピックで、高梨沙羅選手が金メダルをとることに期待したいですね!